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トロイメライ  作者: 嘘吐き
5/20

5

――わたしの名のひとつを知りましたね


――よろしい。あなたは資格を得ました


――境界に招聘しょうへいしましょう




 夢を見ているはずなのに、やけに現実感がある。


 ふと、浮遊感が襲ってきた。


 だが恐怖はなく、フリードリヒはいたって冷静に、降り立った。


 自分が眠っているという自覚はある。だがここに立っている、という自覚もある。


 フリードリヒはあたりを見回した。

 白ばかりで何もない。所々、透明に歪む壁のようなものはあるが。


 興味本位にその壁に触れようとすると、いつも夢で聞いていたあの声が、より鮮明に聞こえてきた。


『障壁に触れてはいけません』


 性別を超越した、だが人に近い姿をした者がそこにいた。


 三対六本の角を頭部から生やし、色とりどりの花を衣装として纏う。

 金色の瞳で見据えられ、フリードリヒは硬直した。


『現世と神域の境目たる境界です。ここでなら、わたしとも言葉を交わせます』


 フリードリヒは壁から離れ、眼前の者の名を口にした。


「ケツァル、コアトル様、ですか」


『いかにも。その名は人がわたしを呼ぶ名のひとつ』


 ケツァルコアトルは微動だにせず、表情も変えず、ただ言いたいことだけを言う。


『これもまた因果、としましょう。して、わたしの愛しい子。ついにわたしの手をとりに来たのですか?』

  

 手を伸ばすケツァルコアトル。フリードリヒは怯えたように退がる。


「っ……違い、ます」


『そうですか。それは残念ですが、よろしい』


 残念そうなそぶりも見せず、神は手を降ろす。


「ケツァルコアトル様は、何故わたくしを選んだのですか?」


 幼児期からあった疑問を、フリードリヒは口にした。

 ケツァルコアトルは本人の緊張なぞ知らず、わずかに首を傾げ言う。


『選んだ?いいえ違います。あなたはわたしとの霊質波長が合うから、わたしはあなたの意識に介入できるのです。

今までの神憑きも、そのように生まれています』


「で、では……神憑きは、神に魅入られたわけでも、呪われたわけでもない、と……」


『その通りです。人の作り話に惑わされましたね』



 あまりの衝撃的事実に、フリードリヒは腰をぬかし、その場にへたりこんだ。

 ケツァルコアトルはその姿を哀れとも、愚かとも思わず、ただ言葉を続ける。


『あなたはわたしが使わした赦しの証。あなたは現世で行動を制限されるわたしの使命の代行者です』


「な、ぜわたくしなのですか!なぜわたくしなぞを……」


『それは先程申したはず。あなたは――』


「そうじゃない!そうじゃないの!

貴方が選ばなければ、僕はこんな目には合わず済んだのに!もう少しマシな生き方ができたかもしれないのに!」

  

 ついには喚くフリードリヒを見た神は、へたりこむ彼の額に指を当て、目線を合わせる。


『人は複雑ですね。幸せを感じながら、今は嘆いている……本質のみの我らとは大違いです』


「え……あ」


『話になりませんから、一度帰りて落ち着きなさい。また言葉を交わしましょう、わたしの愛しい子』


「ま、待って……!」


 願いは却下され、ケツァルコアトルが声なき声で何事かを呟く。

 フリードリヒの耳元でぶつん、と音がしたかと思うと、眼前は暗幕のような暗闇となった。







 ゆるりと目を開く。窓から差し込む光が眩しい。アルヴァの強い日差しは、フリードリヒには辛いものがあった。


 大して眠った感じはなかった。まだ昼ということは、意外と短い時間だったのやもしれない。


 というのに、猛烈な空腹感があった。

 寂しいというより、いっそ痛いぐらいで、ここまでの空腹を感じたことがないフリードリヒは、不安で起きる。


「……いっ、つ」


 右腕に引き攣るような感覚。袖をまくって見れば、点滴を打った痕が残っていた。


「フリードリヒ様、お目覚めですか?」


「あ、うん……」


 声を聞き付けたエリッサが、手早くフリードリヒの腰と寝台の間に枕を差し込む。


「ああ、まだ痛みますか?後で揉んで差し上げましょう……」


「……あの、その……お腹、すいた」

  

 情けない声を出す妃があんまりにも可愛くて、エリッサは朗らかに笑った。


「それは良いことですわ!健康な証です」


「……い、ままでに、お腹空いたこと、なかった……から」


「それもそうですわね。フリードリヒ様は一日中眠っておいででしたから。医者は心配ないと言いますが、後で診てもらいましょう」


「……えっ」


 一日。エリッサの言ったことが真ならば、フリードリヒはあれから全く目覚めなかったのか。

 境界と現実では、凄まじい時間の溝があるようだ。




「そうでした。フリードリヒ様、これからのために、体力をつけねばなりません」


 パンを芋のスープに入れて柔らかくしたものを、こぼさぬよう気をつけて食べていたフリードリヒ。

 だがエリッサの言葉を聞き、思わずスプーンを取り落としそうになった。


「……な、んで?」


「子供を産むのは、それはもう大変ですのよ。今のフリードリヒ様では耐えきれませんから、少しずつ、お体を強くしましょう」


 妃も大変なんだあとか考えていたフリードリヒだが、ふと浮かんだ素朴な疑問を口にする。


「ふああ……ね、エリッサは、子供、いるのー?」


「残念ながら、昔、事故に遭い、子供を授かれなくなってしまいましたわ。ですが養子ならばおります」


「そ、うな……んだ」


 聞いてはいけなかった気がしたフリードリヒは、ごまかすように食事を再開する。

  

「くあぁ……うう……でも、体力て、どうやって……つけるの?」


「そうですわね……まず軽く、近くの庭でも歩きませんこと?少しは日に当たるべきです」


 とはいえ、北部生まれのフリードリヒが、アルヴァの日差しを直に浴びては毒だ。


 エリッサは日傘を持つよう他の侍女に言い付けていると、フリードリヒがいつになく、驚いた顔をしていた。


「外、出て、いいの?」


「……はい?」


 王妃の言葉に、部屋中の侍女たちが一斉に主を見る。

 エリッサが戸惑いながらも、返事をする。


「ええ、もちろん……というより、あなた様はいつでも、この王宮内をお好きに歩けますよ?城外は難しいですが……」


 うんうん、と他の侍女たちも頷く。

 フリードリヒは子供みたく瞳をきらきらさせて、聴き入る。


「ほんと?……わ、わ、いいなあ」


 貴方のことを話してるのよ、という一言を飲み込み、エリッサは引き攣った作り笑いを浮かべた。


「喜んでいただき、ようございましたわ。しばらくは私たちが付きますが――」


「え、うん……いいよお。外出ていい、んでしょう?」


 身を乗り出し、寝台から落ちそうなフリードリヒをなだめ、侍女たちは準備を始めた。


 誰かが思わず、おいたわしや、と呟いたが、憐れな主は気付かない。

  

 王妃の寝室を出、廊下をゆったり歩いていると、医師が待っていたものらしい。庭に出る途中で合流した。


「王妃様、大丈夫でしたか?」


 何が、とは聞いてこない。フリードリヒはわずかに首を横に振る。


「びっくり、しました……怖かった、です」


「それは、申し訳ございません。急いてしまいましたね」


「いえ、お医者様の、せいでは……もっと神さまのことを、教えてほしい、です」


 再三頭を下げる医師に、フリードリヒは慌てて釈明。


 北部ではリウォイン王家の力が強く、神学を学習する機会が少ない。

 おまけに無知なフリードリヒでは、だいぶ衝撃が大きかっただけだ。


 今回を機に、もっと神と、自分を知ろうと、フリードリヒは決めていた。


 医師はまだ心配げな顔をしていたが、渋々といった感じで頷く。



 庭園は思っていたよりも近場であった。

 まだ本格的な夏を向かえてはいないが、慣れない日差しと暑さに、フリードリヒはたじろぐ。


「……無理」


「そうおっしゃらず、庭師が丹精込めた花が美しいですわ」


 諦めかけた王妃を、侍女たちが言葉たくみに誘う。

 実のところ、接待用の庭園は、優秀な侍従も好きには歩けない。

 楽しんでいるのはどちらやら、日傘を開き、扇で主に風を送りながらも、彼女たちの笑顔は無邪気であった。

  

 石畳の通路を歩きながら、綺麗に整えられた垣根や、アルヴァ固有の花を見る。


「ふえー……すごい色」


 原色の絵の具をそのまま塗り付けたような、鮮やかな花びらが、フリードリヒの瞳を刺激する。


 中には、毒でもあるんじゃないこれ?と言いたくなるほどの斑模様まで。


「……おや」


 医師が何かを見つけ、地面に手を伸ばす。拾ったのは、白い小さな花。

 無惨にも根本から剪定され、花びらも一部無い。


「……それ、どうしたんでしょう」


「ああ、これは野薔薇です。この花は不吉なものですから、処理しなければなりません」


「へえー、知りませんでした」


 教会の力が強いアルヴァでは、こういった細かな教えも、忠実に守っていた。

 医師は野薔薇を白衣の懐に仕舞った。


「お、医者様は……教会の方なのですかー?」


「ええ、司祭として神学を修めましたが、私は多くの人を救いたく、医師になった次第です」


「すごいですねー……ふあああぁ……」


 立ち止まる方が暑いと、ようやく学習したフリードリヒは、のろのろ歩き初める。


 時たま、石畳に爪先を引っかけては転びかけ、エリッサに支えられた。



 十分ほど歩いたろうか。ついにフリードリヒが音をあげた。


「……脚、いた」

  

 それを聞いた医師が、木製の折りたたみ式椅子を組み立てる。


「王妃様、こちらに……恐らくは筋肉痛でしょう」


 座ったフリードリヒは、経験の無い痛みに不安がった。医師はひざまずき、細い脚を軽く揉んでやる。


「泣くほど痛みましたら、言ってください。歩けるなら、大丈夫です。暑さに慣れるためにも、なるべく毎日歩きましょう」


「……ふうん」


 正直、痛みには慣れかけていた。

 どちらかといえば、身体中の痣や、酷く扱われた肛門の方が痛みは上だ。


 医師はさらに脈を測り、眼を診察。真剣な目つきは、異常は絶対に逃さないと言わんばかり。


「熱中症は大丈夫そうですね。なるべく水分を多く摂ってください」


「はあい……くあぁ……ああ」


 もはやフリードリヒは、医師の忠告を半分も聞いてはいなかった。意識を現実に留めようと必死だ。


「……もう限界かしら」


「ですかね。まあ初日はこんなものでしょう」


 フリードリヒを半ば無理矢理立たせ、寝室へと戻る。


 エリッサは妃を部下に任せ、医師と小声でやり取りをする。


「これから、さらに眠る時間が延びます。その末は、永劫の眠り、静かな死です」


「なんとかなりませんの?せめて、世継ぎが生まれるまで」


「その為に、私は呼ばれました。お任せ下さい、術はあります」

  

 歩いては食う寝る、を繰り返した結果だろうか。一週間後には、フリードリヒの食欲は目に見えて増え、血行も良くなってきていた。


 慢性的な栄養不足および運動不足の解消からか、自然と文字の読み書き勉強も進む。


 だが、眠る時間も日に日に増えていった。


 本人はおろかロメンラルの侍従も、フリードリヒの睡眠時間を計測などしていなかったらしい。


 これは医師がエリッサに言い付けて初めて明らかになったものだ。


 うっかり意識を飛ばした回数、昼寝の総数も合わせると、人間こんなにも眠れるのかと唸りたくもなる。


 医師は医療記録を読み直し、だが患者に余計な不安を抱かせないよう、嘆息は飲み込む。


「ふあ……ぶぅえっくしょい!!……うえー」


「あらまあ、景気の良いくしゃみですこと。ですがもう少し、紳士的におすませなさいな」


 意外とおっさん臭いくしゃみを咎めながら、エリッサはハンカチでフリードリヒの鼻水を拭う。


 まるで親子だと主従を見ていた医師だが、仕事を思い出し、妃に向き直る。


「申し訳ありませんがエリッサ殿、席を外していただけませんか?これは教会的にも内密の話ですので……」


「わかりました。扉の前で控えております……皆、手を休めて着いておいで」


 エリッサが部下に呼びかけると、侍女たちは仕事の手を止め、侍女頭に続く。

 途中で妃に一礼する者や、新しい水差しを置いていく者もいた。

  

「いい侍女たちですね」


「はい……みんな優しいです」


 フリードリヒは心底から、自分の世話をしてくれる者を誇らしく思っていた。


 侍女たちも、妃のそういった素直な部分を好んでいるのだろう。

 良い主従関係だと感心しつつ、医師は懐から一枚の便箋を出して広げる。


「現世と神域。その境で神と会話をするのはあまりにフリードリヒ様のお体に負担がかかりすぎるようです」


「う、はい」


 一日中眠るという行為は、意識だけではなく、体にもよくない。

 こんなことを何度もこなせば、運動をしたとて、無駄になってしまう。


「ですので、ケツァルコアトル様の一部を、こちらに顕現させようと思います」


「けん……げん?」


「ええ、神とはいわば、力そのもの。一部をこちらに召喚するぐらい、わけもありません。やり方は同僚に教わりました……あとは、フリードリヒ様が私めに命じるだけです」


 恐らく、医師の持つ便箋にその方が記してあるのだろう。


 フリードリヒはしばし迷った。

 正直、ケツァルコアトルと話すのは辛いものがある。

 とはいえ、先に進まずにうやむやにするのもどうだろう。


「あ、の……一人だと不安、なので……」


「大丈夫、私もおりますから」


 その一言で、安心できた。何も自分一人で決めなくてはならない事ではない。


「んと……じゃあ、お願いしま、す」

  

 医師はそれを聞くと一礼し、流れるような動作で小刀を取り出す。


 何を、と聞く間もなく、医師は躊躇なく自身の掌を切った。


「ひゃっ」


 怯える妃を無視し、血まみれの手で聖印を握る。

 便箋の内容を、声なき声で口上を唱える。


『――“翡翠ひすいすすぎ"を招聘す』


 フリードリヒにはその一言しか聞こえなかった。

 耳鳴りがひどく、また、どこか落ち着かぬ気分となったからだ。


――よろしい、承認します


 内から声が込み上げた瞬間、全ては終わっていた。


「……ふあ」


 花の甘い香が、フリードリヒの鼻をくすぐる。


「成功いたしました」


 医師が手を止血しながら、ご覧なさいと、フリードリヒの寝台を見る。


「……はえ?」


 フリードリヒのひざ元、白いシーツの上に、碧い羽が非常に美しい、一羽の翡翠かわせみがいた。


 翡翠は愛らしく一鳴きし、フリードリヒを見た。


「か、可愛いです……」


「ええ、可愛いですね」


『して、わたしの愛しい子。何用ですか?』


 翡翠が言葉を発すると、フリードリヒは驚きに目を見開き、興奮ぎみに盛り上がる。


「わ、喋りましたっ。お医者様、すごいです、賢い小鳥さんですっ」


「ええ、よくできていますね」


「皆にも、見せたら喜ぶでしょーか?」


「んー……残念ながら、小鳥さんは、私とフリードリヒ様にしか見えません」

  

「そうですか……残念です……陛下も喜ぶかなーって、思ったのですが……」


 暴挙極まる王の場合、喧しいとか言って焼鳥にするのは目に見えているが、純真な妃の前でそのように無粋なことを言うはずもなく。


「陛下は貴方様がいれば充分でしょ……いった」


 無視され続ける翡翠が堪えかね、医師の手をつつく。


「ああもう……フリードリヒ様、こちらがケツァルコアトル様、の化身です」


「……え?」


 角を持ち、花を纏う神の面影なぞ全く無い。

 フリードリヒは翡翠をまじまじと見つめる。


『この声を忘れましたか、わたしの愛しい子』


 翡翠の発する声は、たしかに聞き慣れた神のものだった。


「ケツァルコアトル様ー!」


『ですから、先ほどからそう……まあ、あなたの思考が少し遅いことは知っています。して、わたしと何を話すのですか』


「……え、と」


 そういえば、そこまで考えていなかった。

 早く何か言わねば、とフリードリヒは足りない脳を必死に回転させる。


「フリードリヒ様、急がずとも、神は逃げませんよ」


 見かねた医師が、やんわりと落ち着かせる。


「……はい。あの、ケツァルコアトル様は、何故わたくしたちに憑くのですか?」


 祝福でも、呪いでもない。使命の代行者だと、神は言った。

 ならば真意は何か。医師も興味があるのか、真剣な表情。

  

『端的に言えば、歪みを正すため、そして人々に赦しを教えるために』


「言葉の端を繋げて惑わすのは、よしてください」


 医師が眉を潜め、なんと神に意見した。

 恐れを知らぬのか、翡翠に臆することはない。


 ケツァルコアトルも怒ることなく、器用に首を横に振る。


『まだこの子には早い。わたしの愛しい子よ、あなたには、多くの哀しみと、さらに多くの選択が来たります』


「……はい」


「どうか決断を惜しまないで。わたしを受け入れれば、人をこえる力を――」


 翡翠の小さな体が、医師の手に押さえこまれた。


「私がお傍にいる限り、この方を連れていくような事はさせません。絶対に」


「お、医者様……」


 フリードリヒは慌てて医師の手を取り、ケツァルコアトルを助け出す。


 翡翠は少し羽ばたき、フリードリヒの手の上で鳴いた。


「わたくしは……わたくしは、陛下と……皆と、いたいです」


 左手首の腕輪を一瞥し、妃は婚礼儀式の誓いを思い出す。

 実際、ロメンラルにいた頃よりも、今はとても充実していた。


「今日は何を、するんだろーって、今日は何を話そうかってー、考えたの、初めてなんです……」


 それはフリードリヒが生まれた時から共にいる神が、一番よく知っていた。

 ゆるゆると精神を蝕む孤独から逃れたフリードリヒは、この楽しい日々を無くすことを、何よりも恐れている。

  

「んと、ですからあの、今のままが……いいです」


 翡翠は首を傾げた。二人の様子を、医師が不安げに見つめる。


『それが選択の結果ならば、わたしは介入しません。ですが覚えておきなさい、わたしは使命と役割を果たさねばならない。その時が来たら、また』


 翡翠は羽ばたき、空気に溶け込むように姿を消した。


 残された王妃は、泣きそうな表情で医師にすがる。


「どう、しましょー……ケツァルコアトル様、お、怒ってませんよね……?」


「そこですか。大丈夫です、王妃様は神の寵愛を受けていますから、そのぐらいでは怒られませんよ」


 医師は安心させるよう微笑みかけ、フリードリヒの枕元にある呼び鈴を鳴らし、侍女たちを呼び戻した。


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