陛下と面談する 3
「聖さん?こういう事は考えられませんか?その闘鬼という者は屋敷の使用人全員を何かしらの労働力として連れ去ったとしたら?」
「えっ?まさか?」
ミカ姉ぇの言葉に全員が驚く。
「しかし何故そのような?」
「さあ、私にもそこまでは判りませんが、ただ、どうして、闘鬼は、夫人達を殺して、使用人達を攫ったのかを考えた時にそういう答えが浮かんだのですよ。闘鬼がお金目的ならば、夫人達を誘拐しますよね?使用人達には何も価値がありませんから。しかし、何かしらの労働力と考えた時にはどうでしょうか?その価値は逆転しますよ?」
「あっ!確かにミカ姉ぇが言うとおりかもしれない。金目的なら、夫人達を誘拐した方がまだリスクが少ないし、各家に大金を要求が出来るが、労働力としては、夫人達はなにも価値がない。価値があるのは使用人達だ。だが、大勢だから、そのリスクは大きいが」
「だから、その闘鬼という輩は、その何かしらの労働力を得る為に夫人達を殺して、使用人全員を攫ったと、ミカエル様はそう考えておられるのですね?」
王妃様が言う。
「そうですが、ただ、その目的は判りませんが」
「ナチ帝国だ。おそらく、闘鬼はナチ帝国と繋がっているやもしれない。聖殿が盗って来た資料の中にナチ帝国と取引がある記述が記されていた。ナチ帝国は軍事国家だ。そして、各国の国民達を拉致しては、奴隷として強制労働者として働かせているとの情報がある。それに、ナチ帝国の軍人達は異様だとの情報な」
「なっ!?まさか?そのナチ帝国とやらは、悪魔との取引があると?」
俺が言う。
「かもしれん。私もその情報は信じてはいなかったが、聖殿の話を聞くと、虚偽ではなかったと言える節もある。それにミカエル様の言葉に照らし合わせれば」
「しかし、悪魔との契約ですか?それはかなりの犠牲者がでましたね?」
「かなりの犠牲者?」
陛下が不信がる。
「はい、悪魔召喚をして、悪魔との契約を完了する証として、身内を生贄を捧げなければいけません。もしくは、豪華な料理の提供ですね」
「身内の生贄か豪華な料理?そうなった場合ならば、私は後者を取るが?」
陛下がそう答えた。まあ、俺もそうするが、しかし、極端な選択肢だな?身内の生贄か、豪華な料理を振る舞うか?なんてな。
「まあ、何も知らない人間達はほぼ普通はそう答えますよね?しかし、悪魔召喚は、ただ1体の悪魔を召喚するのは難しいのですよ。その悪魔に従う悪魔達を引き連れて召喚されます。私が知っている悪魔召喚で出てきた悪魔達は千体を超えて出てきた事もあるようですが、最低でも百体以上の悪魔達が出てくるでしょうね?そんな悪魔達に豪華な料理を何日も振る舞えますか?」
「うっ!?」
言葉に詰まる陛下。
当たり前の反応だな。普通は不可能だ。たとえ王家でも、千体以上の悪魔達を豪華な料理を何日も振る舞っていたら、あっという間に国が傾き、滅んでしまう。
「悪魔怖いわ」
「そうですね」
「やらない方が懸命だわ」
マリア達3人が言う。それは当たり前だね。
「コレは極端な選択肢ではなく、究極な選択肢だな?身内の生贄か豪華な料理か?」
俺が言うと。
「そうですわね。わたくしはどちらでも嫌ですが」
「私もそうだ。第一悪魔召喚をやる事態が禁忌とされているが、ナチ帝国の王はやってしまった可能性が高いな?」
陛下達も同意した。
「そうかもしれませんね?より多くの知識や戦力を得る為には、人間達よりも人外の方がより優秀ですよ。異世界の技術を持っていますからね?」
「なるほど、それらを得る為には身内を生贄にしても構わないと?」
「悪魔達が居るならそうでしょうね?悪魔達はその契約を期間中はしっかりと守りますから。その期間が切れたらどうなるかは知りませんが」
「やはり、悪魔達は外道ですか?」
「そうですね。それにその悪魔が満足出来ないとしっかりと働きませんし、ウソを平気で吐きますよ」
「しかしさ?ミカ姉ぇは悪魔達の内情に詳しいんだね?どうして?」
「情報ですよ。悪魔には私達と通じている者がいますのでね?その者はわざと悪魔になって、私達に悪魔達の情報を流しているのですよ」
「その者の信頼性は?」
「ありますよ。長年と渡り今でも流していますので、ただ、魔王達の動向の情報は難しいと言っていますが。まあ、細かな情報でも無いよりはマシです」
「そうだな」
因みに情報を送っている悪魔はマステマという悪魔です。