聖が魔法陣を描くとこうなるが、ステラ先生がスネてしまいます
俺は転移魔法で、第一校庭に行くと、広大な校庭が目の前にあった。各担任教師達が魔法陣を描ていたが、各クラスの場所の間隔が広く取られていたので、奥にいる教師が見えない。
『よし、漸く、1個完成したな。ん?そこのお前?見かけない顔だな?ここは召喚魔法陣を描いている最中で教師以外立ち入り禁止だぞ!』
俺が歩いていると、違うクラスの担任教師に呼び止められた。
「そうですか?私はステラ先生に呼ばれ来ましたので」
『何?ステラに?何故お前が?』
「なんでも、魔法陣を描くのを手伝って欲しいと」
『はあ?お前?新任の教師か?』
「いいえ、転入したばかりの生徒ですよ。クラスはA組で担任教師はステラ先生ですよ。まあ、一応、クラス委員長をやっていますよ」
そう説明した。
『生徒だと?ステラの奴はなに考えているんだ!オイ!行くのをやめておけ!お前がどの位の魔力を持っているか知らんが、おそらく、魔法陣1つも出来ないだろうよ。このステッキに自分の魔力を込めて、消えないように描くのだからな。相当な魔力量を使うぞ』
「ああ、知っていますよ。それが大変だと言っていたので手伝いをするのですよ。それでは」
俺は頭を下げ、ステラ先生の所に行く。
『チッ!どうなっても知らんぞ!』
教師は魔法陣を描くのを再開した。
そして、俺は先生の所に着いた。
「先生」
「おおっ!漸く来たな。私は2つ目を描き終えたんだ」
「そうですか。ああ、これが魔法陣の図面ですか?やっぱり、複雑な魔法陣をしていますね?」
「そうだろう?そのノルマが3個だからな」
「じゃあ、後1個ですね?頑張ってください」
「違う!私の所は5個だ!さっさと使い魔召喚を終えたいからな」
「ああ、万が一の事故に備えてですか?」
「そうだ。授業でやっただろう?だが、訊かない奴がいるかもしれんからな。だったら、さっさとクラスの連中を終わりにさせた方が安全だ!だから、聖には1個、描いて貰いたい。残り2個は私が描くからな」
「分かりました」
「ホラ!マジックステッキだ!」
先生が棒を渡そうとするが。
「コレは要りませんよ。この図面の魔法陣を完全コピーすれば良いのですよね?」
「ああ、そうだがな?とうするんだ?」
「こうしますよ」
図面の魔法陣を魔法で浮かび上がらせて、拡大してからそのまま地面に焼き付けた。
この光景を見た先生は呆然と立ち尽くしていた。
「…………」
「どうですか?」
「…………お、お前な!!こんな事を出来るなら、私に言えよ!!私の苦労は一体なんなんだ!!」
先生は言いながら、今度はorzをやっていた。
「嫌だな~?たまたま、上手く出来ただけですよ」
「フン。そのたまたま上手く行ったのを後2個、お前がやれ!!」
そう言われて、同じように魔法陣をコピーをし、地面に焼き付けた。そして、5個の魔法陣が出来上がったのだった。
そして、先生が確認して、全てOKだったので、帰ったが、その帰り道。
「全く!どうして、お前は誰も思い付かない事が出来るんだよ!!」
と、愚痴っていた。
「そうは言ってもね?私もまともに描くのは面倒くさいから、そう思い付いただけですよ。まさか、こんなに上手く出来るとは思ってもいなかったのが本音ですよ」
「フン。もう、これからは、魔法陣関連はお前に任せる!そうした方が速いし、間違えもないからな!」
ますます、スネていた。
『よう?ステラ?どうした。やはり、この生徒の魔力が持たなかったか?』
「いいや、コイツのせいで、もう終わったからな帰るんだよ」
『オイ!嘘だろう?俺がこの生徒と出会ってからまだ30分も経っていないぞ?』
「嘘ではないぞ。ま、信じられないのは判るが、私のクラスの場所は判るだろう?そこに行けば、5個、魔法陣があるからな!じゃあな。行くぞ」
「はい、では失礼します」
俺達は歩いて行く。
『ま、マジかよ?そんな生徒がいたとはな?もしかすると、次の学期に俺のS組に上がって来るかもな?』
俺達は寮部屋に戻ったが、ステラ先生はスネる一方だった。
「先生?機嫌を直してください。今夜の晩ご飯は先生の好きな料理を作りますからね?」
「本当だな!」
「ええ、勿論ですよ。あっ!酒類を出せは無しですよ?ありませんので」
「分かっている!そんな事は言わん!」
「ただいま~」
部屋はシーンとしていた。部屋にはマリアとリクの姿がなかった。書き置きもなかった。
「うーん?どこに行ったのかな?」
「ま、そんなに遠くには行っていないだろうよ?もしかしたら、リクに案内をしているかもな?」
「なら、良いですがね?」
俺の表情が暗い。
「オイ!お前のその表情は、子供を心配している母親の表情だぞ?」
「俺は母親ではなく、姉ですよ。それは心配はしますよ」
「それでも、私には判らない感情だな?私は一人っ子だったし、親はうざい存在だったからな?」
「それは家庭の事情でしょう?あっ!捜していない所があった空間だ」
「ああ、そうだったな?もしかしたら、そこに居るかもな?」
「行きましょう」
俺達は空間に入った。