魔法研究部のレポート3
「ホレ。あと3周じゃ」
「ゼーゼー……」
な…なんで今俺達は校庭をぐるぐるぐるぐる走らされてんだ……?
「これからあたし達はこの師匠に魔法をならいます!」
「「「What!?」」」
人間が魔法を使えるかっつーの‼
誰がやるかよ!
「我も昔は人間だったから大丈夫……なはず…じゃ!」
小声で言ってるらしいけど全部聞こえてるから。『なはず』って聞こえてるから!
「あたし達は魔法を研究するためにここにいるんだよ!
ぜひやらなきゃ!」
他の2人は知らんが俺は違うぞ。とりあえずなんもしなくてよさそうな部を選んだだけなんですけど…。母親に『部活入った』とかとりあえず言っとけばいろんなことの口実に使えるからだから!
「まぁ…いいんじゃないでしょうか」
そう言ったのは、魔法になんか興味ないと思っていた綾瀬だった。それに乗ったのか神崎まで
「ゆいちゃんが言うなら私もいいわ…。」
と言い出した。意外な2人の裏切りによって俺は1人、反対していた。おい…なんで俺だけ残ってんの?恥ずかしいじゃん。
「お主はどうなのじゃ?」
うぜー!こいつウザすぎだろ!なに俺にめっちゃドヤ顔してんの?ムカつくわぁー‼
「あーもうやりゃーいいんだろ?」
「ふふふっ…。それで良い」
本当にもうこの部辞めてやろうかな?
で、なんであれから校庭10周に繋がる!?
なにが『基礎体力を』だ!あいつ傘の下でバカンスしてんじゃねーか!
しかも走ってんの俺だけ!?
「頑張れー日向ー」
「部長。棒読みで言われても全然頑張れませんよ」
「頑張れーヒナター」
「師匠も……って俺は『ヒナタ』じゃなくて『ヒュウガ』です!」
小学校の頃からよく間違えられるんだよなー…。
「お主にそんなどっかの漫画に出てきそうな名前は似合わん!ヒナタで十分じゃ」
なにが漫画に出てきそうな名前だよ!
苗字っつーのは先祖から代々伝わってんだよ!
「ホレ。あと半周。」
この後、俺は死ぬほど走らされ、授業を一時間サボった。