使い魔召喚7~暴走する神~
魔法陣から飛び出して来たのは。
なんと、レイナだった。
相変わらずの上下ジャージ姿で、血の涙を流しながら。
「ミカちゃん~~~~どこ~~~~?」
と、言って徘徊していた。更に、レイナの腰にしがみついている天使が。
「神様!レイナ様!落ち着いてください!王妃様!助けてください!なんで就任した早々こんな目に遭わないといけないのー!」
と、天使は天使でレイナに引きずられたまま叫んでいた。
この光景を見た俺達は。
「「はあ?」」
と唖然となった。
なにこのカオスは?どういうコトだ?
「ミカ姉ぇ?」
「言わないで下さい!」
ミカ姉ぇは、拒否する。
「しかし、しがみついている天使はさっさとレイナ様から離れれば良いのに?どうして、しがみついたままのですかね?」
「おそらく、レイナを止めるのに頭が一杯なのでしょうね?でも、レイナは血の涙で見えていないな?」
「ええ、私の魔力を辿って来たのでしょうね?」
しかし、レイナは、あっちこっちにクンクンと鼻を嗅いでいた。まさか?ミカ姉ぇの匂いでここまで来たのか?
「レイナ様………嘆かわしいです………」
ミカ姉ぇはガックリと肩を落とす。
「しかしさ。レイナがあそこまで、ミカ姉ぇは捜しているという真実は変わりはないよ?もしかしたら、レイナにとってはミカ姉ぇは母親ような特別な存在なのかもしれない」
「そうですかね?ただ、レイナ様は、私の胸にご興味があるだけですよ?」
「なら良いけどさ?俺達もがぶり姉ぇに育てて貰ったからさ。もし、がぶり姉ぇと突然の別れたら、レイナと同じ行動をするなと思ってな?レイナとの付き合いは長いのでしょう?」
「そうですね。かれこれ30年以上はなりますか?」
「人間なら、十分に長いよ?」
「そうですね?しかし、どうすれば?」
「ミカ姉ぇは今は俺の姉でパートナーだよ!」
「聖さん?」
「ミカ姉ぇ?しっかりと、訣別をしたいなら、そう割り切らないと、後で、辛くなるだけだよ?それにさ。レイナには独り立ちをして貰いたいのでしょう?」
「そうですね」
「あっ!ミカちゃんの声がした~近い~!!」
「まずいな?逃げるか?」
「いいえ。おそらくは無理ですよ」
ミカ姉ぇが指を差すとレイナが近付いて来ている。そして、確信したように。
「見つけた~!!ミカちゃん~ボクだよ~迎えに来たよ~」
と、レイナが飛んだ。天使がしがみついたまま、ミカ姉ぇの胸に。
が、目標だった。
レイナは距離と方向を間違えて、俺に抱き付いた。
「「え゛っ?」」
「ミカちゃん~会いたかった~」
と、レイナはお構いなしに俺の胸に顔をうずめて、グリグリとやる。
「オ、オイ!や、やめっ!!」
さすがの俺もこれには参った。
「ん?コレ、コレはミカちゃんの胸ではない!!おのれ!このボクに偽物の胸を」
ゴチン!!
「イッター!?」
俺は頭に来て、魔力を込めて、レイナの頭に拳骨をおみまいした。
「オイ!なにが偽物の胸だ!この体はあんたが創った体だぞ!」
「ふえ?」
レイナが惚けている。
「ちょっと!そこの人間!なに神様の頭を叩いているのよー!」
「うるさい!あんたは黙っていろ!これは俺とレイナの問題だ!」
「なっなんですって!これでも、私は、熾天使なのよ!!」
「あっ!?熾天使だぁ?あんたは熾天使になったばかりだろう?ミカ姉ぇに比べたら弱いよ!」
「なっ!?」
絶句する天使。まあ、この天使の名前は知っているけど、余計にややこしくなるから言わないが。
「で?レイナ!よーくーもー俺の体を女にしてくーれーたーなぁー?どれだけ大変だったか教えてやろうかぁ!!」
俺はレイナを睨み付ける!
「あっ!!お兄ちゃんなの?」
「そうだよ!まさか忘れた訳では無いよなぁ!!飛んで火に入る夏の虫さんよ!!」
「うっ!?」
で。
俺はレイナの尻をペンペンと叩いたのだった。