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月の恋人 ―狼―  作者: 楓 海
6/20

薄倖の美少年

 読んで戴けたら倖せです。

 午前中、逢魏都は家畜たちの世話を済ませると、隣街まで行って何軒かの店でアシュラの身の回りの物を買った。


 家に着く頃には昼を過ぎていた。


 家に入るとテレビの前に座っいたアシュラは立ち上がって泣き叫んだ。


「いいともやってないお昼なんて日本のお昼じゃ無いっ! 」


「は? 」


 逢魏都は呆然と立ち尽くした。


 やっと、アシュラの言葉の意味を理解した逢魏都は深いため息をついた。


「いつの話してるのよぉ

 いいともは随分前に終わったよ」


「ええええーーーーーーっ!? 」


 アシュラは絶望の表情を浮かべて座り込んだ。


「テレビ番組ごときでそれ? 」


「テレビ番組ごときって言うな!

 テレビは文化そのものだよ!

 テレビ在っての日常だよ!

 テレビ最高!

 テレビ万歳! 」


 アシュラは拳を振り上げて力説した。


「バッカみたい」


 逢魏都は構わず持っていた買い物袋をアシュラに押し付けて、昼ご飯の支度をする為にキッチンに立った。


「ワタシ、午後から村長さんとこの田植えの手伝いがあるから、その間にせいぜい今のテレビに慣れ親しんだら」


 アシュラは、テレビは何処へやら、座り込んで買い物袋から買って来た物を引っ張り出していた。


「ちょっと、なんでツナギなんだよ

 もう少し、美少年のボクに似合いそうなオシャレな服選んでくれてもいいんじゃない? 」


 逢魏都は包丁を持ったまま振り返り、包丁を振り回しながら言った。


「美少年だろうと働く者食うべからず

 きっちり働いて貰うんだから、オシャレ着よりツナギの方が需要ある」


「ええっ、ボク怪我人よ

 それから、包丁怖いって」


 逢魏都は包丁を慌てて背中に隠して言った。


「そんな元気なんだから、畑の草むしりくらいできるでしょ」


 アシュラは恨めしそうに逢魏都を見た。


「この美少年に畑で草むしりなんてさせるの? 」


 逢魏都は腰に手をあて言った。


「だから、美少年関係ないから! 」


「ちょっと、ねえ

 これ、何だよ! 」


 アシュラは袋から出て来たリードと首輪を手に逢魏都を睨んだ。


「あははは......

 必要になるかなあとか思って.......」


 逢魏都は苦笑いをした。




 午後から逢魏都はいつものように、今日は村長さんの家の田植えを手伝った。


 手伝いが終わると、中腰の作業に逢魏都は腰をさすりながら家路に着いて、途中のバス停で自販機を見掛け、コーラを二本買った。


 家の中を覗くとアシュラは居なかった。


 畑に行くとアシュラは黙々と草むしりをしている。


 逢魏都は笑みを溢して声を掛けようとしたが、不意に後ろから声を掛けられた。


「逢魏都ちゃん」

 

 振り返るとそこには、逢魏都が嫌っている隣街で動物病院の獣医をしている兼城忠司(かねしろただし)が笑顔をたたえて立っていた。


 逢魏都は上目遣いで兼城を見上げた。


 と言うより、殆ど睨んでいた。


「ああ、その目はまだあの事、怒ってるんだね」


 兼城は頭を掻きながら言った。


「あれは仕方なかったんだよ

 僕も慈善事業で獣医やってる訳じゃ無いんだから」


 逢魏都は物も言わず、その場から立ち去ろうとした。


 アシュラが逢魏都に気付いて逢魏都を呼んだ。


 逢魏都と兼城は自然にアシュラに視線を移した。


「天野.......」


 兼城は思わず声を漏らしていた。


 その声に逢魏都は兼城の顔を見た。


 兼城は蒼ざめ、目は大きく見開かれていた。


「そんな莫迦(ばか)な.......」


 近付いて来るアシュラを見て、兼城は避けるように足早にその場を去って行った。


 逢魏都が去って行く兼城を見ていると、アシュラが逢魏都の肩に手を置いた。


「彼氏? 」


 逢魏都は突かれたようにアシュラを振り返った。


「変なこと言わないでよ!

 誰があんな冷たい男! 」


 逢魏都はアシュラの手を払い除けると足早に家に入って行った。


「ちょっと!

 何マジギレしてんのさ! 」


 振り返りもしないで、家に入って行く逢魏都をアシュラは追い駆けた。


 その様子を遠くから兼城は見ていた。


 アシュラが家に入ると逢魏都は冷蔵庫にコーラをしまっている処だった。


 アシュラはそれを見た途端、長靴を吹っ飛ばして玄関から飛び込んで来た。


「ねえ、ねえ、ねえ!

 今のコーラだよね!

 やりいっ! 」


 アシュラはガッツポーズして、小躍りして喜んだ。


「どんだけコーラに飢えてんの? 」


 逢魏都はその様子を見て呆れて笑った。


 アシュラは冷蔵庫を熱烈な目で見詰めながら言った。


「いつでも飲めるって思うと、たいした物に感じないだろうけど、ボクには貴重品

 奇跡でも起こらないと飲める代物じゃ無いから」


 その言葉を聞いて逢魏都はアシュラが少し可哀想に思えた。


「そうだよね

 狼じゃ、そう簡単に手に入らないか」


「そうそう、ボクって薄倖の美少年なの」


 アシュラはいかにも気取って人差し指の裏を顎に添えて逢魏都を見詰めた。


 逢魏都は吹き出した。


「コーラ飲めないだけで?

 それ、本気でやってるの? 」


 アシュラは両手を上げた。


「やめてよお

 ボク、自分が美少年なのは認めるけどナルシーじゃないからね」


「あれ、違うんだ」


 アシュラは手の甲をこちらに向け、顔の横に添えて目を伏せた。


「ボクの美しさは罪.......」


 と言うと肩をすくめ、きをつけをして訴えるように言った。


「.....なんて、ぜんっぜん思って無いんだかんね! 」


 逢魏都はまたも吹き出してゲラゲラ笑い出した。


「独り漫才? 」


 アシュラはフッと真顔で言った。


「笑ってくれて良かった」


 逢魏都はその言葉に笑った。


「なに?

 元気づけてくれたの? 」


「怒らせちゃったみたいだから」


 アシュラは微笑んだ。


「ねえ、どうしてあんなに怒ったの? 」


 逢魏都は眉間に皺を寄せた。


「あいつ、怪我をした可哀想な捨て猫を安楽死させちゃったの

 拾ったワタシの了解も無しに勝手に

 あいつ、絶対許せない」


「そうなんだ.......」


 アシュラはニコニコした顔を逢魏都に向けて言った。


「美しいボクでも見て機嫌治してよ」


 アシュラは後頭部に手をあてポーズを取って悩ましげな目で逢魏都を見詰めた。


 逢魏都はまた吹き出して言った。


「一生やってなさい」


「なんだ、そりゃ

 折角、アシュラ様の悩殺ポーズなのにい」


 アシュラは口を尖らせた。


 









 読んで下さり、有り難うございます。

 美少年大好きです。

 私の青春です。

 華奢な美少年、大好物です。

 美少年と言う文字見ただけで、萌えます。(自他共に認める変態です 笑)

 銀髪美少年、私の作品によく出てきますが、拘ってる訳では無くて

 単に考えるのが面倒くさいのと、銀髪似合う男の子が好きなんです。



 韓流人気、まだ廃れませんねえ。

 中国や韓国の若者も、随分昔とは変わって日本人と変わらなくなってきましたね。

 韓国のアイドルの日本進出も目覚ましいですけど。

 なーんか、ダメなんですよね。

 韓国の男の子ってすぐわかっちゃう。

 どんなにキレイな顔していても、何処か違うんですよ。

 人種差別反対派ですけど、韓国の男の子はどんなに美少年でも受け入れられないです。

 美少年なのでしょうけど、美少年と思う前に韓国人だなあ、この子って気づいちゃうんですよね。

 その国特有の考え方あって、その考え方が顔に滲み出てるんですよね。

 中国とか韓国の特有の考え方があまり好きじゃないです。



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― 新着の感想 ―
[一言] アシュラの明るさが救いですが、次の展開も出て来ましたね。
[良い点] 後書きにカミングアウトが…(笑) [一言] 美しいは罪って台詞、私も連載作で似た様な台詞使ってます!! そんな罪を犯してみたい(笑)
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