アシュラ
読んで戴いたら、嬉しいです。
「在り得ない!
在り得ないよね、犬が人間になるなんて!
ワタシ、本当にヤバい! 」
逢魏都は少年に見入った。
少年は眉間に皺を寄せて言った。
「エッチ」
逢魏都はハッと我に返って言った。
「エッチとは何よ!
そっちが勝手にすっぽんぽんになったんでしょう! 」
少年はくしゃみを一つすると言った。
「ねえ、ぼうっと見てないで服か何か持って来てよ
ボクの裸、そんなに見てたいの? 」
逢魏都は突かれた様に立ち上がると納戸から毛布を取り出して少年に投げつけ、後ろを向いた。
「取り敢えず、それ被ってて」
「へーい」
バサバサと毛布が擦れる音がする。
「いーよお」
逢魏都は振り返った。
起き上がって毛布を巻いた少年は酷く華奢に見えた。
『美少ねーん......』
逢魏都は少年に見惚れた。
「あれ、よく見るとおばさん結構可愛いんだ」
そう言って少年は笑った。
八重歯が覗く笑顔がとても幼く見えた。
可愛いと言われて逢魏都は微笑みそうになったが寸ででこらえて、ぶっきらぼうに言った。
「それは、どうも」
『全く、天然タラシかい』
「......って、おばさんじゃなーい! 」
逢魏都は率直に思った事を連打した。
「いったい、何が起こったの?
ワタシがおかしいの?
これはワタシの幻覚だよね
それとも......」
「ストーップ! 」
少年は手のひらを目の前に翳して逢魏都を制した。
「色々お訊きしたい事はおありでしょうけど、それなりに複雑な事情がこっちにもあるので、順を追って話すからその前にコーラある? 」
逢魏都は目を丸くした。
「は? 」
「コーラだよ
しゅわしゅわあって炭酸の茶色いジュース」
「だから、なんで急にコーラ? 」
「単に飲みたいから」
「あーー.......
コーラね、コーラ.........」
逢魏都は冷蔵庫を開けた。
「って、ある訳無いじゃん! 」
逢魏都は冷蔵庫を勢いよく閉めると少年を振り返った。
「コーラ常備するほどうちは裕福じゃ無いの! 」
「なんだあ、無いのかあ
久々に飲みたかったな、コーラ」
少年はがっかりして胡座をほどき長くて形の良い脚を毛布から出して伸ばした。
「コーラは憶えてるんだ? 」
「自分の名前は憶えてないけどね」
少年は後ろに手をついた。
毛布がずり落ちて筋肉質でスレンダーな上半身が剥き出しになり、腹に受けたクマの爪痕が痛々しかった。
逢魏都はその場に体育座りして、まじまじと少年を見詰め、改めて言った。
「さっきは助けてくれて有り難う」
「どういたしまして
あいつ、逃げてくれて助かったよ
クマって硬いね、顎外れるかと思った
罠外してくれて有り難うね
危うく、あのクマに食われる処だった
間一髪だったね」
少年は八重歯を覗かせて笑った。
「もう、何がなんなのか訳解んない」
「おばさん、こういうのって慣れじゃない? 」
「おばさんじゃ無ーーい!
ワタシはあぎと、坂本逢魏都! 」
「あぎと......男みたいな名前だね
でも、いい名前だと思うよ
ボクは、さっきも言ったけど憶えてないんだ」
逢魏都は背筋を伸ばした。
「名無しの権兵衛じゃ可哀想ね
ねえ、名無しの権兵衛の権兵衛を取って権兵衛って呼んでいい? 」
少年は思い切りブーイングを出した。
「今年が何年なのか知らないけど、今時の十七歳に権兵衛って酷くない? 」
逢魏都はきょとんとして言った。
「そう?
銀髪、銀目の十七歳に権兵衛って斬新でしょ?
ギャップ萌えって奴? 」
少年は目を座らせて言った。
「却下! 」
「ええ⁉
いいと思うんだけどな
じゃあさ、どんなのがいいの? 」
「とびきりカッコいいの」
「カッコいいねえ.........」
逢魏都は腕を組んで考え込んだ。
「うーーーん............」
「ボクも考える
変な呼び名付けられちゃ敵わないし」
少年も腕を組んで考え込んだ。
暫く沈黙が流れたが、その沈黙を逢魏都が破った。
逢魏都は顔を輝かせて言った。
「じゃあ、銀太郎」
「ブーーーー! 」
「贅沢者」
逢魏都は口を尖らした。
「ねえ!
アシュラは? 」
「アシュラ........」
「いいよ、アシュラ!
響きがなんてったってカッコいいし! 」
少年は不服そうに言った。
「悪いけどボク、平和主義者なんだけど」
「平和主義のアシュラ、めっちゃいい!
アシュラ、けってーい!! 」
逢魏都は親指を立てた手をアシュラに向けて伸ばした。
アシュラは頭を垂れた。
「勝手に盛り上がらないでよお......」
「名前決まったら、凄くお腹空いて来た」
逢魏都は元気よく立ち上がった。
「毒見はアシュラがしてくれたから大丈夫っと
アシュラ、コーラは無いけど
コーヒーなら淹れられるよ、インスタントだけど」
アシュラは軽く逢魏都を睨んだ。
「ねえ、毒見って何!
怪我人に早く食事をと云う思いやりからじゃ無く、単に食えるか食えないかをボクで試したの? 」
「男が細かい事、気にするな
どうする、コーヒー? 」
アシュラはふて腐れて膝に頬杖をついた。
「飲むよ
カフェオレにしてね」
読んで戴き有り難うございます。
考えて見ると、タブレットになってから初めての連載で、次話投稿のやり方があまりよく解らなくて、四苦八苦してます。笑
ちゃんと投稿できてたらいいのですが。
今日は近くのコンビニまで、旦那の車椅子押しておデートでした。
極度の寒がりのうちの旦那様は、夏の暑ーーい日じゃないと散歩もできないので、暑がりの私としては汗だくになるのですが、年に何度も無いので、楽しみの一つです。
うちは高い場所にあるので、坂道なのですが旦那の車椅子押すのは苦にならないです。
特別な事する訳じゃないです、普通に家族の食べたい物買って、帰りの遊歩道でタバコ吸ってジュース飲んで一休みして帰るだけなんですけど。
私は街路樹の下に植えられた花とか、よそのお家の庭の花とか見るの大好きなんですけど、うちのバカ旦那は風流ちゅう物が無くて。
「かあちゃんダメだよ、花食っちゃあ」とか言ってきやがるんですよ。
その度に旦那の後頭部ひっぱたくんです。
はたから見たら、かなり変な絵面だと思います。笑
最近、レビュー書かせて戴く機会が多くなって嬉しいです。
師匠の姐御、水渕成分様はなんと書いたレビューが二百本越えたそうで、自分には到底真似できないですが。
有難い事に姐御や娘にも、レビューは褒めて戴いて嬉しい限りです。
しかし、我が家はそれで終わらないです。
活字中毒の娘いわく
「なんで、こんないいレビュー書けるのに
自分の書いた小説のあらすじには、活かされないのか不思議でしょうがない
破滅的にあらすじが下手過ぎる」
くそーぉ、悔しいけど言い返せないです。笑