9 血と殺戮 -5-
「どうやって使うのって聞いたら、一人が教えてくれた。マガジンの装填をやらせてくれて。安全装置の外し方もホールドの仕方も全部教えてくれた。僕は華奢に見えるから、扱い切れないだろうって笑われた。やってみなきゃわからないよって言ったら、実戦で失敗したら死ぬぞってまた笑われた。そうだねって僕も笑って、そのまま引き金をひいた」
伸びた人差し指が、何かを引くようにぐっと鉤型に曲がる。
「思ったより簡単だったよ。銃自体が重いから、しっかりホールドしていれば言われたほど反動は感じなかったし。一分当たり六百発の発射速度だから五十発のマガジンがあっという間になくなっちゃって、机の上にあった予備を入れ替えながら、四人がミンチになるまで全部撃った」
何かに憑かれたように、淡々としゃべり続ける。
「反動よりも音が大きくて、耳がわんわんして、頭がクラクラした。弾倉が空になって、銃が反応しなくなって、硝煙と血の臭いが部屋に立ち込めて、もう誰も生きていないって分かってからも、何だか現実感がなかった。古い夢の中に戻ってきたような気分だけが残って、僕はそのまんまそこに突っ立ってた。その後、銃声を聞いて近くの部屋のヤツが様子を見に来て。僕が血の海の中で銃を手に持って立ってるのを見て、悲鳴を上げて逃げていった。ソイツが通報したんだと思う、その後で警察と軍隊が来た。もうどうでも良かったから、別に逃げもしなかった。聞かれるままに何でもしゃべったし、このまま死刑になるならそれでもいいやって思ったんだけど。父親が金でも使ったんだろうな。なんか釈放されて」
キレイな形の茶色の目が、どうでも良さそうに雨の落ちる地面をさまよう。
「戻ったけど、トモのいない家は元の場所じゃなかった。父親も母親も前よりもっと冷たい目で僕を見たし、トモがいないだけで何だか家の中はがらんとして見えた。そのまま、すぐにその国を出てジブラルタルに移った。そうしてるうちに、そこのおばあちゃんが来て僕をここまで連れてきた。それだけだよ」
長くて悲しい気の滅入るような物語は、そうして終わりを告げた。




