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しじまの指  作者: 加藤
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第五話

 幼い頃から、何を考えているのかわからない子だと言われてきた。

 秋田駅前でレンタカーに乗り、男鹿半島へ向かう道中、空は車内でまたハヌルの曲を聞いていた。

 ハヌルがやりたいと申し出た初の恋愛曲はいったん完成したものの、結局、最新アルバムに収録はされず、単発のデジタルシングルでのリリースも見送られた。それを出したいなら除隊後か、せめて入隊してからだ、とレーベルの代表に指示されたからだった。

 代表は曲自体の評価こそしていたが、歌詞を受け取った女性ファンが離れることを過剰に危惧したようだった。

 空はその曲を一度も聞いていなかった。歌詞も知らない。

 総プロデューサーとしてそれはどうなんだと代表にも言われたが、こればかりはどんなに気をつけても無意識に私情が入ってしまいそうで、自らやりませんと宣言していた。

 空はハンドルを切った。市街地から外れて海のほうへ走るにつれ、建物はまばらになり緑と土が増え、人の姿は減り、風が強まってきた。

 幼い頃から、何を考えているのかわからない子だと言われてきた。

 幼少期からずっと、父親からは「おまえは一体何を考えているんだ」と怒鳴られ、母親からは「何を思っているのかわからなくて怖い」と突き放され、同級生からは距離を取られ、通知表にも「何をどうしたいのかもっと主張するといいでしょう」と書かれてきた。

 ぴゅんぴゅんと往来する友人らの言葉のキャッチボールが空にとっては非常に早く、鋭利なようで、あるときには怖いほどだった。そのように人と会話をすることに苦手意識があり、感情や思いを打ち明けることに抵抗感があった。

 いつからだかわからない。

 周囲の人達がAという話題で盛り上がっているとき、大抵の空はAという物事を知らない。

 Aはいいですよね、こうこうこうだから。でも最近Aはこんなこともありましたよ。そうスイスイと話されているのを聞きながら、空は、Aという事柄についてどう思うか話をもし振られたら、どう答えるべきだろうかと考える。

 知らないと告げるにも理由がいる。例えばAを包括するA+というカテゴリについては疎くてよく知らないんですとか、Aは苦手だけどBなら好きですとか、なにかしらの背景の付け足しをもって柔らかにしないと、会話というものは凍ってしまう。

 いっそAを知っている風に装ったほうが流せるだろうか。しかし詳細を問われたら困ってしまうし。

 目の前で繰り広げられるAの話題に曖昧に相槌を繰り返しながら、空はただAの話が終わるか、この場が解散になるかを期待して、待っている。

 自分がどうしてこんなに常識を知らないのか、空にはわからない。

 皆が当たり前に知っていることを知らない。全国チェーンのファミリーレストランのメニューとか、道路の呼び名とか、有名人の熱愛報道とか、どこどこの名産物とか、隣のチームがやっている仕事の詳細とか。

 それが常識だろうと周知の事実だろうと、興味のないことや関係の薄いことはあらかじめ脳内メモリから削除しておかないと、それを自分の中に置いておく圧迫に気が滅入ってしまって日常生活が送れなくなってしまうので、覚えておけない。

 単純に馬鹿なのかなと思い、ほらそうやって卑下する言葉を自分にかけるのは良くないと戒めて、でも、他の人は皆知っているのに自分ひとりだけわかっていない場面があまりにも多すぎて、自分自身の異質感にときおり泣きそうになる。

 生きるのがへたくそだ。

 その場限りの会話をうまくすり抜ける方法ばっかり上手になる。

 テンポよく会話を回してひと笑い掴みにいくことも、得意ではない。冗談を振られてもほうっておいてくれよと思うし、運良く難なく笑いを起こせても、緊張が解けたときのほっと感しか胸中にない。ノリのよさだけで成り立っている会話は、冷静に見ると非常に多い。

 だが空は、相手が普段どんなことを考えているのかとか、どんなときに嬉しくなって悲しくなったらどうケアしているのかとか、そういった話をゆっくりしたいと思っていた。言葉をじっくり搾って向かい合ったテーブルの上にしっかり置いていくような、そういう会話を楽しみたい。

 しかし、無理矢理笑う必要のない会話などそうそうない。その場限りの会話を笑って過ごす方法ばっかり上手になる。

 帰ったら、頭からシャワーを浴びながら、今日の自分の振る舞いについて反省会をするくせに。

 社交的にならないとだめだと思っていた時期があった。社交的じゃないことを受け入れてそれでいいんだと認められた瞬間から、ずいぶんと楽になった。

 それでも、疲労と反省に蝕まれながら明日も会話をするのだ。社交的で会話が上手でないと異端になるのはどうしてだろうか。

 話すよりも、文字に書いたり絵で表現したり、音楽に乗せたりしたほうが心地良く、濁りなく伝えられるようだと気付いてからは苦しみも減り、自分の対話の方法はこれなんだなあと思っていた。

 だから、

「ヒョンって何考えてるかわかりやすいですよね」

 とハヌルに言われたときほど、ぎょっとして怖じ気づいた瞬間もなかった。

「わかりやすい……?」

「はい。すんごく」

 ハヌルはそのときキムチをボリボリ頬張っていた。

 新曲のビルボードチャートイン記念に、そのとき事務所にいたチームのメンバーで焼き肉に行った夜のことだった。

「正直、言葉にしなくても顔を見ればよくわかりますよ。あ、ヒョン嬉しそうだなーとか、これはヒョンちょっと怒ってるぞーとか」

「……初めて言われた」

「ほんとですか? あなたほどわかりやすい人もそういないと思いますけど」

 それはハヌルだからじゃないの、と横からスタイリストが言ってくる。

 ハヌルはずっとソラと一緒に音楽やってるから、染みついちゃったんだよ。

「そういうものですかね」

 ハヌルは納得いかない表情で箸を伸ばし、こんがり焼けた肉をソラの手元の皿に乗せた。

「今、このお肉取りたいと思ってましたよね?」

 図星だった。

「あ、図星と思った」

 それもまた図星。

 ビーニーの下のハヌルの目がキラキラ輝き、頬に持ち上げられてにゅっと丸くなる。

 そういう関係性だったからこそ、普段から喧嘩をせずにいられたのだと思う。ハヌルは空に洗いざらいなんでも話したし、空の話さないことは全てハヌルに見抜かれたし、意見が割れれば間を取るか、どちらかが譲るかしてうまくやってきた。

 だから、喧嘩したまま、しかも兵役のへの字も話さずに入隊していったハヌルのことは、空はよく理解できないでいた。

 実家は男鹿半島のすぐ横の村にある。今は農業を営む父親と母親しか住んでいないが、かつては空自身もそこに住んで、自転車と電車を乗り継いで通学したりしていた。懐かしい話だ。

 高速道路をひたすら西へ進み、下道におりてしばらくすると、田と畑の中に急に民家がぽつぽつ現れる。そのうちのひとつがかつての家だった。

 実家の駐車場は乗用車二台と軽トラックで埋まっていたので、近くの寺のガラガラの駐車場にレンタカーを停め、歩いて向かった。

 兄はたまに帰ってきているようだが、空は、韓国で音楽がやりたいと言って両親の反対する声も聞かずに家を出てからというもの、一度も帰ってきていなかった。つまり高校生以来の帰省だ。

 庭に敷き詰められた砂利を重く踏みしめながら、玄関へ近付いていった。靴の底が急に厚く、ねっとりした質感になったようだ。

 人の気配を感じたのか、横の小屋で飼っている鶏がけたたましく鳴いて、それに触発されたように犬も鳴いた。大きすぎるゴールデンレトリバーだった。

 扉横の外壁に泥のついたシャベルと熊手が立てかけてあり、濡れた長靴も並べてあった。

 大抵の田舎の家屋がいつもそうであるように、玄関に鍵はかかっていなかった。

 引き戸を二枚開けて家の中に首を突っ込んだ。中は暗くしんと静まり返っていた。

 帰りますとも何とも連絡はしていないから、両親はもしかしたら留守にしているのかもしれなかった。買い物なら秋田市内まで行っているだろう。まあいい、祖父母の墓参りだけでもして戻るかと諦めたとき、廊下の奥から声がした。

「どなた?」

 のっそりと出てきたのは母だった。

 母はすっかり腰が曲がっていて、空気の抜けた浮き輪のようにしおしおと縮み、背が空よりもずいぶん低くなっていた。

 最初、バケットハットを後ろにずらしてマスクも外し、顔をよく見せても息子を認識できなかったようで、しばらくぼんやり突っ立っていたが、空だよと言うとようやく目の前の男が誰なのかわかり、驚き、とにかくといったように中へ招き入れた。

 廊下奥の座敷の部屋には、父親の姿もあった。

 父のほうは、杖の支えがないと容易に歩けないようになっていた。今は低いテーブルを前に脚を放り出し、座椅子に座っていた。仏頂面を空に向けて一瞬目を見開いたものの、すぐに動じていないような表情になってそっぽを向いた。

 二人とも老いたものの、拍子抜けするくらい変わっていなかった。

 現在、農業の仕事をしているのは母だけらしく、あとは年金で暮らしているとのことだ。家出したきり電話の一本もよこさなかった親不孝ものの次男が突然やって来ても追い返したりはせず、息子として迎えてくれた。

「お兄ちゃん、こないだのお盆のときに帰って来たの」

 母が、甲斐甲斐しくお茶を運んできながら話す。

「娘のリコちゃんと一緒にね。それで、おまえは元気だったの? 空」

 にこにこと微笑みかけてくる母は寛容で愛情深いように見えて、空は戸惑う。

 頷くと、母は心底安心したようにほうと息をつき、胸をなで下ろした。

「よかった。心配したんだから。おまえが卒業したあとにね、ほら、佐月さんちの娘さんがおまえの荷物を届けてくれて、そのまま二階の部屋に置いてあるから。部活のものとかいろいろ」

「うん」

「ベッドだってそのままにしてあるから。今日は泊まっていくでしょ?」

「いや、ホテルに泊まるから大丈夫」

「そうなの? せっかく帰って来たのに」

 母がしゅんと小さくなる。

「ご飯は食べて行くでしょ? 今日はね、お寿司を頼もうと思ってたの」

「母さん」

 また立ち上がって台所へ向かおうとした母を引き止め、座らせた。

「何もしなくていいから。座ってて」

「でもねえ」

 母は聞かず、その場でうろうろした。

「ホテルにシャワーはあるの? お風呂は入っていく? ここからだと銭湯はちょっと遠いから、さっと浴びていったら?」

「いや、いいよ」

「空」

 父がようやく口を開いた。

「おまえ、なんだ。いくつになったんだ」

「三十二」

「仕事は何をやってるんだ」

「音楽プロデューサーをやってる」

「どこに住んでるんだ」

「ソウル。韓国の」

「韓国?」

 父はわなわなと口元を震わせた。まるで韓国と発音すると口が痛むとでもいうように、耐えられないような苦い表情をする。

 空は肋骨の奥のほうがチクリとするのを感じ、咄嗟に胸を押さえた。

「突然帰ってきて、なんだっていうんだ? え? 家出の謝罪はないのか」

「ないよ。悪いと思ってない」

「ええ?」

 そうだ。この感じだ。

 思い出してきた。

 この骨の痛みに十八年間耐え忍んできたんだ、俺は。

「おまえ、あれは。結婚はまだなのか」

 チクチクの痛みがヒリヒリとした焼ける感じになってくる。

 奥歯を噛みしめた。

「結婚はしない」

「結婚しない?」

「しない」

「勝手に出ていって朝鮮なんかに行ったうえに、三十過ぎても結婚しないなんて、おまえ、この先どうするんだ」

「どうするって」

「北朝鮮がミサイル撃ってきてること、おまえ知らないのか? 朝鮮なんか二度と行くんじゃない。南の韓国だってな、反日で危ないじゃないか。日本より経済も遅れてる。なんであんなところに行ったんだ? え?」

 空は、家を出た夜のことを鮮明に思い返していた。

 両親と兄が寝静まった深夜、韓国行きの航空券を強く握りしめて、持てるだけの荷物を持って、音を立てないように息を潜めて玄関を開けた。庭に出た途端、まだ小さかったゴールデンレトリバーが吠えて、心臓が飛び上がった。

 月の明るい宵だった。

 寺の駐車場で佐月が待ってくれていて、駅までバイクに乗せてくれた。韓国に着いたら連絡してよと叫ぶ彼女の声を背に熱く感じながら、人生で一番高揚して泣き出しそうになっていた。

 神秘的な夜だった。空気は澄んでいて光り、吐いた息が上気した頬を撫でて上へのぼり、夜空と一体化していく。初めて深呼吸に成功した。

 もうこの家にはいられないと決断するのに、十八という年齢は若すぎただろうか。

 どうしても韓国で音楽がやりたいという話を、何度もした。何度しても父は聞き入れなかった。

 本気を見せろと言うので、高校の勉強と並行しながら半年で韓国語を身につけ、自分から音楽関係者にアポイントを取り、自作のトラックをいくつも聞いてもらった。

 ぜひ一緒に仕事がしたいという返事をもらっても、それを実際の文面とともに報告しても、父は見て見ぬふりをした。そればかりか毎日のように息子を「反日だ」「親不孝者め」と責め、なじった。母は父の言いなりだった。

 空という確固たるアイデンティティが毎秒ごとに削られていく苦痛を、この家族は、そればかりを教えてきた。

 父の絶対王政下に敷かれた家も、父の下僕のような母の猫背も、都合の良いときだけ関与してくる兄も、みんなみんな尊敬できなかった。

 それでも何度も歩み寄ろうとした。きちんと話せばわかり合えるのではないかと期待した。

 しかし、それらの努力は全て無駄だった。

 愛せるものなら愛したかったのだ。だって家族だったから。

「結婚はしない。ていうかできない。男と付き合ってるから」

 唾を飲み込んだ。膝の上で祈るように組んだ指が小刻みに震えて、首裏に汗が滲んできた。

 別に今さら両親にわかってもらおうとか、拒絶されたくないとか思っているわけではないはずなのに、それでもどうしても恐怖があった。

 こんなに心臓の存在を意識したことなど、これまで一度だってなかった。どく、どく、どく、と肌を蹴る鼓動がうるさくて、耳が真っ赤になって、全身の穴という穴から汗が滲んで、目眩がして気が遠くなりそうだった。

 一体どのくらいの沈黙が続いたかわからない。両親の顔が見られなくて、ただ自分の拳を見つめていた。力を入れすぎて白くなっていた。口の中がパサパサだった。

「どういうことだ」

 父が言う。

 空はすぐに返した。

「だから、俺は男が好きなんだって言ってる。韓国人の男性と付き合ってる」

「韓国人?」

 父はまずそこに突っかかった。

「韓国人? また馬鹿馬鹿しい」

「韓国人だよ。韓国人の男だよ。どこが馬鹿馬鹿しいんだ?」

「馬鹿馬鹿しくてかなわない。どこの馬の骨か知れない奴と……男だって?」

「男だ」

「どういうことだ? え? オカマなのかおまえは? ホモなのか?」

「父さん、それは差別用語だ。使うべきじゃない」

「なんだって?」

「ゲイかもしれないし、そうじゃないかもしれない。わからない。ただ、今は男性のことが好きだ」

「どういう意味だ。気味が悪い」

 どうしてわからないんだ?

 どうしてわかろうともしないんだ?

 興奮なのか恐怖なのか憤怒なのか、手が震えて仕方なかった。

「空」

 母だった。

 眉を下げ、神妙な顔つきで、そうっと話しかけてくる。

「男の人と付き合ってるっていう意味?」

「そうだよ」

「けど男の人とじゃ、結婚できないでしょ?」

 は、と、息だけが出た。

「結婚もできないのに好きになって、付き合うなんて、なんのために? 好きになっても意味がないんじゃないの?」

「意味がない?」

 意味がない?

 そのとき、縁側の向こうがぴしゃりと光り、雷鳴が轟いた。

 ――僕はヒョンと結婚したいとは思ってません! だってできないんですから! 当たり前じゃないですか? 同性婚もできない社会で、カミングアウトもさせてもらえない会社で、世界中に彼女がいると思われながら、それでもこうやってヒョンと内々でお付き合いしてるのに、馬鹿みたいにあなたにプロポーズすると思ったんですか? 最初からそれをゴールにして付き合うべきだったって?

 ハヌルの最後の言葉がよみがえってきて、空は息を止めた。

 立ち上がり、両親が何かを言ってくる全てに背を向けて、体当たりするように玄関を開け、勢いよく外へ出て行った。

 ゴールデンレトリバーと鶏の鳴き声がした。砂利で躓き、よろけそうになりながら、バケットハットとマスクを直してしっかり顔を覆った。

 レンタカーを停めておいた寺へ急ぐ。駆け足で駐車場へ行くと、コンクリートの地面を箒で掃いていた住職にペコリと頭を下げられた。車のてっぺんには葉が何枚も落ちてきていた。震える手で扉を開けて、飛び込むように車に乗り込んだ。すぐにエンジンをかけて出発した。

 カミングアウトは祈りだ。

 空は思った。膝の上でまだ指が絡み合っている。

 こんな祈りを捧げないと自分を証明できないなんて、この世界は試練が過ぎる。

 時速六十キロメートルで過ぎ去る故郷を横目で見ながら、エンジンを踏み直し、もしかしたらもう二度と見ることはない実家からぐんぐん離れていった。

 このまちのことは愛しているが、家族とはわかりあえない、もう。もう話せない。もう戦えない。もう戻りたくないと思うことをどうか許してほしい。

 しょせん他人なのだった。しょせん俺じゃない。俺を産んだ人であろうと俺を育てた人であろうと、他人なのだ。俺と同じように感じてくれ、なんて最初から無理な話だったのだ。

 でも、わからない。上っ面の体裁だけでもいいから、俺を俺として見る努力を少しでも見せてほしかった。

 そう願うことさえ間違っていたとしたのなら、家出を決心した十八の俺も間違っていたのだろうか。その後の人生がどんなに満ち足りたものだったとしても?

「――……っ」

 佐月の笑顔を思い出す。空にはまだ涙があった。

 窓をおろし、外気を車内に取り込んだ。髪がハタハタと頬に当たる。マスクを下にずらして口を解放して、深く息を吸い込んだ。風に押された涙が宙に舞い上がっては飛んでいった。

 ハヌルに会いたくなり、運転しながら端末を操作して音楽をかけた。どこまでいったらいいかわからないのは当然だった。

 母の言葉と雷鳴が少し前の自分たちに重なって、今すぐ謝りたくて、ハヌラ、と声に出した。

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