なんでこれだけで店が繁盛しちゃうの?
15時を過ぎても誰も来ない………。
しかし、ここまで客が来ないとは思わなかったな?
俺が『客引きをやるか?』とパパに言ったら、『やらんで良い!』と言われた。
まあ、理由は、来たくも無い店に連れて来られても迷惑なだけだからな。それに性的サービスの店と勘違いされても困るからだ。
俺はボーッとしていたら、なんと、1日が終わってしまった。
「とうとう今日は誰一人として来なかったなぁ?」
そう愚痴る。
「この店はこれが当たり前だ」
「フーン。コレでバイトを雇ったら潰れるね?」
「フン!だから俺でコトが足りるんだ」
「そうならない為の『俺』でしょう?明日からは外のオープンの看板は俺がやるよ。客引きではないからさ?」
次の日。
俺はオープン看板を出しに外に出で、中に入ると。
直ぐに男性客が一気に来て店内が満席になった。
「い、いらっしゃい…ま…せ…」
『はい、いらっしゃいました』
男性客全員が言う。
少し俺の顔が引きずっていた。
そして、おしぼりを配り、注文を聞くが。
「はい!ナンパはお断りですよ!!」
男性客達は、やっぱり、俺目当てで来たようだ。
全員が『彼氏居るの?』『この後暇?遊びに行かない?』とか、必ず聞いて来るが。
「マスター!コーヒーを全員に」
「ああ!分かった」
パパの方を見て全員がビビり、そして、この店はこのマスターが居るという事に気付く。
客の1人が、
「あ、あの~オレ、きゅ、急用が出来たのでキャンセルを………」
と、席を立ち言い出すと、全員、言い出し立ち上がり帰ろうとするが。
「おっと、帰さないよ?せめて、注文したコーヒーを飲んでから帰ってね?キャンセルをしてもお代は頂くよ?」
俺がニッコリと微笑むと、『はい!飲ませて頂きます!』と口を揃えて全員が言い座り直した。
俺が全員分のコーヒーを置く。
「このコーヒーは、ブラックで飲むのがオススメですよ。ソレがダメな方は追加料金でお砂糖と牛乳がありますからね?」
俺が説明をする。
この世界での砂糖や牛乳は高価なモノだ。追加料金が発生するのは当然だった。
だから、男性客達はブラックで飲む。それにさっさとこの店から出て行きたいと考えていたし、このコーヒーも大して美味しくはないだろうと思っていたが。
一口飲んで、男性客達が止まった。
「アレ?」
「う、旨い………」
「このコーヒー、めっちゃうめぇー」
と騒ぎ出した。更に。
「あのマスターが淹れたのだろう?今まで飲んだコーヒーの中で一番旨い!」
「ああ!ここのコーヒーがこんなにも旨かったなんてよ。損していた気分だぜ」
「そうだな。しかし、俺らは、このウェイトレスに釣られて入っただけどな?」
「ああ、でもよ。入って正解だったな?」
そう言って男性客達が話ながらコーヒーを飲んで帰って行った。
「パパ?良かったね?」
「フン!たまたまだ!また、暇になるだろうよ」
後ろ向きになり照れていた。頭まで茹でタコになっているからね。
そして、男性客達のクチコミで、今日はちょくちょくと客達がやって来たので、俺も漸く働いた気分になる。
更に数日後にはカフェは大繁盛になった。
しかし、俺が外にオープン看板を出しただけで繁盛するとはな?