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14話 春→夏 1/3



◆◆◆



「うーん……」


寒いなぁ……。

寒い。


僕はシャツ1枚って言ういつもの格好。


シャツだけを着た状態で鏡の前に立っていろんな角度から光を当ててひたすらに研究し続けること数十分くらい。


僕はめんどくさがりで飽き性なクセに1回気になると気がするまで調べないと気が済まないんだけど、その調べもののあいだは食べたり寝たりしなくてもわりと平気だ。


そんなわけでぶるっとするくらい冷えてきたけどまだまだ。

ちょっとって言うか大分体が冷えてきたけどあともうちょっとだけ……。


「ふんっ」


力を込めてみる。


……でもやっぱりそれはできなかった。


んー、だめかー。


できそうだって思ったんだけどなぁ。

女の子なら自然に浮き出るはずの胸ポチってやつ。


いや、特に理由はなくってただ気になっただけ。


漫画でそうなっているシーンを見て「僕も幼いとは言っても女の子なんだからいけるんじゃ……?」って思っただけなんだ。


深い意味はない。


もちろん裸になれば見ただけでも触っただけでもポチが分かるんだけど、シャツ越しだとどうにも難しいみたい。


「かすかな膨らみが無いでもないからできるかな」って思って試してみはしたけど、やってみるとなかなかにハードルが高いものらしい。


乳腺とやらが育っていないんだろうか。


だって第二次性徴ってのが来てないっぽいもんなぁ、この体。

幼女だし。


でも僕は意地でも10歳は超えていたいんだ。


10歳過ぎてたら個人差で女の子らしくなってくるってネットに書いてあったし、がんばれば見えるかもって思ってもしょうがないじゃん。


お風呂でよくやっているように肩甲骨をつりそうなほどにくっつけるようにして胸を反らして、そのうえでシャツを後ろにぐいっと引っ張って胸に押しつけたならようやく確認はできるんだけど……それじゃ天然物じゃないしな。


ニセモノでもないけどさ。

一応のベースは女のはずだ。


それにしても、同じようにしてみてもポチが起きるときと起きないときがあるのはなぜだ。

数秒のあいだに浮き出たかと思えば沈み込んでいるし……訳がわからない。


「はぁ……」


ため息をつきつつ微妙に伸びてしまったシャツから手を離してぺたんとする。


やっぱりもっと成長しないとムリなんだろうか。


脱いでふつうにしていたら、かつての記憶にある子どもの時の男だった僕の体の胸とたいして違わないくらいだしなぁ。


むしろ肉がついていないぶん……。


本を読んでいたら女の子は先っぽのほうから成長してくるってあったのを見つけて喜んでここまで来たんだけどなぁ。


そのときの興奮は体温とともにとっくに冷え切ってしまった。


悲しい。

空しい。


あちこちに脱ぎ捨ててあるぱんつや他の服を、もう冷たくなっているそれらをもそもそと身につけ直しながらため息を再び。


……女だったら誰にでも起きるわけじゃないのか。

今の僕は「少」女以前の「幼」女だしなぁ。


揉めない。

見えない。

浮き出ない。


………………………………つまんない。



◆◆◆



昨日までのしとしと雨からざあざあ振りになっているらしい雨粒の音を聞きながらカーテンをそっと開けて外を眺める。


誰にも見つからないようにって気をつけながら開けるのにも慣れた。

水気を含んだ布と木と金属の匂い。


暗い空。

雨がいつまで経っても止まない。


今年の梅雨は長い。


もうすぐ終わるらしいけど結構長かった気がする。

ニートが長いって思うくらいなんだから相当のはずだ。


こんな天気なもんだから夕方の散歩がさぼりがちになるのは仕方ないよな、うん。


こんなぐずぐずした天気がもう半月も続いているものだから、ろくに外に出る気がそもそも起きないという悪循環もまた続くんだ。


外に出たとしても、どす黒い風景と肌にまとわりつく湿気と帰ったあとに体じゅうがじとっとしてお風呂に入るまでどこかじめじめし続けるんだから、それらないっそのこと出なければいいやってなるんだもん。


こんなのは去年までもずっと同じだったしムリして外に出ていたずらにストレスを溜める必要もないし。


「…………………………………………」


初めのころは「雨具で隠れられるからいい」って思ったけどさすがにどんよりが続けばいい加減にうんざりしてくる。

北国の人もこうしてメンタルがやられるっていうのを耳にした覚えがあるし、やはりお日様は偉大だ。


この体のDNA的にはどうなんだろうな?


『…………なのでこの……被害者というよりは………………と呼ぶべき……』

『前兆がなくいきなりというパターンがほとんどであって対処に…………』

『………………が遅くなると……………………という事態を招くケースも……』


午後のテレビはつまんない。


辛うじて興味の持てるワイドショーなんかを適当につけていることが多いけど、どうも僕の知りたいことを掘り下げてくれる局はないらしい。


まぁこの時間帯のターゲットは僕みたいな20代の男じゃないからしょうがないんだけど。

別に僕だって暇を潰したいわけじゃないもんな。


ただ耳が寂しいからつけておくだけなんだ。

あと時報的な機能もあるし。


けどなぁ……。


「ふ――……」


ぼんやりと画面の向こうで熱心に話し合っている人たちを見ながら思う。


もうこの体になって4ヶ月か。

長いものだな。


1年中日曜日な僕にとって季節はあっという間に過ぎるものはずなのに、それでも長いって感じるんだからよっぽどだ。


やっぱり子供だから時間感覚が?


うーん。

比べられないから分からない。


世間ではこの天気のことを諦めているらしく、もうすぐに来るらしい梅雨明けとその先の夏休みを間近に控えてのレジャー特集とかで浮き足立っている印象だ。


話題がなければとりあえず今年のオススメスポットを紹介しておけばいいだろう的な制作者の意図を感じる。

コマーシャルもみーんなそんな感じだしな。


僕としてはそういうもののほうがまだ興味を持てるからいいんだけどさ。


にしても夏休みか。


ここ数年はずっと家にこもっていたな。

暑いし人でいっぱいだしで外に出る意味がないんだもん。


こんなに毎年暑いのにわざわざ余計に暑くなりに行く神経は持ち合わせていない。


ニートを舐めない方が良い。


ニートっていう特殊な生態を考えると、この時期は外出を控えてオフシーズンを狙うのが鉄則なのは明白だしな。


去年まではそうやって人の少ない時期に2週間3週間の旅行とかしていたんだけどなぁ……今年はどうあがいてもムリっぽいし。


趣味の温泉巡りすらできないのは悲しい。


ああ言うのってふと思い立って本屋に走ってガイドブック買ってきて、ひととおり読んでから行きたいルートを考えて予約するのが楽しいのにな。


もちろん物理的にはできる。


……できるんだけどそもそも日帰りだってこの見た目じゃ変に思われるし、男湯に入るのにも女湯に入るのにも勇気が要るしなぁ。


幼女がひとりで都会からそこそこ離れた温泉郷に来る時点で怪しまれる可能性しか無い。


それにいざパスしてすっぱだかになるにしても……男湯なら僕の精神的にマシなんだけど、どうしたってこの長い銀の髪の毛は女だって主張するものだし無理っぽい。


いくら体に凹凸が完全に……ほとんどないといったってさすがに腰まで伸びている髪の毛は隠せないしな。

切るのはNGみたいだからこれだけはほんっとうにどうしようもない。


なら理想郷の女湯はどうなのかって言うと……その、覗きに入っているような気がするからたぶん僕の心が持たない。


まるで変態じゃないか。


いやまぁその、女の子の見た目で男湯を選ぶのも充分にやばいんだけど男の精神で女湯に入るとかもまた相当にやばいんだ。


漫画の女湯なシーンとかを見過ぎているからこうやって思うだけで、現実に入ってくる人の多くはおばさんとか年寄りの割合の方がずっと高いだろうとは思う。


だからそんな心配はないはずだけど……それでも中学生くらいまでならともかくそれ以上とか元の僕と同い年くらいの女性なんて見ちゃったら、きっと罪悪感で寝込む。


だって僕現実の女の人の裸なんて直接見たことないもん。

威張ることじゃないけど経験値が0と1以上にはとんでもない差があるんだ。


姉か妹とか小さい頃一緒に入ってた女友達なんて存在は僕にとっては縁の無い灰色の人生だったしな。


だからよっぽどのことがない限りはどっちに入るにしてもムリだろう。

温泉は諦めないと行けなさそうだ。


家族風呂とか高そうだし、なによりひとりっきりだしなぁ。


「…………………………………………」


CMをぼんやり見ていた僕は思いつく。


待てよ。


「持病がある」とか「ケガの跡がひどくって」とか言えば。


……うん、それなら不可能じゃなし不自然にも思われないか?

ただ同伴者って言うか保護者が居ないのだけが問題になるだけだ。


いや、やっぱりそれが駄目だ。


高校生くらいまでの子供は社会的には保護される存在。

怪しまれるしかない。


ちょっといいアイディアが浮かんだけど、そもそもわざわざ山奥の効能抜群のお湯なんかに浸かったらこの体の貧弱極まりないお肌ではどうなるのか分かったもんじゃない。


薄い肌で濃い温泉なんかに入ったらしみたりして最悪のたうちまわることに。

やっぱり止めておこう。


……入りたいなぁ、温泉。


旅館に泊まって何回もお湯に浸かっては上がって部屋でお酒呑むループが大好きだったんだけどなぁ……。


あ、今夜は日本酒にしよ。





梅雨にはいいところもある。


外に出なくていい理由があるから普段通りの生活に戻っても「まーた引きこもってる……」ってちくちく痛んだりしない。


一応でも僕の良心は引きこもりを良しとしていないもんな。


それにいちいち外に出るかどうかを考えて家の前を確認してってことをする必要もない。

「雨だからしょうがないよ」って言い訳で今日もぐうたらできるんだ。


こうしてシャツとぱんつだけっていうだらしない格好でベッドでごろごろ気楽にしていられるのがその証拠。


シャツ1枚だと単純に楽っていうのと洗濯がすっごく楽って言うのと肌が布に擦れて気持ちいいっていうお得さで、けども下に穿かないとお尻が冷たいし汚くなったら困るから1枚換算300円のぱんつでカバーする完璧さだ。


こうしてじっとり静かに過ごすのって好き。


だけど僕も一応は人間だから何日かに1回あるかないかだけど外に出てちょっとだけでいいから会話をしてみたくなる衝動に駆られることもある。


こう、スーパーでお会計の後に「ありがとうございます」だけでもなんか違うんだ。


僕には将来性皆無で人生で学生時代の次に大切な20代を無駄にするって言う……あ、ちょっとずきって来る……ニートって言うご職業をする適性はあるんだけど引きこもる適性はないらしい。


ニートと引きこもりって似ているようでイコールじゃないんだよなぁ。

その辺を大半の人が理解できないんだよなぁ。


「やれやれ」


適当につぶやいてぴろりんと鳴ったスマホをめんどくさがって取らない。


初めてこの姿で外に出たあの日のせいなのかおかげなのかは分からないけど、幼女な僕にも中学生だって言い張る怪しい存在に対して知人ができた。


年下の中学生っていう存在だ。

小学生でも高校生でもないらしくって中学生。


ある意味幼すぎもせず男の僕からして理解できなくなってくる年頃にもなっていない純粋な女の子っていう存在の知人。


一応は知り合っちゃったし完全に無視するのはなんだか悪いしで気がつけば何回か外でお昼とか食べてるんだ。


なにかと予防線を張りつつ、ほんの軽い雑談だけーとかそんな感じで。

まぁ僕が深いお付き合いはお好きじゃないってのは態度で分かるらしくって本当に軽い感じだけど。


せっかく連絡先を教えさせられたんだ活用しないともったいないしってことで今どきの現役の女子中学生なJCさんと……「友だち」として何度か。


子供って顔見知りから友だちになるのが一瞬だよね。

僕なら最低でも3ヶ月は欲しいのにな。


相変わらずやけに距離は近いしうるさいしで疲れるけど、そこは僕の機転。

適当なアラームとかをつけて「もう行かなきゃ」ってごまかしてなんとかなるし。


人と話したい衝動をちょっとした買い物とか旅行先とかでまとめて発散していたんだけど今はできないし、情報収集は大切出しでずるずると会ってる。


正直めんどくさいんだけどそこはニートの特権を行使。

そういう気分になった日に「今日なら時間あるよ?」でオッケーだ。


学生が暇そうな時間なら大体二つ返事だしな。


でも、顔見知りとこれだけ頻繁に会うのは何年ぶりだろう。


多分高校生以来じゃないかな。

高校生までなら僕もなんとか周りと合わせていて学校帰りとかお休みの日にご飯食べたりしてたしな。


大学からは……うん。


授業で必ず同じ人たちとって言うのがほとんどなくなったしサークルなんてのはめんどくさくって。

そういうこと。


そんなわけで人寂しさをすっごく年下の女の子で紛らわせるって言うやばいことをしてるわけだ。


僕の肉体年齢はそれよりさらに幼いのは置いておくとして。


子供相手とはいえ結構に会話もしたし、これで少しは……少なくとも設定も何も無かった最初の頃よりかは見た目と設定とのバランスの取れた「らしい」話し方と振る舞いをできるようになってきたんじゃないかって思う。


ついでに寄るお店とかで店員の人に「ん?」って顔をされるあの一瞬もほとんどなくなってきたし。

容姿に見合わぬ貫禄みたいなものが出てきているなら嬉しい。


努力は必ずしも実るものじゃないけどなんらかの見返りはあるものだ。

相応のやり方と時間と頻度が不可欠だけど。


にしても家族同士の知り合いとかじゃない女子中学生と外で度々会うなんて。

成人しちゃった男としてはお金を払う以外に手段がない気がする。


つまり元の体だったら事案になってもおかしくないってこと。

やっぱり結局誰がなんと言おうとも人は見た目がすべて。


だからもっと中学生っぽい雰囲気を醸せるようになって……いい加減赤ちゃん言葉で話しかけられるのは回避できるようになりたい。


本当に。


今でもときどき、たまーにだけどしゃがみ込んでまで話しかけてくる人がいるくらいだもん。


まぁ素顔が見られちゃえば小学校低学年だもんな。

他人と話すときは丁寧が染みついてる僕だってこんな姿の子が居たら砕けた話し方しちゃうもんな。





僕は忘れっぽいし興味ないとそもそも認識すらしないでどうしようもない存在だ。


だから会った話の内容とか忘れないうちに整理しておこう。

ちょうど今何もする気無いからちょうど良いしな。


さすがに日記に書いたらなんだかマズそうだしスマホのメモで適当にすいすいって。

何もする気が起きなくたってスマホをいじれるんだからやればできるはず。


かつては同級生の同じクラスの子の顔と名前でさえ学年末になってきてようやく浮かぶようになるっていうのを高校まで続けていた僕。


こうして何回も何回も思い出さないと記憶に残らないもんな。


とりあえずは面倒なおっきい子のJK下条かがりさん。

年下に対してさん付けもどうかって思うけどそれが僕。


全体的にすべてが大きい子。

なにがとは言わずに全部が。


彼女は高校生だとばっかり思い込んでいたんだけど、なんと中学2年生。

つまりは設定上の僕と同い年だそう。


んな馬鹿な。


初めにに聞いたときはてっきり冗談かなにかかって思っていたんだけど疑いすぎたら怒りだして学生証をぐいっと突きつけられたから本当だったらしい。


あの体で本当に中学2年生だった。


あの体で。


あの体で。


あの体で。


いやらしい意味とかじゃなくって背も高いし胸もでかい。

あの大きさだと何カップになるんだろうな?


いくら肉体的には同性だって言っても僕は男だって言ってるし、いくら女の子同士でも初対面に近い間柄で「何カップ?」とか聞かないだろうしで言わなかったけど。


年齢をさんざん疑ったせいでまぁふくれること。


どれだけ幼かろうと年齢を気にする女の子っていう生きものだし何歳も上に見られるのがコンプレックスだそうだ。


漫画みたいにほっぺをわざとらしく膨らませて怒るアピールするもんだから大変だった思い出。

余った、もとい食べきれなかったお菓子もといスイーツをあげたらすぐに機嫌直ったけどな。


下条さんの場合、いざとなれば甘味か僕の着せ替えでどうとでもなるらしい。


ちょろい。


でもどこからどう見たってそもそも中学生にも見えなくて高校生どころか大学生って言ったって「そうなんだ」で済みそうな体もとい外見をしているのが悪いって思う。


よく冗談で「グラビアアイドル目指せば?」って友だちに言われるって言ってたしな。

実際脱がなくてもすごいって僕でも思うんだしそうなんだろう。


まぁこの辺に深く突っ込むとその反対な僕にも流れ弾が来そうだから黙っておいた。


肉体年齢と設定年齢と精神年齢がぜーんぶ違う僕には直撃しそうだし。

きちんと頭の中で分けておかないとときどき分からなくなるくらいだし。


えーっと僕は大人の男の心と幼女だけど中2男子って言い張ってる体で、下条さんは幼い心と中学生なのに高校生の色気ってのを出してる体。


ずるい。

交換して欲しい。

無理だろうけど。


くるんプリン下条さんとちょっと話してみれば、確かに顔は中学生くらいの幼さだし精神年齢が年相応だってのはすぐに分かるんだけどな。


高校生だろうって思ってから話すと案外分からないもの。


おととい会ったときには、定期試験でやらかしてたった1科目のために補習があることになって夏休みが残念なことになったって嘆いていたかわいそうな子。


話を聞いている限りどうも勉強にあまり向いていないっていうかすぐにぽんわかするっていうか、たぶん学力は同学年の中でちょっと……な様子の子。


かわいそうになぁ。


本とかは普通に読んでいるみたいだし地頭は悪くはないと思うんだけど勉強のやりかたと習慣ってのは難しいしな。


「中学生なのにバイトして良いの?」って思ったらあの外見が原因だったそう。


なんでも部活の先輩……高校生のらしい……がバイトとして働いているあのお店で人が足りなくなっていたのはこの前の通りだけど「高校生の制服を借りて履歴書に高校生って書いたら通るんじゃない?」っていう学生らしいノリで出してみたら特に疑われることもなく即日採用だったとか。


「ずさんすぎない?」って思ったりもしたけど、たしかにあの子が制服を着ていて静かにしていたなら高校生だって言われても違和感がなさそうだし実際間違えたしな。


まぁ肉体が幼女の身で飲酒している僕からは何も言えないし、そもそも働いていたのもあの連休中だけのことらしいし社会経験ってやつだ。


とにかくあの身長と胸では年齢詐欺にもほどがある。

ちょっとは分けてほしいくらいだ。


どっちもな。


まぁ何も言われなかったっていうのには臨時だったっていうのもあるらしいし。


店長か誰かしらが多少勘づいていたとしても本人たちが言い張っているし、書類上は高校生だし「まじめそうならわざわざ言わずとも問題なく働いてくれるんなら良いよね」っていう大人のグレーな判断。


高校生たちのツテを頼るくらいだし切羽詰まっていたんだろうしな。

世の中余計なことを突っつかなければわりとどうとでもなるものだ。


藪からは何が出てくるか分かったもんじゃないしな。


実際僕もそうやって突っ込まれないことが多いんだろうし。

だからこそおとなしくしないないとどうなるか分からない。


ボロだけは出さないように気をつけよう。


出したところでがっかりされるだけだけど……そういう他人の反応が平気だったらこんな生活してないんだから。


……ま、こんな幼女の中身がその辺に転がっていそうな地味な眼鏡男だなんて誰も信じないだろうけどさ。

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