宮殿からの使者
『お呼び出しいたします。高等部1年A組の聖 山瀬さん。同じく、リク 山瀬さん。お客様が学園長室でお待ちです。繰り返し、ご連絡します。高等部………』
との放送があった。
「やっとか?」
「そうね。でも、丁度良いわね」
「そうだな」
いつ呼び出しがかかっても良いようにマリアとリクは制服に着替えていた。エリサはクレアの王女のドレスを着ていた。仮面を付ければ、行ける格好だ。
俺達3人は学園長室に行く。
マリアとルエルさんはエリサと一緒に予定通りにバーストさんの転移魔法で先に行ってもらう。
俺達は、寮長の所に行き、寮を出る許可と確認を行ってから、学園に入り、学園長室に行く。
コンコンコン。
と、ノックをすると。
「聖達ならば、入っても良いぞ」
と、学園長の声がしたので、『失礼します』と言って入室をする。
「ウム、話はステラから聴いておるが、聖や?変わった服じゃのう?」
「そうですね。コレは昨日母が置いて行ったモノですよ」
「なんと?お見えになったのか?」
「はい、そして、今日もですよ」
「そうか?で、ルエルはまだおるのか?」
「はい、ルエルさんはマリアの使い魔になりましたので、これからはずっといますよ。話をしたかったら、ステラ先生に言っておけば良いですよ学園長」
「そうか……判った。感謝する」
「学園長?宜しいか?」
と、白髪混じりの男性が俺達に声をかけた。この人が遣いか?
「ウム」
「貴女方が、聖 山瀬様とリク 山瀬様ですね?わたくしは国王陛下の御命令を受けて貴女方をお迎えに来た者です。わたくしと、ご一緒に宮殿までお越し頂けませんでしょうか?」
「ええ、事前に話は聴いておりますよ」
「そうでしたか?話は早いですね?では、早速参りますが、そちらの御方はご遠慮下さい。申し訳ございませんが部外者を連れて行く訳には行きませんので」
「私は部外者ではありませんよ。聖さんの使い魔で、パートナーですからね」
「そうなんですか?この方が使い魔ですか?信じられませんが?どう観ても人間ですよ?」
「ま、私のパートナーは普通の使い魔とは違いますのでね?さあ、行きましょうか?」
「は、はい、そうでした。どうぞこちらになります」
学園長に挨拶をしてから、外に出ると、豪華で立派な馬車が止まっていた。
「この馬車にお乗り下さい」
「私が最初に乗りますよ。聖さんとリクさんは真ん中に乗って下さい」
「えっ?どうしてですか?私は馬車に乗るのは初めてですから、そこから景色を見たいですが?」
「リク?今回は我慢しなさい。こんな豪華な馬車に乗って居れば、賊達に襲われる可能性があるのよ?特に両サイドが一番危険なのよ」
「そうなのですか?でも、私達には関係がないような?もし、襲われても、返り討ちにしますが?」
「まあ、それはそうだけどさ。これは一般的な話だよ。さあ、乗るよ」
「はい、お姉さま」
しぶしぶリクは乗り込み真ん中を席に座る。
俺も乗り込み座ると座り心地が良いな。
遣いの人も乗り込み。
「では、出発します」
御者が手綱を操ると、馬車は宮殿に向けて出発した。