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アルフレッドの悪足掻き

 先生がリクに勝利宣言をした時に、アルフレッドは意識を取り戻していた。


「(ふざけるな!ふざけるなよ!!オレはフレイム家の嫡男のアルフレッドだ!こんな田舎臭い女に負けたなんて認めない!認められる筈がない!オレの最大魔法で焼け死ね!)」


 アルフレッドは、最大魔法。【炎の皇帝(フレイム・エンペラー)】の呪文を密かに誰も気付かれる事もなく唱えていた。


「(お姉さまは、勝っても油断禁物だと言っていました。念の為に!)」


 リクは武舞台に背を向け降りようとしている。


「(今だ!)しまった!ボクの剣が暴走した!」


 アルフレッドはわざと大きな声をあげて、準備していた魔法をリクに向けて放った。


「(これで焼け死ね!)」


 もの凄い炎がリクを襲う!


「えっ?」


 振り返ったリクは巨大な炎に飲み込まれてしまった。


 その光景を見た()()()()()


「ウソ!」


「リ、リク!!イヤー!!」


 マリア達が悲鳴をあげた。周りの生徒達もざわめいて、半ばパニック状態に。


 アルフレッドは人知れずにニヤリとしていた。


「オイ!炎を消せ!早く!」


 ステラ先生がいち早く動くと、連動して、他の教師達も動いた。


「聖!早くリクを助けないと!」


「ん?ああ、そうだね?」


 エリサの声にのんびりとした声を出す。


「オイ!聖!なにのんきな声を出しているんだ!お前の妹が燃えているのだぞ!」


 先生が怒鳴っていたので、もう限界だな。


「リク!さっさとその炎から脱出しなさい!皆がパニック状態になっているぞ!!」


「「えっ?」」


「なに?」


「(なっ!?な、なんだと!?オレの最大魔法の中で生きている筈が)」


「はっ!!」


 リクは気合いで炎を吹き飛ばした。


「あー、もう少しで日焼けならぬ炎焼けするところでした」


 のんきな事を言うリク。それもその筈、全くケガや火傷一つしていない。それどころか、服にも焦げた形跡がなかった。


「(そ、そんな!?バカな!!この魔法は、フレイム家に伝わっている最強の魔法なんだぞ!?どうして、無傷なんだ?や、ヤツは、ば、化け物か????)」


 リクの姿を見て完全にパニック状態のアルフレッド。


「アルフレッド!貴方は、重大な規律違反を犯しました!よって貴方を学園の処分対象者にいたします!」


 ジェーン先生が激怒している。


「ま、待ってください!ボクは何もやっていません!この剣が勝手に暴走しただけです!」


「ほう?暴走ね?その剣は【炎の皇帝(フレイム・エンペラー)】が出せるのか?なら、もう一度出してみろ!」


 釈明したアルフレッドにステラ先生が噛みつく。


「…………」


 アルフレッドは黙ってしまった。出せっこがない。その剣はそういう能力は無いし、アルフレッドの魔力量が、大幅に減っている。これは、自ら炎の皇帝(フレイム・エンペラー)を放ったことを意味している。それはステラ先生も分かっている上で言っている。


「オイ?どうした?出せれないのか?」


 先生はアルフレッドを更に問い詰める。


『先生!アルフレッド様をいじめないで!アルフレッド様は、その剣が暴走したと言っていたじゃあないですか?だから許してあげて下さい!』


 一人の女子生徒が言うと他の女子生徒達も『そうよ、そうよ』と同調しているが、コイツらはバカなのか?


「ほう?お前達はこの殺人犯を許すのか?」


『さ、殺人犯って?』


 他の女子生徒達も頭に『?』を浮かべていた。


「ハァー。コイツは、アルフレッドは、今、一人の女子生徒を焼き殺そうとしたのだぞ?それがなんだか解るか?既に殺人を犯しているんだよ!幸い、この生徒は無傷だ!しかし、お前達は同じような目に遭ったらどうだ?お前達では確実に死ぬだろうな!!でだ!お前達はアルフレッドを許してと言ったな?もし、お前達の身内が同じ目に遭ったら、お前達はアルフレッドを許すのか?もし、そうなら、お前達は大した大馬鹿者達だよ!!」


『……………』


 ステラ先生の正論に女子生徒達は黙ってしまった。


「皆さん静かにして下さい!学園長がお見えになりました」


 ジェーン先生が言うと、学園長が来た。ジェーン先生が学園長を呼んだのだろう。そして。


「アルフレッド・フレイム!おぬしを当学園から退学処分とする!じゃが、この授業を終わるまでは、当学園の生徒じゃ!判ったな!」


「………はい………」


 アルフレッドはガックリと肩を落とす。


「(クソが!こうなったら、父に言って、学園長以下教師全員クビにして、教師を一新してやる!俺の言うことを聞くだけの教師をな!!)」


 ○●○


 その頃、俺達は、アルフレッドの事を先生達に任せて学園長が来るまで、結界を張って話していた。俺達の会話を誰にも聞かれたくもないし、邪魔をされたくないからな。


「リクが無事で良かったわ」


「そうだね?でも、どうして無事だったの?」


「はい、新・闘気術を纏っていたからですよ。お姉さまのアドバイスが無ければ、危ないところでした。ありがとうございました」


 リクを頭を下げた。


「良いよ。しかし、俺もまさか本当にやるとは思わなかったよ」


「そうだよね?」


「アルフレッドはリスクを負ってまで、リクを殺したかったの?」


「おそらくは、くだらないプライドのせいだよ。アルフレッドのヤツはプライドが高く、今まで誰にも負けた事がないのだろうね?」


「あっ!だから、後先考えずに?」


「そういう事だな。ま、元々、アルフレッドは退学処分確定だからな?しかし、その前に暴走してくれたからな?どうなるか?」


「そうね?」


 学園長が来たので結界を解除した。学園長が、上手くやってくれた。後はガルーガを倒す前に屋敷に侵入して、資料を盗って来るだけだな。

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