その黒幕は誰だ?1
そして、俺は昨日から気になっている事を陛下に聞く。
「陛下?」
「ん?なにかな?」
「今、冢宰をやっている人は誰ですか?」
「えっ?」
エリサが驚く。
「何故、聖殿がそのような事を聞くのですか?」
「その冢宰が気になりましてね?冢宰はこの王国政治では陛下を除いたらトップの人物ですよね?」
「そうですね」
「そのトップである冢宰が、闇貴族をどうして抑えきれないのが、気になってね?その貴族の家柄は闇貴族よりも階級が下でしょうか?」
「いいえ、同等の家柄ですよ。ですが、闇貴族の横暴が非道すぎるのです」
「そうね。良く、冢宰と言い争いになっているわ。それもすごい剣幕でね。冢宰も闇貴族を嫌っているわ。それにその冢宰の子供もガルーガを嫌っているわ」
「ほう?なるほどね?その冢宰やその子供がか?」
「聖殿?一体何が言いたいのです?」
「もし、その冢宰が、闇貴族を嫌っている振りをしていたらと思ってね?そして、わざと闇貴族の横暴を許しているとしたら?更に、冢宰と闇貴族がぐるだったら?」
「えっまさか?ありえないわ!私が目撃しても、しょっちゅう、言い争いをしているわ。それでぐるなんてありえないわ」
エリサは否定をする。
「クレアの言うとおりです。冢宰と闇貴族は天敵同士ようなモノ。ぐるなんてありえません!」
陛下も否定をした。
「なら、陛下に聞きます。闇貴族が出した法案はどうですか?全て破棄されていますか?もし、冢宰が闇貴族を嫌っているなら、全ての法案を全力で破棄をすると思いますが?それと横暴貴族が、王国に貢献が出来るような、まともな法案が出せるワケがありませんよ?」
「あっ!?た、確かに、闇貴族が出した法案が通ったものがいくつかあるぞ!それに冢宰は、闇貴族の主張は筋が通っていると、悔しそうに言っていたが、まさか?」
「おそらくは、その冢宰と闇貴族の合作の法案でしょうね?勿論、嫌っている振りをしているので、全てが通っているワケがないと思いますが、重要性が高い法案が通っていると思いますし、小さな法案も通っている場合もありそうですね?これらの法案らは全て、後々になって彼らに有利に働くようになっている筈です」
「まさか?もし、聖殿の事が本当なら………」
陛下の顔が青くなっている。
「冢宰は、闇貴族を嫌って振りをしているだけ……?」
エリサも同様な顔に。
「闇貴族が表立って、汚れ仕事を堂々としているのならば、嫌って振りをしても何も違和感はないでしょうね?そして、裏では、同じムジナでしょう?それに麻薬や魔薬に関しても、おそらく大勢の貴族達が関わっている筈ですよ。そのおこぼれに預かりたいからね」
「じゃあ、その子供もガルーガと」
「裏ではしっかりと繋がっているだろうね?だから、それらを真実なのか証明する為にも、冢宰がどのような人物かを教えて欲しいんですよ。一体、どこの貴族がやっているのか?」
「知ってどうするのですか?」
「勿論、闇貴族と同様に屋敷に侵入しますよ。悪事があるかないかをね?この際に闇貴族と絡んでいる貴族達を排除した方が良いでしょうね?闇貴族だけを退場させても、まだ根っこが残っていたら何もならない」
「そうですか………しかしながら………」
「陛下?歯切れが悪いですね?冢宰に何かあるのですか?」
「ウム、あるのです。しかも、聖殿やマリア、貴女方にも関係がない話ではない」
「えっ!?」
「そうなのですか?」
一体、どの様な関係が?