部屋でくつろぐ20
しばらくして、エリサが来てから、母さんも買い物から帰って来た。
「ただいま。お魚を買ってきましたよ」
と、ボックスを開けて、色んな種類の魚が大量に出て来た。
マリア達も驚いていた。まさか、こんなにも魚を買ってくるとは思ってもいなかっただろう。
「母さん、買い過ぎだ!!これどうやって食べるの?」
「そう?コレでもガブリエル達にも分けて来たけどね?」
「はぁ?」
俺は目が点になった。母さんはどれだけの魚を買ったんだ?
~地球~
私、ガブリエルは朝起きて、リビングに行くと…………。
「何?この大量の魚は?」
テーブルの上に私達では何日間も掛けても食べきれない量の魚介類が置いてあった。
コレは誰がこんな事をしたのでしょうか?
まあ、犯人は分かっていますが、私は現実逃避をしたいですね。もう朝から頭が痛いですよ。
私が頭をおさえていると。
「「おはようがぶり姉ぇ!今日も魔法の訓練を宜しく」」
舞さんと更夜さんが言いながら入ってきました。
「ああ、おはようございます。ハァー」
ため息を吐く。
「姉貴!大量の魚があるぜ」
「本当だわ。がぶり姉ぇ?いくら何でもこれは買い過ぎよ」
舞さんは私に文句を言うが、完全に濡れ衣ですよ。
「私が買って来たのではありませんよ。私が来たら、既にありましたよ。だから、困惑しているのですよ。ハァー」
また、ため息を吐く。
「じゃあ、一体誰が?」
もうやる人はお一人しかいませんよ。
「がぶり姉ぇ、姉貴、あそこに手紙がある」
更夜さんがその手紙を持って来て、開くと。
『聖達にお魚を食べさせてあげたいから買って来たわ。あなた達にも少しだけ分けてあげるわ❤ 母より』
と、書かれていた。
王妃様?コレが少しですか?一体、どれだけの鮮魚店を回ったのですか?
もう、そう突っ込まずにはいられない。
舞さん達も「コレで少し?ウソでしょう?」「じゃあ?兄貴達の分はどれくらいの量なんだよ?」と、ツッコミの嵐。
「とにかく、この大量の魚はボックスの中に入れます。ボックスの中は時が止まっていますから、魚が腐る事はありません」
「そうなの?便利な魔法だわ」
「俺も覚えたい」
「大丈夫ですよ。ボックスは簡単な魔法ですから、直ぐに覚えられますよ。朝ご飯は、この魚類で良いですよね?」
「そうね?お兄ぃもきっと食べるのでしょう?なら、食べよう」
「そうだよ。世界軸が違っても、兄貴と一緒だ」
「分かりました。直ぐに作りますね」
刺身のお造りとあら汁を作り、ご飯も炊いた。天使パンは後のおやつですね。
調理が終わり。私達は食べる。
「刺身やあら汁、美味しいわ」
「ああ。ところでがぶり姉ぇ?何で、母さんが兄貴の所に行っているんだ?」
「さあ?私もよく分かりません。何で、お母様が聖さんの世界に行っているのか不思議ですが、何か神聖王様に関わる問題が起きたかもしれませんね?あの世界は神聖王様も関わりがありますからね」
「そうなんだ?兄貴が何か遭った訳でもないんだな?」
「そうですね。聖さんに何か起きた場合は私にも連絡が来ますから」
「そうなんだ」
「はい」
と、答えたが、仮にそんな連絡を受けても、今の私にはどうする事も出来ませんね。ただただ、聖さんの無事を祈るだけですから。そして、舞さん達にも言えませんね。
「やっぱり、あたし達もお兄ぃの世界に行きたいわ。あたし、お兄ぃの事が心配だわ」
「そうだな。兄貴はしっかりしているけど、魔法がある世界だから、何が起こるのか分からないしな」
「そうだよね?ああ、早く勇者召喚が起こらないかしら」
「2人共、落ち着いてください。聖さんは大丈夫ですよ。聖さんの魔力量は私よりも多いですからね。そうそうトラブルにはなりませんよ。少し落ち着く為にテレビでもつけましょうか」
私はテレビをつけた。すると、鮮魚店に魚介類を買い占めたという夫人がワイドショーのニュースに取り上げていた。
何でも、その夫人はサングラスを掛けた黒いスーツの男達と共に、辺り一帯の鮮魚店の魚介類をほぼほぼ買い占められたという、鮮魚店の店主が『こんな事は店始まって以来で初めてだ。』とコメントをしていた。
それを視ていた私達は言葉を失った。今、私達が食べているのがその魚介類だから………。
王妃様は会社の天使達を使って、鮮魚店の魚介類を買い占めたと?
一体その魚介類をどうするのでしょうか?神界の天使達に分け与えるのでしょうか?
ただ、魚を買うにしても、王妃様の行動は滅茶苦茶過ぎますよ。
「こ、このニュースは、絶対に母さんの事だよな?」
「多分ね………」
放心状態の更夜さんと舞さん。
まあ、分からないでもないですがね。