その黒幕は誰だ?2~ママの正体~
「冢宰は私達に関係ある?」
「はい、と言っても、一番関係があるのはリリカですが」
「えっ!?ママが?それは一体?」
「リリカは、元火の貴族だったのです」
「「えっ?」」
俺達は驚く。まさか、ママが貴族だったなんて………。
「本当なのですか」
「ああ、本当だ。リリカは、火の貴族だよ。ま、私も元貴族だったがな」
「「「えっ!?」」」
そう答えたのは、ステラ先生だった。
「先生が貴族?」
「そうだ。と言ってもな。私の所は下流貴族だったんだ。で、両親が死んだから貴族の地位の陛下に返上した。私は貴族の地位には興味はなかったからな」
「だから、結婚も?」
「ああ、政略結婚だ。離婚をしたのはやはり両親の死んでからだ。私はソイツにも愛もなかったからな」
「だから、先生はママの事が詳しいのか?」
「そういう事だ。話の途中で悪いが、私は退席をする。召喚魔法陣を描かないといけない。聖、話が終わったら、第一校庭に来てくれ」
「分かりました」
「では、失礼します」
先生は、挨拶をして部屋を出て行った。
「で?陛下?ママと冢宰の関係は?」
「弟だ。現冢宰はリリカの実の弟なんだ………それに、リリカは火貴族の次期当主だったのだ」
「ママが次期当主?でも、それがどうして?」
「ウム、それはファルコンと一緒になった為だ」
「パパと一緒に?」
「ああ、当時のファルコンは私の親衛隊長の地位にいたが、出自は一般人だ。火貴族の次期当主のリリカと一般人出のファルコンが恋に落ちたが、しかし、当時の当主、リリカの父親と母親が猛反対してな。そして、神聖王様を盾に使ったのだ」
「はっ?盾に使ったって?」
神聖王になんの価値が?
「当時のリリカは熱心な神聖王様の信徒だった。そして、当時は信徒を辞めると王国追放という法律もあったからだ」
「では、当時は?」
「ああ、相当悩んでいたようだ。勿論、ファルコンもな。ファルコンは別れようとリリカに言ったみたいだったが、リリカは首を縦に振らなかった、そればかりか、ファルコンに言い詰めた。その程度の事で、私と別れるの。と。そして、あなたとなら、どこだって住めると、そうファルコンに言ったそうだ。当のファルコンは頭の天辺まで真っ赤っかになったようだがな」
「ママ、カッコイイわ。ね?お姉ちゃん?」
「そうだね。まさかの逆プロポーズだね。しかし、私達は、この王都に住んでいるけど、それは?」
「それは、私がその法律を排除したからだ。その法律は、私から見ても悪法だった。信徒ではなくなった者達はこの王国に住んではいけないのが納得出来なかったのだ。ファルコン達とは関係なく法律を排除に前々から動いていた。そして、私は多数の貴族達が反対する中で、勅命で断行した」
「そうだったのですか?ま、そんな法律は排除されても当然ですよ。所詮は人間の宗教繋がりでしょう?神聖王とはなんの関わりはない法律ですよ」
その法律は教会都合の法律だな。
「そうです。聖殿の言うとおりです。政治と宗教を分断しているにもかかわらず、その法律は宗教を保持する法律だった。あの悪法は教会を助ける為の法律だったのだ」
「それでも、貴族達が反対か?やっぱり、政治と宗教。イヤ、貴族達と教会の幹部達とが何かしらと繋がりがありますね?」
「そうね?貴族達はやはり教会幹部達と何かしらの癒着があるかも知れないわ」
「ま、それは闇貴族関連が片付いたらの話だね?」
「そうだったわ。しかし、その当時の火の当主は冢宰に座っていたのでしょう?その冢宰の座をその現冢宰に譲り渡した事になるわね?」
「そうだ。火貴族が世襲した。自分の息子が、他の者達よりも優秀だと言ってな。実際に優秀だったが、しかし、闇貴族と癒着関係があるなら、長年に渡っての関係があることになる」
「だからこそ、私が両方の屋敷に侵入して、資料を見つけ、陛下や各関係者に送りますよ」
「聖や?それはいつやるのじゃ?」
「そうですね。やはり、魔道鉱石の授業中の時ですね。魔道具や魔武器を造った後で生徒同士が対戦するでしょう?その時ですよ」
「分かった。では、ガルーガと火貴族、アルフレッドの退学の書類を作っておくとしよう。まあ、ガルーガは実は前々から作ってあるのじゃよ。アルフレッドはこれからじゃな」
「アルフレッド?」
「ウム、アルフレッド・フレイム。火貴族の息子じゃな」
「私の調べでは、そのアルフレッドは、ガルーガ達に絡まれている生徒達を助けていて、敵対関係の間柄だったのだけどね?それは全て振りだったとわね?呆れるわ」
「でも、私達、お姉ちゃんが絡まれている時はいなかったわ?」
「それは、マリア、貴女がいたからよ」
「えっ?私が?」
「そうよ。フレイム家に連なる人達の髪の毛の色は、皆、赤系のワインレッドの色になっているのよ。だから、マリアの人相の事を知らなくても、その貴女の髪の毛を見れば、直ぐに同族と判るのよ。だから、アルフレッドはマリアの前に現れなかったのよ」
「そうなんだ?でも、私には関係ないわ。私は、犯罪を犯している人は同族と思わないわ!それにもう私達とフレイム家との縁は切れているのでしょう?フレイム家の一族が犯罪を犯していても私達には何も関わりがないわ」
マリアはそう言いきった。