総史
読んで戴けたら、嬉しいです。
兼城は祠の向こう側へ向かって声を掛けた。
「誰か居るの? 」
逢魏都は出て来るなとアシュラに合図して、祠の横に姿を現した。
「逢魏都ちゃん! 」
兼城は逢魏都を見て固まった。
姿を現したものの逢魏都は何を言えばいいのか解らず、立ち尽くした。
目だけが落ち着きなく兼城を見たり逸らしたりしていて、その様子をじっと見ていた兼城はフッと息を漏らして笑った。
「今の聞かれちゃったんだ」
逢魏都はお腹に手を組んで、あらぬ方を見て頷いた。
「やられたね
まさか、逢魏都ちゃんに聞かれるなんてね」
兼城は端に置かれた大きな石に凭れてポケットからタバコを取り出し、一本を口にくわえた。
タバコにライターで火を点けながら、兼城は眉をしかめて言った。
「どうして、ここに? 」
逢魏都は地面を見詰め、黙っていた。
兼城は笑った。
「この前の少年は? 」
逢魏都は上目遣いで兼城を見据えて言った。
「家に.......」
兼城はタバコを吸い込むとふーっと煙を吐き出した。
「総史とはね、親友だったんだ」
兼城は逢魏都に微笑を向けた。
「よくつるんで、この村で遊んだ
植物図鑑持って、山に入って山菜や木の実やキノコなんかを取って、それを家に持ち帰ると二人で調理して食べたんだ」
兼城は懐かしそうに遠くを見た。
「おかしいだろ?
今時の高校生じゃ無いって、自分たちでもよく笑ってた
でも、二人で山の植物を中心にした料理を出すレストランやろうって夢があったんだ
あの日はここに生えている山葡萄を取りに来た
ほら、木にいっぱい蔓が絡まってるだろ? 」
兼城はタバコの先で林の奥を指した。
逢魏都が見るとギザギザの丸い葉の付いた蔓がそこかしこに巻き付いている。
「ここ、いっぱいなるんだ
それで葡萄酒作って正月に飲み捲ろうって......
でも、他愛無いことでケンカになった
何が原因だったか憶えてないけど、殴り合いになった」
兼城はゆっくりタバコを吸い込んだ。
「僕は勢いよく総史にタックルした
そしたら........」
兼城の眉間が険しくなった。
「態勢を崩した総史は、ひっくり返って祠の扉に頭を打って動かなくなった」
兼城はタバコを持った手で片目を覆った。
「身体を揺すって起こそうとしたけど、総史はぐったりしたままで....
頭から血がながれているのを見て、死なせたんだと思って、怖くなって逃げだした
でも、走っている内に息を吹き返したかも知れないと思って引き返した
総史は居なかった
やっぱり息を吹き返したんだと、急いで通りに出て見回したけど総史の姿は無くて、一匹のおおきな白い犬が歩いてるだけだった.....
次の日、総史が行方知れずだと知った」
逢魏都の横でカサッと落ち葉が鳴った。
振り返るとアシュラが祠の陰から出て来ていた。
「アシュラ!
出て来ちゃダメって言ったのに! 」
「だって逢魏都、こいつ凄く辛かったんじゃないかな
アンタ、ずっと独りで抱え込んで来たんじゃないのか? 」
アシュラが話すのを見て、兼城は硬直していた。
「嘘だろ?
人語を話す狼がいるなんて......
しかも、白い......絶滅したはずのエゾ狼.......
研究家たちに見せたら、大発見だ.......」
兼城の目はアシュラに釘付けだった。
アシュラは兼城に同情して、出て来たことを後悔した。
読んで戴き有り難うございます。
先日、俳優の三浦春馬さんが自殺で亡くなったと言う訃報を聞いて、映画好きのうちの家族も少なからず、ショックを受けました。
これからも沢山の作品に出演して、いい俳優になるだろうと期待してたので、本当に残念でなりません。
周りの誰も彼の苦しみに気付く人が居なかったのは、彼が優れた俳優だからなのでしょうかね。
ロックミュージシャンにも沢山、ショッキングな亡くなり方をした方が沢山います。
ジミ・ヘンドリックス、ジャニス・ジョプリン、ドアーズのジム・モリソン。
この三人は何故か皆、27歳でドラッグ事故で亡くなっています。
私が知らないだけかも知れませんが、ジミ・ヘンドリックスの様に黒人でロックギターを弾く方って、あまり見た事ないです。
あの頃って確かフラワームーヴメントが流行っていて、セックス、ドラッグ、ロックンロールなんて言葉が流行ってましたよね。
私も追体験なので、あまり詳しくは無いのですが。
凄くショックだったのはマーヴィン・ゲイですね。
黒人男性シンガーのマーヴィン・ゲイは、ゲイで、それを良く思っていなかった父親に射殺されました。
当時私は十代で、それを知って「どうして、父親が息子を撃つんだろう? 」って、凄くショックでした。
親って、どんな子供だろうと受け入れて愛するものなのだと、信じていましたから。
あまり有名では無いけれど、ニューオーダーの全身バンド、ジョイデヴィジョンのイアン・カーティスは、ジョイデヴィジョンが売れて来て、さあ、明日からアメリカンツアーの為にアメリカ行くぞと言う前の日に、イギリスの自宅で首吊り自殺してるんです。
当時若かった私には、それは凄く奇っ怪に映りました。
外国には、得体の知れない死神が居るのじゃないかって、真剣に思いました。
実はヴィジャアル系にも、自殺した方が居て、XジャパンのHIDEは有名で、皆さんもご存知ではないでしょうか。
蜉蝣と言うバンドに居たカリスマヴォーカリスト、大祐さん。
病んだ歌詞で、当時の若い子たちに絶大に指示されてました。
彼は河崎病(この字で合ってますかね❔)だったそうですが、その病気がどんな病気なのか、勉強不足で知らないくて、友達がだから大祐さんはリアルに病んでいるから歌詞に説得力があると言ってました。
大祐さんは蜉蝣が解散した後、デッドマンでギターを弾いていたaieさんと組んで
stadsと言うバンドを経た後、大祐と黒の隠者(と言うプロジェクトチームなのかな❔)で、活動を初めた直ぐぐらいに薬を飲んで自殺しました。
その大祐と黒の隠者の曲に「君は僕が嫌いだ、だから僕は君と仲良くなれる 僕も僕が嫌いだから」と、こんな内容の歌詞が有りました。
私も若い頃、自分がとても嫌いで、四十代くらいまでそれは続きました。
先日、よみぃさんの動画で、「こんな自分が嫌いで、こんな自分、生きていてもいいですか? 」と言っていて、凄く辛いんたろうなと理解できました。
自分を嫌いと言う事は、常に自分を否定していて、常に自分を責めているので、本当に辛いです。
きっと大祐さんも、そうだったのかなって思いました。
よみぃさんは「ええで、生きろ」と言う視聴者のコメントに救われた、有り難うと笑顔で言ってました。
自分を肯定してくれる誰かが居れば、自分が嫌いな人たちは救われると思いたいです。
大祐さんにも肯定してくれる誰か、もしくは大祐さんを否定する大祐さんを否定してくれる誰かが居たら、自殺しないで済んだのかなあと思います。
大祐と黒の隠者で出した曲で大祐さんが録ったプロモーションビデオは、大祐さんが自分が死んで葬式してると言う、意味深な映像でした。
そして、志半ばで中途半端になっていた、大祐と黒の隠者のアルバムは大祐さんと交流のあったヴィジャアル系のバンド仲間が沢山集い、完成させてリリースされました。
すみません、とりとめの無い事をつらつら書いてしまいました。
それでは、また明日。




