部屋でくつろぐ10
カレーが出来た時に。
「ひ、聖~すまないが、な、何でも良いから、め、飯を食べさせてくれ~」
と、ステラ先生がやつれて空間から出て来た。
「先生?なんで、こんな事になっているのですか?」
「す、すまない~空間の時間調整を間違えた~」
「ま、丁度、ご飯の時間ですから、どうぞ」
「お、恩に着る~。た、助かった~」
そう言って、席に着いた。
更に『ピンポーン』と、部屋のチャイムが鳴った。
へぇー?ここまで来られた人が居るんだ?もしくは、学園長かジェーン先生か?
「私が出るわ」
母さんが応対した。
「あら?貴方だったの?」
「はい、お邪魔しても?」
この声はバーストさんか?
「はい、どうぞ」
母さんはバーストさんを連れてきたが、もう1人居た。
エリサがびっくりしていた。
「バーストに料理長?何故?」
「お嬢様、帰りますよ。そして、私達の料理をお食べ下さい」
「嫌よ!私は、ここで食べるのよ。というより、私が食べたことがない料理を目の前にして帰れないわよ!!それにメイドに言っておいたでしょう?」
「お嬢様?何を言っているのですか?そんな得体の知れない料理なぞ食べてはダメです!さあ、私達が作った、いつもの料理がございます。その料理の方が美味しいですよ」
「余計に嫌よ。貴女達の料理はいつも同じ味だわ。もう飽きるのよ。その点、聖が作った料理は飽きないし、美味しいわよ?そうだわ。一度、料理長も食べなさい。貴女達の料理がいかに頭デッカチか判るわよ?」
「………」
「エリサ?そう挑発をしないでくれる?私の料理はまだまだ素人だよ」
「なに言っているのよ。料理長の料理を批判したのは聖でしょう?」
「私の料理を批判?」
俺を睨む。
「ああ、レストランで食べるのだったら美味い料理だったよ。でも、これが家庭料理で、毎日出されては飽きる味と言ったのさ」
「なっ!?」
「なるほどね?」
母さんは納得していた。
「さて、作った料理が冷めてしまうよ」
ご飯を盛り付けカレーをかけた。
「ご飯にかける料理なんて初めて見るわ」
「なんて下品な!!お嬢様!こんな下品な料理は食べてはいけません!!こんな料理は邪道です!!やはり、お嬢様には私達の料理を食べて貰った方が良いわ。行きましょう!!」
料理長は批判した。
「ちょっと?誰に向かって命令をしているの?私はここで食べると言っているのです!そして、この料理が美味しいか、不味いか、食べてみないと分からないでしょう!!この料理が不味かったら、料理長の料理を食べます!」
「………分かりました」
料理長はしぶしぶ承諾した。王女の命令では逆らえない。
「聖?料理長とバーストにもね」
「はいはい………はい、どうぞ」
カレーと飲み物を置く。
「じゃあ、食べますか?死にかけの人がいますから」
皆が食べ始める。
「へぇー?この料理はスプーンで食べるのね?」
エリサが一口食べる。
「あっ!」
「お嬢様!?不味いのですね!!美味しくないのですね!!こんな下品な料理は体に毒ですから、さっさと吐いてください!」
「お」
「お?」
「美味しいわ。なにコレ!結構美味しいわ」
エリサはぱくぱくと食べ始める
「………」
料理長は言葉を失っている。
「うん、旨い!腹が減っているから余計に旨い!」
ステラ先生はガツガツと食べている。
「美味しいわ。お姉ちゃん」
「はい。美味しいです。色が不安でしたがコレは美味しいです」
マリアもリクも満足げに食べている。
「やはり、カレーは、美味いな。しかも、娘が初めて作った料理だ」
「そうね。このお米にして正解だったわ。けど、少だけ辛いだけね?」
「ああ、辛さも甘さも苦手な人がいるかなと思って、抑えたよ。けど、コクが足りないか?」
まあ、短時間で作ったカレーにしては、まあまあの出来だな。
「そうね?」
「料理長?貴女の負けですよ?この料理は本当に美味しいです。私もこんな料理は初めて食べましたよ」
「そ、そんな!?ご飯にかけたモノが美味しいなんて……(ぱくり)……ッ!?」
料理長が食べて止まる。
「料理長?どう?聖が作った料理は?」
「く、悔しいですが、美味しいです。しかし、まだ煮込みが足りないと思いますが、それでも十分に美味しく食べられるように仕上がっています」
「でしょう?この料理はまだ貴女が言う下品な料理ですか?」
「いいえ………この料理はご飯と一緒ではないといけない料理だと思います………まさか、こんな料理があったなんて………」
料理長は敗北を認めた。
そして、料理長を除いて、皆がお代わりをした。マリアなんて、3杯も食べた。けど、多く作って良かった。それに好評で良かった。