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お風呂にて

 兄さんの告白の返事は保留となった。というかさ。まさか家族として見ている人に告白をされるとは思いもしなかったからな。


 風呂に入るが、ミカ姉ぇは最後に入る。


「あれ?ミカエルさんは?入らないの?」


「ミカ姉ぇは最後に入るよ。皆には体を見せられないからさ」


「ああ、何かしらの事情があるのね?」


「そういう事だよママ」


 お風呂に入る。


「ねえ?お姉ちゃん?兄さんと何を話していたの?」


「ああ。オレと付き合って欲しいと言われたよ。一目惚れだってさ」チラッ


 正直に話し、エリサを見ると、エリサは顔を真っ赤になって、そっぽを向いた。


「えっ?そうなの?兄さんもお姉ちゃんを狙っていたの?」


「みたいだね?しかしさ、俺は男には興味がないんだよ。というよりさ、まだ、自分自身の中に男の部分が居るんだよ、それが抜けない限りは男には興味はないんだ」


「やっぱりまだ女性になりきっていないのね?」


 ママが言ってきた。


「そういう事だよ。もう、この体で生きていくしかないから、俺自身も女性として生きていかないといけないのは判っているけどさ。まだまだ、男の部分が抜けなくってね。それが抜けたら、自分の呼び方が『俺』から『私』にと自然と言い方もなると思うよ」


「そうよね?転生してからまだ1ヶ月も経っていないものね?男性だったあなたが急に女性に成れる訳がないわね?」


「そうなんだよね。最悪はステラ先生みたいな言葉使いでも良いかなと思ってね」


「オイ!なんで、私が最悪なんだ!!」


 先生が文句を言う。


「だってさ。両方使っているからさ。良いかなと」


「フン!私の口調は、学園時代からだよ。私もまた荒れていたんだ」


「そうだったの?」


「ああ」


「ステラは、両親に反抗しててね。ステラの口調がかなり荒れていたのよ。一番酷い時なんかはオレと言っていたわね」


「まあな。私の親達はああしろこうしろと、いちいち私のやることに口を出してうるさかったんだよ。それらは勿論、私の為ではなく、自分達の為にな。親達は私を自分達の為のただの道具としか思っていなかったんだよ」


「だから、荒れていたのか?」


「そういう事だよ。八つ当たりという事は判っているが、その当時は八つ当たりをやらないと気が済まなかなったんだ」


「本当、その当時はかなり当たっていたわね?当時の学園長も貴女には手を焼いていたわよ?」


「どれだけ荒れていたのですか?」


 ママの言葉にエリサが反応した。


「かなりだよ。だから、今でもこういう口調なんだよ。別に直す気はないがな」


「なるほど、なるほど」


 本当はメモを取りたかったが、風呂では無理。


「聖!納得しているな!」


「そうは言ってもね?色々と参考は大事だし、俺自身がどうなるか判らないですからね?」


「それはそうだがな?」


「聖さん自身はどうしたいのですか?前世は男性だったと言っていましたが、今は女性に成っています。聖さん自身は女性に成りたいのですか?それとも女性でありながらも前世の男性の部分を残したいのですか?その方針を決めれば、聖さん自身がどういう人生を生きたいのかの設計が判ってくると思いますが?」


 と、ルエルさんが言った。


「まあ、確かにルエルさんの言うとおりだね。方針、方向性が分かれば、自分がどうするかが、判るか」


「そうです。聖さんは、今は女性の身ですが、男性の部分も持っています。どういう形が聖さんらしいのかを見据えた方が良いかと」


「そうだね。ありがとう、ルエルさん」


「いいえ、お役に立てて光栄です」


 ハァー。なんだろう?やることというか、やらなきゃいけない事が増えているぞ?気のせいか?

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