使い魔召喚3~リクの場合~
「次はリク!」
「は、はい!」
リクは緊張しているようだ。
「あ、あのお姉さま。魔法陣に行くまで手を握ってくれませんか?」
「はいはい」
リクの手を握ると、クラスメートが騒ぎ出した。
『これはやっぱり百合!』
『義理の姉妹での百合!』
『委員長!妹とどこまでいったの?』
「うるさい!リクは緊張しているから、握ってあげているだけだよ!!」
ジロリッと睨みつける。
「お、お姉さま?私はお姉さまとなら」
顔を赤くしていた。
『妹の方は満更でも無いぞ!!』
「リク?緊張は解けた?」
「はい」
「なら、さっさと行きなさーい!!」
「は、はい!」
慌てて、魔法陣に行き。そして、血を垂らすと。
魔法陣が光り出す。今まで、こんな現象はなかった。
「ま、眩しいです!」
魔法陣の光りがやみ。1人の特徴がある戦闘服を着た美人な女性が現れた。
「あ、貴女は誰ですか?」
「ウム、妾はアースガルズに所属しておるヴァルキューレのヒルドじゃ!これでも神じゃ」
「神様のヒルド様ですか?私はリクです。よろしくお願いします」
リクは頭を下げるが。
「フム、お主も神ではなかったのかえ?神の気配がするがのう?」
ヒルドは首を傾げた。
「あっ、一応、そうですよ。でも、私はまだ神という自覚がないのですよ」
「そうなのかえ?妾は神聖王様の奥方様に頼まれてやって来たがのう?うーむ、神の気配からこの者じゃと思うたが違うたかのう?」
「えっ?母上がヒルド様を?」
「ん?やはり、お主で合っておるのかえ?」
「あっ、はい!合っていますよ。私は父上と母上の養子になりましたので」
「判った。では、妾と契約じゃ!」
「あっ、はい!えーっと、どうすれば?」
「お主の手を妾の頭に乗せて、魔力を流すのじゃ!さすれば、妾との契約は完了じゃよ」
「分かりました。魔力を流しますね?」
リクは、ヒルドに魔力を流すと。
「お、お主の魔力は凄いのう。妾よりもあるではないか。もっと自信を持て」
「あっ、はい!ありがとうございます。ヒルド様」
「妾の事はヒルドでよい。お主は今この時を以て妾のあるじに成ったのじゃ」
「分かりました。ヒルド。後、皆の前では、神とは言わないようにして下さい。私とお姉さまは人間として暮らしていますから」
「あい分かったのじゃ。では、参ろうか。妾もしばらくは主と暮らすからのう」
「分かりました。行きましょうか」
「ウム」
リクは戻って来た。使い魔を連れて。
「ただいま戻りました」
「「「お帰りなさい」」」
「って?この人がリクの使い魔なの?」
エリサが訊ねた。
「はい。名前はヒルドです」
「へぇー、良かったわね」
マリアが言ったが少し悔しそうだった。
「フム、小娘。人間にしてはなかなかの魔力量じゃな」
「私は小娘ではなく、マリアだよ。で?貴女はリクと住むの?」
「ウム、妾はしばらくは厄介になるつもりじゃ」
「そうなの?じゃあ、私達の名前位は覚えておいた方が良いわね」
「ム?何故じゃ?」
「一緒に住んでいるからですよ」
リクはヒルドに小さな声でその事情を話した。
「なるほどのう。あい分かったのじゃ。この事は後の方が良いな?」
「はい」
「最後は聖!」
『最後は委員長か。何を召喚するのかな?』
『神様かな?』
『それとも、ドラゴンかな?』
『イヤ、両方共に無理だろう。人間には従わないぞ』
「まあ、確かにのう。妾も普通は使い魔になるような神ではないがのう」
うんうんと、賛同していた。
『もしくは魔王だったり?』
『委員長なら有り得るかもな!』
「はい!そこ!うるさいよ!神様ならともかく、ドラゴンと魔王は、禁忌召喚レベルだと思わないの?」
俺が注意すると。
『あっ!?』
と、全員が声を上げた。
全く、特に魔王なんて、禁忌レベルを通り越しているぞ。禁断召喚の悪魔召喚でしょう。
制作裏話
当初、リクの使い魔は新撰組、一番隊組長の沖田総司にしようと思いましたが………主のリクが拳で、使い魔の沖田総司が剣(日本刀)では、バランスが悪いなと思い、北欧神話のヴァルキューレのヒルドを採用しました。ヒルドはヴァルキューレの中では有名な神で、他の物語でも度々登場するそうです。
ヒルドの喋り方や戦闘は、私、作者のオリジナルです。色んな方言や喋り方を混ぜています。妾もヒルドに合うと思いそうしました。
ヒルドの意味は戦いですので、ヒルドの性格は戦闘民族(神)です。
ヒルドの戦闘スタイルは主に素手ですが、場合によっては刀剣類や槍、弓も扱える武芸百般です。あと魔法も使えますがあまり使用しません。