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うろ覚え魔道士で異世界転移!  作者: わらびみるく
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3 魔法

森を歩いてたら、ゴブリン?に襲われた。とっさに魔法で倒したけど、森に延焼したなう。



やばっ。


目の前には、真っ赤に燃える大木。火のついた枝が落ちてきたりして、だんだん火が燃え移っていく。生木のくせに、どうしてこんなに燃えるんだろ?私が知らないだけ?


スマホ手に入ったら、絶対撮らなきゃ。一生物の体験だ。


馬鹿なこと言ってないで、さっさと逃げないと。正直さっきまでの追いかけっこで、体力も気力もほとんど残っていないけれど、それでも生命の危機だもんね。

杖を支えにして立ち上がり、小走りでその場から離れる。


走りながら、さっきの戦闘について思い返してみる。

私がサンダー!って叫ぶと、ほんとに雷が出た。それも二発。まぐれじゃない。


ファイヤって言ってもなんも出なかったのに、サンダーに反応するって事は、やっぱりここはゲームの世界なんだろうか。



なんとかなんとかオンライン。なんだっけ?MMOを名乗っていたのだから、オンラインがつくのはきっと間違いない。確か、モンスターがいて、王国があって、プレイヤー達は便利屋さんくらいの扱いだったはずだ。さっきのゴブリンも、どこかで見た気がする。あちこちでお使い的なクエストをこなしていた覚えがある。最初の一回だけ見たムービーによれば、魔王っぽいのもいたはず。


私のキャラは、魔術師。杖を持って、魔法で攻撃する職業だ。


どういう魔法が使えるかだけど、これがちょっとややこしい。まず肉球を思い浮かべてください。ぷにぷにしたところが、五箇所ほどあるはず。それがボタン。真ん中、手の平を押すと通常攻撃。魔術師の場合サンダー。手の平の周りの、指の小さいところを押すとなんかのスキル。この肉球が、横向きの画面の右下にあって、基本右手親指で操作する。移動は左手。慣れると、アローハーみたいな指の形で片手で操作できるようになる。事故るけど。


私は基本オートだったから、どのスキルがどんな名前でどんな効果かなんて把握してない。ボス戦とかも、オートで勝てそうな戦力差の所の他はやってない。サンダーを覚えていたのは(覚えてなかったけど)、攻撃すると、キャラクターがスキル名を音読してくれるのだ。なんとかフラッシュとか、そういうのはあんまり聞き取れなかったけど、サンダーは短かったから覚えた。


ひょっとして、声に出さないと魔法使えないシステム?私通常攻撃しか使えなくなるんですけど。


いい加減手に持つのが辛くなってきた杖を置いて、ちょっと一休み。早く引っ込んでくれないかな?画面の中のキャラクターは、戦闘中だけ杖を構えて、いつもはどこかにしまっていた。なるほど確かに移動し辛い。


周りを見渡しても、モンスターはいないし、燃えている場所も無い。とりあえず安心して座り込む。服装を整えて、ほっと一息。ここまでずっと立ちっぱなしだったから、ゆっくり休めるのが本当にありがたい。


空を見上げて、これからの事を考える。


まずは、街に行きたいよね。というか人里ならどこでもいい。人間を見たい。その後は、冒険者でもする?確かゲームだと、畑を荒らすなんとかを駆除しろだの、研究目的でなんとかを集めてこいだの、そんな感じの依頼がたくさんあった。そういうのやってれば、なんとか暮らせそうに思う。


今は、森から出られるかすら怪しいけど……。


別に、ゴブリンだって一撃で倒せるし。適当やってたけど、なんとか上位職まで育てたし。なんとかなるよねっ!



休憩を終え、忘れていた喉の渇きを思い出してしまい、水辺を探して歩き始めた。この森、だいぶ広い。既に日が、傾き始めているのだ。もうそろそろ二時くらいかな?


足が痛くなってきたので、杖をつきながら歩く。大体肩くらいまでの長さがあるので、こういう時には便利。


しばらく歩いていると、茂みの揺れる音がした。しかし、私はもう驚かない。少なくともゴブリン程度のモンスターなら、一撃で倒せるのだ。杖を茂みに向けて、音の主を待ち構える。


「バウバウッ」


姿を現したのは、狼にも似た四つ足の獣。ふさふさしている灰色の毛。少し開いた口からは、鋭い牙がのぞいている。私の方を、鋭い目でじっと見つめ、動きを止めた。


ふん。私の前で動きを止める、それはすなわちサンダーの餌食になるということ。


「サンダー!」


一瞬の迷いもなく、獣に向けて魔法を放った。間合いはほとんどゼロに等しい。獣は、断末魔の悲鳴すらあげることなく消し炭となった。くすぶっている地面に、落ちているものが一つ。灰色の首輪。


もしかして:飼い犬。


「おーい、ポチー!あまり離れすぎるなよ、どこにいるー?」


遠くから人の声。


やばいやつだ。これ間違いなくやばいやつだ。どうか見つかりませんようにと祈りながら、私はまた駆け出すはめになったのだった。



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