貴族を依頼された
「はあ?私が貴族ですか?」
「そうだ。昨日の一件で、かなりの貴族が没落する事は確定していてな。この際、聖殿を貴族にと思っているのだ」
「お姉ちゃん、凄いわ」
「さすがお姉さまです」
「まあ、当然よ。私も聖には貴族に成ってくれないと困るわ」
「えーっと?クレアから帝に成れとの要望がありますが?」
「ああ知っている。まずは、帝に成って頂き、その後に貴族に成って頂く。そして、聖殿に成って頂く貴族は火の貴族だ」
「えっ?火の貴族?それって?」
「ママがかつて?」
「そうだ。聖殿はファルコンとリリカの養子。そして、リリカは火の貴族の出身だ。養子とはいえ、その血は絶えないだろう」
「イヤ、しかし………」
なんとも言えなかった。いきなり、貴族で、6大貴族の一角を補えと陛下が言っているのだから。
「大丈夫だ。リリカも賛同している。聖殿なら、上手くやれるとな」
「ママがそんな事を?」
「ああ」
「しかしながら、未成年者の私が当主に成れば必ずしも反乱が起きますが?そうなると、陛下や王家の足枷にしかなりませんが?」
「ウム。前向きな検討で結構だ。ならば、代理人を立てれば良いな?それも私や聖殿が信頼がある代理人をな?」
「信頼ある代理人か…………」
チラッと、ミカ姉ぇを見る。もし、やるなら…………。
「聖さん?私はやりませんよ?あくまで、私は聖さんのパートナーですからね?人間の政治に口出しはしませんよ」
「チッ!かつて、神の代行をやっていたミカ姉ぇに断れたか」
「神の代行?」
「ミカエル様が?」
「神聖王様に何が?」
「大したことはありませんよ。ただ、体調不良で数百年だけ寝込んだだけですから」
「そうなの?神聖王様が寝込んだの?」
「はい。これは、言わば身内の恥のようなものですので、ここでは詳しい事は言いたくはありません。それにこれを言ってしまえば、聴いた人間達全員が『神聖王様の信仰を改め直させて下さい』と頭を下げながら言いますのでね」
クレアの問いにミカ姉ぇが答えた。そうか?父さんは、酒の禁断症状で数百年も寝込んだのか?かなりの代償を払わされたのだな?
「なんかどこかで聴いたような台詞ですわね?」
「ああ………」
「とにかく、貴方達2人が信頼が出来る人間を捜してくださいね?」
と、ミカ姉ぇに言われてしまった。
「まあ、貴族の成るのにはまだ時間がありますので、その期間に見つければ良い」
「あれ?私の貴族入りが決まったの?」
「なに言っているの当然よ。聖には、成人になったら、ここに住んで貰って、色々と私と一緒に政治をやって貰いますからね!!」
「なに?このイスレイくんのお姉様は?仮面被ったら凄く豹変していますけど?」
「本当だわ」
「だって、本当の事ですもの。私はそれだけ、聖を期待しているのよ!」
「はいはい。ありがとうね」
「なによ?その投げやりな態度は?」
「言っておくが私に頼っても上手くいかないよ?世の中、甘くはないからね?」
「その位は判っているわよ。だけどね?前も言ったけど、もう聖無しではこの王国の政治は出来ないのよ。それだけ貴女が重要なのよ」
「判ったから、そんなに力説しなさんな。私の方が恥ずかしくなるよ」
第一部はこの200話目で終わらせようと思ったのだけど、終わらなかった………。もう少し続きます。




