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出会い 2

今回の話は幼児虐待の描写がありますので、ご了承ください。


といっても、殴る蹴るの暴力ではありませんが。

 宮殿に戻った俺達。


「只今戻りました」


 と、言いながら、イスレイくんを降ろし、着物に戻った。


「お帰りなさい。聖殿、イスレイを散歩に連れて行って下さってありがとうございます」


「はい。ですが、これから、イスレイくんと遊ぶ約束をしましたので、イスレイくんの部屋に行きたいと思います」


「えっ?ボクの部屋に?」


「ええ、遊ぶ前にどういう部屋の環境か見てみたいのよ。そして、環境が悪かったら、私がリホームします」


「リ、リホーム!?」


 陛下達が驚いていた。


「リホームにどの位掛かるの?」


 クレアの質問。


「うーん?見てからじゃあないと分からないな?」


「でも、お姉ちゃんなら簡単にリホームが出来るわよ。私達の部屋もあっという間だったし、お姉ちゃん1人でも自由に家具も動かせられるわ」


「とにかく、行きますよ」


「私も行こう。今、イスレイの部屋がどうなっているのかを知りたい」


 陛下も行くみたいだ。


「お前も来い」


 陛下は家庭教師の女を呼んだ。家庭教師の女は先ほどから顔色が悪くガタガタと震えているが、俺には関係ない。


 行く途中に。


「お姉さん?ボクを抱っこして」


「分かったわ」


 抱っこして、イスレイくんの部屋に行く。


 ~イスレイの部屋~


 イスレイくんの部屋を開けると、そこは大人が使う書斎と同じ部屋で、ずらりと本棚があり沢山の参考書や問題集の本が所狭しとある。子供部屋とはかけ離れていた。


「えーっと?ここって、陛下が使う執務室ですか?私達、イスレイくんの部屋に来た筈ですよね?」


「そうだな?この部屋を私の仕事部屋だと言ってもなんの違和感がない。もしあるとしたら、この子供用の勉強机だな?一体どうしてこうなったんだ?私達はイスレイにはちゃんとした子供部屋を与えたのだが?」


 ジロリッと、陛下は家庭教師の女を睨み付ける。


「………」


 女はただただ震えているだけだった。この女が勝手に陛下達の許可を取らずに業者を呼んで、徐々にこのような部屋にしたんだな。


 俺は部屋を見回し、時間割表を見つける。この時間割表に驚愕する。


「陛下?コレって陛下達が決めましたか?」


 と言いながら、陛下に時間割表を見せる。すると、女の顔色がますます悪くなって行く。


「何?イヤ、特にはそんなのは決めてはいないが…………なんなんだこの時間割表は!!食事以外はほぼ1日中が勉強の時間ではないか?それにイスレイの寝る時間帯が0時だとう!?起きるのが5時!?お前は一体何を考えているんだ!!これが5歳児に課す事か!!」


「これは誰だって逃げ出したくなるよ。こんな1日の時間割は、【受験生】がやる事で、こんな小さな子供にさせる事ではないし、こんな環境の中で良く死ななかったし、精神病にならなくて良かったよ。そして?これで予定が遅れて詰まっていると良く言えたものだな?オイ!!」


 俺がそう言うと女はビクッとする。


「そして、このような時間割表で一体何がどこが予定が詰まっているのかを教えて欲しいな?」


「確かにな?更にお前がイスレイに対してどういう教え方をしているのかを余に教えて欲しいものだな?」


「…………」


 女は黙っている。


「ね?イスレイくん?キミは普段からどういう勉強の仕方をしているのかな?私達に教えて?」


 ラチがあかないので、イスレイくんに頼む。


「うん、良いよ」


 イスレイくんは快く了解し椅子に座り、机にあった問題を解いている。


「で?この教師はなにをイスレイくんに教えているのかな?普通はこういう問題を解く時にその問題の解説をしてくれるし、その解き方も教えてくれると思うが?」


 がぶり姉ぇがそうだった。俺が引き籠もりの時にそうやって分かり易く教えてくれた。


「えっ?そうなの?全然教えてもらっていないよ?こんな問題は自力で解かないと立派な大人に成れないていつも言っているもん。だからね?ボク、勉強が嫌いになったのだってやり方とか分からないもん」


 イスレイくんが泣きそうになるので。


「そうか?良く1人で頑張ったね?偉いよキミは」


 頭をなでてあげた。


「うん」


「う、ウソよ!わ、私はちゃんと王子様に勉強のやり方を教えてあげたのよ!」


「それは、最初の方だよね?ただいつもこの問題を解いて私に見せなさいと言っただけだよね?」


「これでは予定が遅れて詰まっても当たり前だ!!これの全ては、家庭教師だったお前の責任だぞ!!それにやっている事はイスレイくんに対する幼児虐待で、陛下達に対する詐欺行為だ。そして、お前はただの詐欺師の給料泥棒だ!!」


「ほう?それが?どこが?イスレイに我が子に勉強を教えてやっているのだ?今まで、余達に虚偽報告をしていたのだな!!今、この場を以て解雇とする。そして、余達に虚偽報告の罪と余罪があると見て、無期の強制労働の刑とする!!即刻立ち去れ!!」


「…………」


 女は膝から崩れうなだれた。陛下が兵士を呼び、兵士達は女を連行して行った。

私は今回の話の家庭教師の女の行動は立派な幼児虐待だと思っています。

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