悪霊退治1~○フォイって誰?~
クッキーも食べ終わった頃。
「陛下、お迎えに上がりました」
バーストさんが転移魔法を使っていきなり俺達の目の前に現れた。
「わっ!ビックリしたわ!」
「わたくし、心臓が止まるかと思いましたわ」
「ちょっと?バーストさん?いくら何でも、転移魔法で来ないで下さい!ちゃんと玄関から来て!じゃないと、ホラ!学園長?大丈夫ですか?」
学園長が固まっていたので、声をかける。
「ウム、少し驚いただけじゃよ。まさか、執事をやっている者が転移魔法を使うとはのう?」
「申し訳ございません私は理由があり………」
「まあ良い。それは人それぞれじゃ。ワシもそういう思い込みでいたのじゃ」
「はい、ありがとうございます。ところで神聖王様達は?」
「帰りましたよ」
「そうだったのですか?神聖王様に自由に来いと言われましたので」
「うん、自由過ぎるよそれ」
「申し訳ございませんでした。以後気をつけます。陛下、王妃様、そして、お嬢様、改めましてお迎えに参りました」
「ん?クレアもか?確か、今日は晩餐会は私達だけの筈だが?」
「はい。その予定でしたが、主催者側の要望で、お嬢様。王女様も是非ご参加を。と、こちらに連絡が入りまして、私達にはどうする事も」
「そうだな。確か、今日の主催者は」
「はい、6大貴族の火貴族の当主、バラル・フレイム様です」
「そうだったな?」
「まさか、さっき話していた者が主催者とはね?しかし、それは、前々から決まっていた事ですよね」
「ああ、そうだな。私は、貴族達が開く晩餐会が嫌いでな」
陛下は溜め息混じりに言う。相当嫌っているようだ。
「どうしてですか?」
「晩餐会はわたくし達に媚びを売ってくるのですよ。わたくし達に気に入られば、より高い地位を得られる。と、勘違いをしているのですわ」
「その通りだ。だが、私は、本来、人柄と実力の重視でな。いくら、私達に媚びを売っても意味ないのだ。こうなって来るとただ鬱陶しいだけなのだ」
「あらあら」
陛下達に媚びを売る貴族達に無駄な努力ご苦労様と言いたい。
「ま、ここで愚痴を言っても仕方ない。クレアも行く準備を」
「分かりました」
「陛下?無理はしないで下さい」
「分かっておる」
「わたくし達はただ晩餐会に参加するだけですわ」
「そういうことよ。私達からは仕掛けないわ。相手がどう出るか分からないけどね?じゃあ、明日、教室で」
「ああ」
「うん」
「はい」
陛下達は俺達に挨拶した。
「では、行きましょう。転移!」
陛下達は去って行った。
「さて、学園長?これから悪霊退治に行きますよ」
「ウム、そうじゃったのう」
「私達はお留守番しているわ」
「ああ。その足でステラ先生の魔法陣も手伝ってくるから」
「分かりました」
「では、行きましょうか」
「ウム」
俺達は初等部の1年C組から見るが、昼間からポルターガイスト現象が起きている。
「あらら、椅子や机が浮いているな?」
「まさか、昼間からか?コレは驚いたのう」
「学園が休みと浮遊霊達も分かっているようですね」
「浮遊霊達?」
「ええ、ま、ここの浮遊霊達は害がない浮遊霊達ですよ。ただ、物を浮かしては楽しんでいるようですがね?」
「そうか?除霊はこれらはせぬのか?」
「そうですね。下手に害がない浮遊霊達を除霊してしまうと違う浮遊霊達が来てしまいます。その浮遊霊達が無害とは言い切れませんのでね」
「なるほどのう」
「ま、もし、悪さをすれば、ただちに除霊しますよ」
俺がそう言うと、ポルターガイスト現象が収まった。というより、教室の備品が綺麗に整理整頓がされていた。
「む?これは一体?」
「ああ、俺の今の声は言霊を乗せて、全て校舎にいる浮遊霊達にも聞かせていますよ。浮遊霊達は、俺の力が分かるようですね」
言霊は霊の言葉だ。声の音量は関係ない。
「なるほどのう。じゃから、大人しくなったのか?」
「ええ、次行きましょうか?」
「ウム」
俺達は各学年と部を回ったが、俺の言霊が効いているのか、各教室は異常は無しだった。学園(学校)という所は何故か霊が溜まりやすい。特殊な霊磁場があるのだろうか?
そして、最後の高等部3年C組の教室を開けると、いきなり、俺達をめがけて机が飛んできた。
「チッ!」
直ぐに防御結界を張る。更に。
「ホーリーイレイザー!!」
攻撃を仕掛けた霊に対して攻撃を仕掛け消滅させた。
「学園長?大丈夫か?」
「ウム。ここの浮遊霊は凶暴じゃな?この結界がなかったら、ワシらはただではすまんのう」
学園長の言うとおり、ここの浮遊霊達は皆が凶暴化していた。見境無しに、教室の備品を使って、俺達を攻撃をしているが、結界が全て防いでいる。
「面倒だ!全て消す!ホーリーディフュージョン!!」
拡散したホーリーイレイザーが、次々と凶暴化した浮遊霊達を滅ぼしていく。