使い魔召喚9~置いて行かれる天使~
「…………」
ミカ姉ぇの問いかけに黙っているレイナ。
「それにな?このやりとりは、父さん達が観ているからな?さっさと還らないと、あんた、また、罰を受ける羽目になるぞ?」
「なんでよ?なんでボクがまだ罰を受けないといけないの?」
全く、理解していないな?
「ハァ~。あんたが出奔したから、絶対に行き場所はここと直ぐ判る。出奔した同時にここにライヴで父さん達に映し出しているよ。で、今までのやりとりが丸分かりだ。自ずと判るだろう?自分がどういう過ちをしているかを?父さん達がどういう行動を移すかを?」
コレは脅しでもなんでもない本当の事だ。
「では?また、謹慎処分ですかね?」
「イヤ、ミカ姉ぇ、レイナには謹慎処分では効かないよ。レイナが一番効く方法は、ミカ姉ぇに一生会えない事だよ」
「「あっ!?」」
ミカ姉ぇとレイナが同時に声を上げる。
「た、確かに効きますね?」
「嫌だ!ミカちゃんに一生会えないのは嫌だ!!」
短い手足をばたつかせていた。
「なら、大人しく、自分で神界に還るんだ。そして、真面目に世界神の仕事をすれば、あんたの評価も上がるし、ミカ姉ぇにも堂々と会えるだろう?その時に甘えれば良いだろう?俺達、神の寿命はほぼ永遠だ。それに100年もしないうちに俺も神として神界に還るんだ。その時はミカ姉ぇも一緒さ」
「そうですね。レイナ様?レイナ様が独り立ちしたならば、また会いましょう。私はレイナ様には立派な神様になって欲しいのです。勿論、ここに居る聖さんよりも、どの神様よりも、それが私の願いです」
「ミカちゃん…………」
「レイナ?ミカ姉ぇはあんたをまだ見捨ててはいないが、それ以上我が儘を続けると、本当にミカ姉ぇからも父さん達からも見捨てられるぞ?これは最後通告だ」
「そうですね?これ以上、我が儘を仰るなら、私は、もう二度とレイナ様に会いませんよ」
「わ、分かった~ボクは神界に還る。ミカちゃんに二度と会えなくなるのは耐えられない。でも、これだけは確認したい。ミカちゃん、ボクはミカちゃんの事を本当にお母さんと思っているの。ボクはミカちゃんと一緒に居られて幸せな気分を味わったよ。ミカちゃん?いいえ、お母さん。こんなボクだけど、ボクをミカちゃんの子供にして欲しいの」
「しかし、レイナ様、貴女は神聖王様達の」
「関係ない!ボクにとっては、本当のお母さんはミカちゃんだけ」
「レイナ様………」
「良いんじゃあないの?俺達にとってがぶり姉ぇが母親だ。それにここにも母親が居る。ミカ姉ぇがレイナの母親でも良いと思うよ?」
俺はフォローをする。
「聖さん………分かりました。私もレイナ様を見捨てる事は出来ませんから」
「お母さん!!ありがとう。ボクを見捨てないでくれてそれだけでも嬉しい」
「はい。でも、私もまだまだ新米の母親ですが、レイナ、再会した時は、私は貴女の母親と誇れるよう努力をします。レイナも立派な神に成って下さい」
「うん。お母さんに沢山褒められる神になるね~」
「はい、楽しみにしていますよ。レイナ」
レイナは嬉しそうに魔法陣から還って行った。
「やれやれ、俺達も戻るか?」
「そうですね?皆さんに迷惑をかけてしまいましたね?」
「そうだな」
と、俺達も戻ろうとした時に。
「神様!レイナ様!私を置いて行かないで下さい!!」
天使が残っていた。
「「あっ!」」
俺達もすっかり忘れていた。
連絡:明日(10/7)の更新はお休みします。m(_ _)mゴメンナサイ