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早歩きだったのは最初だけで、
黒から見えないであろう位置までくると、速さはがくんと落ちてしまいました。
白はぐるぐると、黒のことと外のことを考えます。
外へと繋がる船は月に一回、今月のその日はすぐ明日にまで迫っています。
「ずっと一緒にいようね」と笑った黒を思い出します。
白だって、出来ることなら自分のせいで黒を傷つけたくありません。
もちろん外への興味は消えません。
むしろ、出ないでおこうかと考えると余計に出たい気持ちが強まります。
それでも、
「あなたと外なんか、天秤に掛けるまでもないから」
そう、思いました。




