使い魔召喚2~エリサ・マリアの場合~
5個の魔法陣はかなり能率良く、スムーズに進んで行っている。俺達のクラスが一番早く終わりそうだな。
隣のクラス、B組が騒ぎ出した。まさか、禁忌召喚か!?
『先生!イスラが、召喚した使い魔に、化けガエルに食べられました!!』
『はあ?禁忌召喚でもないのに何故?』
『さあ?ただ、イスラはあの化けガエルを見て可愛いですわと言って、近づいた時に食べられてまいましたが………』
『あっ、その化けガエル。魔法陣から還って行きました!!』
と、言っていた。隣のクラスは大騒ぎだった。これも使い魔召喚の事故か?
「おいおい?そんな事故初めてのケースだぞ。いきなり使い魔に成る予定だった奴に食べられるヤツなんて………」
ステラ先生も困惑していた。
「ま、相手はカエルですからね。動いたモノは、なんでも直ぐに口の中に入れてしまいますよ」
「だよな?ま、これも召喚の事故だな。これもう何も出来ないな」
もう、カエルが還って行ったなら、こちらからはもう手出しが出来ないな。でも、禁忌召喚ではなかっただけ良かったな。
そして、うちのクラスはエリサの番がやって来た。
「じゃあ、行って来るわね」
「「「行ってらっしゃい」」」
エリサは魔法陣に血を垂らすと、小さな子どもが出て来た。
「やあ、初めまして、オイラは、雷のデンって言うんだ。お姉さんは?」
「私はエリサよ」
「エリサか?良い名前だね。うん、さっそく使い魔契約をしようか」
「えっ?もう良いの?(闘う覚悟はしたのだけどね)」
「いいよ。エリサの手をオイラの頭に乗せて魔力を流せば、契約完了だよ。簡単でしょう」
「そうね」
エリサはデンの頭に手を乗せて魔力を流した。
「契約完了だよ。じゃあ、オイラが必要な時には喚んでね」
「えっ?一緒に来ないの?友達に紹介したいわ」
「うん、今はダメなんだよ。じゃあね」
デンは還って行った。
そして、エリサも魔法陣から戻って来た。
「ただいま~」
「「お帰りなさい」」
「お帰りなさい。結構な大物と契約したようだね?」
「えっ?そうなの?私は、ただ、流れに身を任せた感じだったわ」
「ま、後で教えるわよ」
「分かったわ」
「次!マリア!」
「はい。行って来ます」
「「「行ってらっしゃい」」」
マリアは魔法陣に血を垂れ落とすと、4つの魔法陣から火柱が上がった。
「わっ!びっくりした!」
「おいおい!まさか、他の魔法陣から、火柱が上がるとはな。マリアを1人でやらせて正解だったな」
先生もびっくりしながら言うと、クラスメートも。
『本当だな。マリアと一緒にやっていたら、黒こげになるぞ!』
『本当だわ。こればかりは先生に感謝だわ』
『しかし、マリアの魔力量って、急激に増加したよな?』
『ああ。それに、ああいう手のトーナメント戦は、大体は一回戦で敗退していたが、今回はブロックとは言え優勝したもんな』
『そうだな?一体、どうしたら、あんなに魔力量が増えるんだ?』
と、クラスメートは困惑気味に喋っていた。
一方、マリアの方というと。
『どうだ、驚いたか?』
魔法陣からトカゲが出て来た。それを見たマリアは、【グシャリ】と、容赦なくそのトカゲを踏み潰す。
『ちょ、ちょっと待て!何故、吾輩が、いきなりお主に踏み潰されないといけないのだ!そして、まだ生きているからといって、グリグリとやるな!吾輩の口から普段出てはいけないものが!?』
「うるさいな!あんたが、いきなりああいう事をやったからいけないのでしょう!おかげで、寿命が縮んだわよ!!サラマンダーの癖に!!」
そう言って、マリアは踏みつけを止めた。
『吾輩は、サラマンダーではない!火の精霊王だ!!』
「はあ?あんたが火の精霊王?こんな変チクリンなトカゲの姿で?」
『す、姿はどうでも良い!吾輩とお主の一族は遠い昔に吾輩の力を分け与えたのだ!そして、必ず我が一族を使い魔契約をするという約束でな。その証しが、お主のその髪の色、ワインレッドなのだよ』
「へぇー?そうなの?で、なんであんた親玉が出て来たの?」
『単なる暇潰しだな?最近は結構暇でな』
火の精霊王が胸を張って言う。
「……………判ったわ。あんたは還ってくれる?私はあんたは要らないし、おそらく、あんたとは相性が良くないわ」
『なに!?か、還れだとう!?吾輩は火の精霊王ぞ!火の魔法の使い手なら誰もが憧れの存在だぞ!?』
「ふーん?そうなの?でも、やっぱり、私にはあんたの力は必要無いわね?それに私は、あの一族とは一切関係ないわ。後、もう、あの一族との契約を辞めたら。もうあの一族の本家は完全に滅ぶのだしね。それにあんたは火の精霊王でしょう?」
『そうだが?それが?』
「あまり威張り腐っていると周りの部下が付いて来なくなるわよ。あんたはプライドも高そうだしね。それが私と合わない一番の理由かな。絶対にケンカ別れをするわ。それでも契約するの?しても私はあんたを喚ばないわよ。それが判っているからね」
『ぐっ!?わ、解った。そこまで言うのなら、吾輩もお主との契約を辞めておこう』
「それが、お互いの為に良いわ。じゃあね」
火の精霊王は魔法陣から元の世界に還っていく。
マリアは使い魔の契約をしなかった。
「ただいま……」
「「「お帰りなさい」」」
「お姉ちゃん…………私、契約出来なかったわ」
「そうか………でも、仕方ないな。相性があるからな」
「うん………」
マリアは少し寂しそうだった。
制作裏話
エリサとマリアの使い魔は大体決まっていました。
エリサの得意としているのは雷系ですので、雷系の使い魔に。(デンの正体は後ほど明らかになります)
マリアは火系なので、火系の使い魔にしました。そして、マリア達の髪の毛の色の秘密もこの回で明らかになりました。しかし、マリアは火の精霊王を拒否してしまいました。
はっきり言いますと、別のサイトで書いてみましたが、登場したは良いけど、この火の精霊王は、書いてみて非常に扱いづらいキャラクターに変貌し、今後の展開上使えないという判断で作者都合で、作中でボツとなり、このサイトではああいう展開となりました。(別のサイトでは、実際に些細なことでケンカをして使い魔を解除してしまいます)
またマリアの新たな使い魔は登場しますので。
次回はリクになります。お楽しみ。
ちなみにイスラは生きています。途中で、吐き出しましたので、おそらく、食中りでしょう。