リリカさんとお買い物と模擬戦1
次の日。
「おはよう。お姉ちゃん」
「ん?おはよう。マリア」
俺はマリアの部屋で寝ていた。というか、マリアが一緒に寝たいというからさ、俺も断りきれなかった。まあ、色々と話していて、夜遅くなった事もあるけどさ。なんだか、女子のお泊まり会のようだな。
マリアとの会話の中で、『俺』ではなく、『私だよ』と、何度も言われた事か………。
俺も直さないと分かっていてもね。『俺』が自然と出てくるし、意識すると、お、わ、私になる。俺の妹のようにあたしと言おうかな?
俺達は着替えて、顔を洗い、髪の毛をやはりポニーテールにしてリビングに行く。
既に3人が居た。
「おはよう」
「おはようございます」
「おはよう」と3人共返事を返した。
「聖、よく眠れた?」
「はい。眠れましたよ」
「良かったわ。ご飯を食べ終わったら、私と買い物をするわよ」
「買い物ですか?」
「そう、貴女の服や下着などの日用品を買うわよ。そして、養子の手続きをやってから、ランク付けの模擬戦よ」
「分かりました」
「私もいく!」
「はいはい」
俺達3人で行くことになった。
食事が終わり、買い物に出掛ける。地球の日本という国は洋服店が開く時間帯は大体10時からだけど、この世界は朝から既に開いていた。
「へぇー?朝8時からもう店を開いているのですね?」
王都を歩きながら、いろんな店を見て回っていた。
「そうよ?おかしい?」
「いえ、私の国は、大体10時からです」
「そうなの?」
「はい」
「お姉ちゃんはどんな服や下着が良いの?」
「自分に合えば良いよ。かわいい服とかさ」
そう言った。俺も学習はする。『なんでもいい』はNGだ。
ならば、自分に合う服をと言えばいい。
しかも、この世界のファッションが分からないからな。
「分かったわ。ママ、お姉ちゃんに合った服や下着を選ぼう」
「分かっているわ。まずは下着からよ。ランジェリーショップに行くわよ」
ランジェリーショップに行くと、結構上質な生地の下着が売っていた。
「いらっしゃいませ」
店員さんが営業スマイルで近付く。
「この子の下着を」
「かしこまりました。サイズは」
リリカさんが俺の大体のサイズを言う。
「かしこまりました。そのサイズのブラとショーツをお持ちします」
店員が一度下がって、俺が合う下着類を探して持ってきてくれるようだな。
店員が持ってきてくれた下着類はかなり、良いデザインの下着類だった。結構レベルが高いな?感心したが、値段も張るようだ。
「良さそうね?どう?」
「そうですね?良いと思いますよ」
「では、試着室で試着を気に入ったならそのままで、お買い上げ下さい」
店員が言う。まあ、直に穿いたものは既に売り物にならないか。
だから、『大丈夫です。』と、答えた。サイズが合わなくても魔法で何とかなると思う。
そして、同じサイズの下着類を何種類か買って貰った。服も同様に。服は試着をしたが。結構良い服を買って貰った。更に日用品もだ。
喫茶店で休憩をしている時。
「リリカさん、色々と物を買って頂きありがとうございます」
頭を下げお礼を言う。
「良いのよ。私達の子供になるのだからね?それに私の事はママと言ってね?」
「はい。分かっていますが、今回はしっかりとお礼を言いたかったので」
「そう。なら、良いわ。そう言えば、聖はご両親の事はなんて呼んでいるの?」
「父さん、母さんですね。パパママ呼びはなんか恥ずかしくて………」
「そうなのね?」
「ガイさん………えーっと、兄さんは、オヤジ、オフクロと呼んでいましたね?」
「まあね。ガイも不良をやっていたからね?それに聖と同じで年につれて、言うのが恥ずかしくなったのでしょうね?」
「えっ?不良?そうなの?」
「そうよ」
「私が更生させたのよ」
「マリアが?」
「そうよ。当時のガイは手の付けれない不良になってね?周囲からは赤毛の不良と呼ばれていたのよ。マリアがそんなガイに訴えたのよ。『不良で暴力を振るうお兄ちゃんは嫌い』ってね?そうしたら、ガイが我に返ったように大人しくなってね。以来、不良行為は辞めたのよ」
「へぇー?そうだったのですか?マリアも凄いな?言葉だけで辞めさせられるなんて」
「凄いでしょう?お姉ちゃんも不良でしょう?更生してあげるからね?」
ニコニコ顔で言う。ガイさんの成功例で自信になっているようだ。
「イヤ、俺はセンコー共から不良と呼ばれていただけだ。俺は今まで他人に暴力行為はしたこともないよ」
「でも、どうして?不良と呼ばれていたの?」
リリカさんからの質問だ。
「昨日、話したように、授業中はセンコー共の話を聞かない、各教科テストはたったの1問しか記入しないで、後は寝ていただけだよ」
「それで不良?」
その質問に答えたが、リリカさんは納得していなかった。
「センコー共から見たら不良だろうな?ま、俺もあのセンコー共は許さないがな!!あのセンコー共から教わる事は何もなかったがな!!」
感情的になってしまった。だが、アレを思い出すだけで腹が立つ!!
「先生達と何かあったのね?」
「まあね。でも、話せない。全く良い話ではないし、俺自身も思い出したくない話しさ」
「そう。なら、あえて聞かないわ」
「ありがとうございます。ママ………////」
恥ずかしげに言う。これも馴れないとな。
「良いのよ。話したくないモノはいくらでもあるわ。さあ、これから、養子手続きをするわよ」
「はい」
俺達は店から出て、養子手続きが出来る施設に向かった。