魔法研究部のレポート2
入ってきた少女はこの現代にあり得なさそうな格好をしていた。
髪は薄い、透けそうなくらい薄い水色。瞳は吸い込まれそうなくらい綺麗な翡翠色。背丈は短く、何故かミニ丈の着物を着ていて、手には古いパイプのようなものを持っていた。
「先輩…子供じゃないですかっ…」
「誰が子供じゃあああぁぁぁ‼」
突然の飛び蹴り。その威力は予想以上に強く、俺は飛ばされ、壁にぶつかった。
「げほっげほっ……先輩!なんなんですか!コイツは!」
「我をコイツと呼ぶな!」
「この人はね、魔法使い」
「知ってるわ!そんなの!」
「魔法使いでも強い方の魔法使いだって」
マジか…。でも、信じられるか?いきなり現れた少女が魔法使いだなんて。
「ついでに、我はお主の年上に当たるぞ。」
「は!?え、嘘だろォ…。」
「嘘じゃない!」
「そうだよ!日向!」
先輩…さっきと俺の呼び方違うし…。(碧クン→日向)
「それより、本当にこの人魔法使えるんですか?」
「本当だよ!ねっ!」
「ああ、本当じゃ」
「証拠は?証拠見せてくださいよ!」
「ウーム…よし、そこの小娘!」
「わっ私ですか!?」
いきなり少女が指名したのはずっと出番がなかった綾瀬だった。
「お主以外誰がいる。なにかやってほしいこととかないのか?」
「えっと……特には…」
ないよな。いきなり『やってほしいことはないのか』って言われてもな…。
「ないのか!?」
少女は綾瀬に顔を近づけ、睨んだ。
「ヒイッ…えと…じゃあ攻撃魔法…っぽいのを見たい…です。」
「よろしい。よく見とけ」
ほぼ強引だが、綾瀬の言った攻撃魔法っぽいのをやるようだ。少女は窓際に向かった。窓を開け、外に手を伸ばした。それから、何かを呟くと手元から炎が出た。その炎は火炎放射器から出たように勢いよくグラウンドに降り注いだ。
「ほら、わかったろう?」
「わかったろう?じゃねーよ!どうするんだよ!グラウンド焼いてんじゃんか!」
「そこらへんは直しときゃいい。」
そう言うと、少女はグラウンドの焦げたところに向かって手をかざした。そして、また何かを呟いた。すると、グラウンドの焦げたところはどんどん直って、元通りになった。
「「「おぉー…」」」
小さく拍手が起こる。コイツ…本当か?
「ということで、これからあたし達はこの師匠に魔法をならいます!」
この部長の宣言後、チャイムが鳴った。