正体2
「では、そのモノは魔族か悪魔になりますね?しかし、私の予想では、魔族でしょうね?」
「ウム、妾もそう思うな」
ミカ姉ぇとヒルドさんが言った。
「その根拠は?」
「悪魔は、私達、天使や神様の成り果てですよ。私達、天使が悪の心を持った時は堕天使と成ります。そして、その堕天使が更に悪の心を持った時は悪魔と成るのです。悪魔に成った時点でもう元の種族には戻れません。神様も同じです。神様は邪神や悪神と成り、最後は悪魔と成りますから。そして、魔族ですが、悪魔と他の種族が交じり合って出来た子供を指す言葉です。要するに魔族という名称は悪魔のハーフやクオーターという事になります。その闘鬼も魔族かと思いますね?ちなみに悪魔同士では産まれませんので」
「なるほどね?では、天使はどうなの?」
興味本位で聞く。
「天使は女性天使が1人で産みますが、それは生涯でただ一度だけですよ。私はまだ産んだ事はありません」
「そうだよね?ルエルさんは?」
「私もまだですよ。それに産むといってもそれは私達の分身ようなモノですので、産む時期とか見極めてから産むようにと言われましたよ」
「そうなのか?」
「はい」
「なるほどね?しかし、闘鬼が魔族と仮定とした場合にアトランティス王の魂は偶然に闘鬼という魔族に転生が出来るの?俺の仮説は、悪魔か邪神の誰かがアトランティス王を闘鬼として蘇らしたと考えるが?」
「ウム………じゃとしたら、かなりの高位の悪魔になるかのう?」
「そうですね?聖さんが言った事が正しいと仮定とした場合には、そのモノは元神で、魔王クラスの実力を持った悪魔に成りますね?」
「そうじゃのう」
「少なくとも、闘鬼として蘇らしたならソイツはレイナクラスの実力を持っているか?」
「そうですね。そうなりますね?まあ、闘鬼というモノが悪魔なのか、魔族なのかは、不明ですが、今後は厄介な敵になるでしょうね?」
「そうだな。おそらく、俺達の前に立ちふさがって来る敵になると思うな」
「ハァー、また厄介な問題が出て来たわね?我が王国ももっと守備力を強化しないといけないわね」
俺達の話を聞ていたエリサが、溜め息混じりで言う。
「そうだね。これは俺達だけの話でもなかったな?」
「そうよ。私の王国も関係して来るわよ!これは陛下に報告しないといけない案件だわ」
「聖さん?この女性は一体?」
「ああ、俺達の友達の」
「エリサ・クレア・ファーネリアです。わたくしは、この王国の王女をやっておりますが、学園にいる時はエリサとお呼び下さい」
と、エリサは軽やかにお辞儀をした。
「そうだったのですね?」
「なるほどのう?じゃから、奥方様はデン殿を寄越したのか?じゃがのう………(ボソッ)」
ミカ姉ぇとヒルドさんは納得していた。
「ルエルや?」
学園長がルエルさんに声をかけた。
「は、はい!なんでしょう?」
いきなり声をかけられたので、ルエルさんがビクッとしながら答えた。
「ワシは天使のおぬしに会えて良かったわい。おぬしが人間の頃の記憶を無くしても、ワシはおぬしの人間だった頃の事をしっかりと覚えておる。それに今の姿は死んだ頃のおぬしの姿じゃよ」
「そうですか………ごめんなさい……私は判らなくて…………」
「良い。それにワシはおぬしに謝りたい。ワシのせいでおぬしを死なせた事やいろいろと苦労をかけてしまった事をのう。そして、知らなかったとはいえ、あの時、いきなり抱き付きそうになった事もじゃ。すまぬ」
「いえ、私は人間だった頃の私はもう居ません。それに私も貴方を回し蹴りで蹴り飛ばしてしまいました。ごめんなさい」
「イヤ、そのおかげで現世に戻れたのじゃ。気にするでない」
「は、はい………」
「それで、ルエルはいつまで、居られるのじゃ?まさかもう還るのか?」
「い、いえ、王妃様か神聖王達が迎えに来てくれないと私は帰れません。私は転移魔法が苦手でして」
「そうか、天使になっても苦手か?では、相変わらず、明後日の方向に転移してしまうのじゃな?」
「い、いえ………必ず体の一部分が切断してしまって………」
「な、なんじゃ?人間の頃よりも更に酷くなっておるのう?」
学園長は困惑な顔して言う。まさか、人間だった時よりも今の天使の方が酷いとは思わないだろうな。
「そ、そのようですね?人間だった頃の私の方がマシでしたね?」
その通りだな。
当のルエルさんはなんとも言えない表情をしていた。