部屋でくつろぐ29
俺達が空間に行くと、マリア達がいた。灯台下暗しとはよく言ったものだな。
2人は組み手で格闘の練習をやっていた。
「やっ!」
マリアがリクに対してパンチを繰り出すが、リクは余裕綽々でかわす。マリアのパンチは、素人がやるパンチの攻撃だ。リクなら凄く読みやすい。
「やっぱり、当たらないわ」
「まあ、マリアさんの攻撃は凄く分かり易いですから、私のように武術をやっている人達には簡単にかわされてしまうのですよ。やっぱり、練習を積み重ていかないと」
そうリクは言う。
「地道にやらないといけないわね?」
「そう言う事ですよ」
「よし、もう一度よ」
「はい、どうぞ」
「ハッ!」
マリアは蹴りを放った。
リクにとっては不意打ちだったらしく対応に少し遅れ、マリアの蹴りを受け止めた。
「(ニヤリ)どう?今のは?」
「くっ!?やられました………パンチばかりと思い込んだ私がいけなかったです」
リクはしきりに反省をしているようだった。
ま、母さんの元で50年も修行をしたにもかかわらずに、魔法使いのマリアに油断があった。リクもまだまだ修行不足だね。
一方、マリアはパパの血を受け継いでいるので、蹴りはそこそこの打撃の攻撃は出来そうだが、やっぱり、本質は魔法使いだね。パンチもそうだが、体重が乗っていない。
「はい、そこまでだ!」
「「あっ!」」
俺の声に気付いた2人。
「お姉ちゃんに先生!いつからいたの?」
「貴女達が組み手をやっている時だ。それと、書き置きぐらいはしておきなさい?心配したから」
「ごめんなさい」
2人が謝る。
「はい、じゃあ、お風呂に行きましょうか?2人共、汗をかいたでしょう」
俺達はお風呂に行き入った。
「お姉ちゃん?悪霊はどうなったの?」
「ああ。全くくだらない理由だったよ」
3人に経緯を言う。
「はぁ?オールバック?」
「それの事をバカにされて、悪霊に成ってずっとC組を呪っていたのか?」
「ねぇ?くだらない理由でしょう?」
「確かにね?」
「そうだな。くだらない理由だな」
「お姉さま?その悪霊○フォイというのは何ですか?」
「ん?前世の時に、見た芝居で、オールバックをした子役がいたのよ。その子の役名が○フォイだったのよ。ただそれだけだよ」
「そうだったのですか?」
「オールバックの子役か?どういう役柄だ?」
「はい、分かり易い悪役ですよ。芝居ですから、客達に人相でも分かり易くしたのですよ」
「なるほどな。悪役ぽく、髪の毛をオールバックにしたのか?」
「だと思いますよ」
「そうなんだ?魔法陣は?」
「あっ?魔法陣か!私が頑張ってやらなくても良かったぞ!コイツは、本の魔法陣をそのまま、コピーしてな、地面に焼き付けたんだ。聖!!私の苦労を返せよ!!」
先生は風呂の中でスネた。
「そんな事を言われてもね?さっきから言うように試しにやってみた魔法ですよ?それに今日の夕食は先生の好きな料理を作ると言ったじゃないですか?」
「分かっているが、あんなのを見せられたら、真面目に魔法陣を描くのがバカバカしくなるぞ!お前がやればたった5分で全てが終わるぞ」
「まあそうですね。あの方法を更に、複数に拡散したら、一度で終わりますね。写して描く行為は無くなりますね」
「だろう?」
「しかし、今のところ出来るのは俺だけですよ」
「そうだが、写しの魔法陣なら、お前1人でコトが足りるのも事実だ。何十、何百とコピーが出来るからな?」
「うん?何百?」
「ああ、おそらく、来年からは使い魔召喚魔法陣は、お前に全て任せると思う。勿論、その労働の給金は出るだろうがな」
「はあ?何故?」
「私が言わなくても、必ず学園長の耳に届くぞ」
「あっ!?あの教師か?」
「そう言う事だ!教師が学園長に言えば、学園長も直ぐに分かる。学園長もお前が魔法陣を描くのは知っているからな」
「うっ!?」
早く終わりにしたのが仇となったか…………。しかし、やってしまった事は仕方ないな。