父さんがやってきた
「父上」
「パパ」
リクとマリアが言って挨拶をする。ミカ姉ぇ、ルエルさん、エリサはその場で跪いてかしこまった。
「3人共、かしこまる必要は無い。この場所は、プライベートの場所だからな」
「プライベートですか?」
「そうだ。俺も四六時中、神聖王をやっている訳にはいかない。この場所だけは、ただの父親だ。だから、俺達が来てもここではかしこまる必要は無い。挨拶だけでいい」
「しかし」
「ミカ姉ぇ?父さんが、そう言っているんだ。それさ、いずれは、俺達の家族が全員が来て、ここで暮らす予定だから、ここでは、神聖王ではなく、ただの父さんなんだよ」
「その通りだ」
「そうですか?分かりました」
「聖?今、家族全員と言ったわね?神聖王様は勇者召喚を?」
「ああ、知っているぞ。聖にその情報をもたらしたのは俺だ。それにお互いの全ての利害が一致しているんだ。ならば、俺達も召喚の成功に掛けるさ」
「そうでしたか?もう!知っているなら言ってよ!」
「たとえ知っていても、それはエリサの口から言わないとな?」
「それはそうだけどさ。でも…………」
ぶつぶつと言い始めた。
「昨日は王妃様が来ましたが、今日は神聖王様です。神聖王様は、どのようなご用件で?」
「ああ、レイナとミカエル、お前の件でな。まずはレイナだ。ルエル!」
「は、はい」
緊張した声で返事をした。
「レイナは秘書を拒否した」
「えっ?」
「ちょっと待ってください。秘書を拒否って?」
「落ち着けミカエル。レイナは、秘書そのものを拒否したのだ。自分1人で、世界神の仕事を全てやりこなすと言って、秘書は要らないとな。そして、自分の秘書はミカエル。お前だけだとな。そう言って俺達の話を聞かん。大変なのは解っている筈なのにな?」
「そんな………レイナはそんな事を………」
「ああ。おそらく、お前がいる世界を1人で護りたいのだろうな?」
「…………」
父さんがそう言うとミカ姉ぇは黙ってしまった。
「では、私は?」
「ああ、俺と神界に帰り、元の職場に戻れ。今は俺達の所も十分に居る」
「そうですか………私は何もやらずにクビになってしまいましたね?仮に秘書としてやったとしたら、レイナ様にご挨拶と止める為に引きずられて、王妃様に助けを叫んでいた事だけでしたね?ウフフ………」
ル、ルエルさんが病んでいるぞ。
「い、イヤ、それを言われたら、俺も困るぞ……」
父さんもマジで困っていた。
「父さん?ルエルさんだけどさ。マリアの使い魔とてし契約出来ないかな?」
「えっ」
「お姉ちゃん?なにを?」
2人が驚いていた。
「うん、マリアは今は使い魔がいないし、ルエルさんだってせっかくこの世界に来たんだ。それに話を聞く限り、すぐに帰る必要がなさそうだし、それに2人は相性も良さそうだったのが理由かな。もっと言えば、将来の為の予約だな」
呂布との戦いを見てて2人の相性が良いとそう思った。
「なるほどな。マリアも俺達の子供だ。死後に神にするつもりだ。その神の専属秘書としてルエルを据えるのだな?」
「そう、ずっと一緒なら、お互いの癖や思考も解るしね。結構やりやすいと思うよ」
「だから、ルエルさんを私の使い魔に?」
「そうだ。どうかな?」
「えーっと、私はマリアさんの使い魔になるのは役不足ではないのでしょうか?」
「役不足なら良いでしょう。ルエルさんなら使い魔を簡単にこなせるでしょう?」
「えっいいえ。だから、私は「役不足なんでしょう?役不足ならルエルさんにとっては簡単だよ。ね?父さん?」
「ああ、そうだな」
ルエルさんはますます困惑している。うーん。どうやら役不足の意味が分かっていないようだ。