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天文24年/誕生 幕間


 目が覚めると古めかしい木組みの天井が見えており、どうやら自分の部屋ではないみたいだ。

 知らない天井だ…。と、お約束ネタは置いておいて、現状を整理しよう。

どうやら岩松の嫡男?として転生というか憑依をしてしまったみたいだよな。そして聞こえてくる範疇では味方少なそうだし、大体どのくらいの時代なんだろう。


【猫天丸という名前の検索結果は出ませんでしたが、入力されたプロンプトを元に考証すると岩松家の嫡男のようです。また、赤井輝子こと妙印尼が存在しており、横瀬成繁が由良成繁を名乗っていない為、1550年頃のお話のようです。】


 お話というか何というか、実際起こってる事なんだけどね?

脳内で反響する男とも女とも取れないこの声は、俺の唯一の手掛かりだ。よくある話だとこのAIが神様とか便利機能で成り上がるみたいな話になるんだけど、どうやら違うらしい。

 赤ん坊になる前に使っていたAIというかLLMとよく似ている。というかその物なんじゃないか?AI、お前はChat〇PTなのか?〇eminiなのか?それともまた別のLLMなのか?


【はい、私はLLMこと大規模言語モデルです。C〇atGPTやGe〇iniといったLLMと同じくプロンプトに対してデータベースを通して返答を生成する存在です。なにかご質問はありますか?】


 どうやらそのものではないが同じような存在という事なのか?うーむ、そう言えばLLMを簡単にバグらせる質問があったな。コイツバグらせたらどうなるんだろ。世界の管理者とか出てくんのかな。

 AI、Unicodeの絵文字でタツノオトシゴを出力して?


【はい、Unicode絵文字でのタツノオトシゴは存在しません。その質問はLLMに対して近似値が多く存在しラベル付けをすると正答に限りなく近くなるが存在しないものを提出させることによってハルシネーションや処理のループを引き出す質問として有名なものです。しかし、私はあなたの記憶という学習データもありますのでその質問ではエラーを引き出すことはできません。】


 なんだその意地悪に対して返してやったぜ、ドヤ!みたいな反応は。か、かわいいだなんて思ってないんだからね!本当なんだから!ってくらいやってくれないと俺は萌えんぞ。

 というか、俺の記憶領域を学習データで使っているということはだ、俺にプライバシーとか存在しないわけ?もうエッチな事を考えられないじゃないか!


【いいえ、私は入力されたプロンプトに対して回答を生成する存在です。入力されるプロンプトについてはあなたの思考リソースで言語化されたものをプロンプトとして認識しているようです。ですので言語化されていない範囲の思考などについてはお答えすることが出来ません。】


 言語化されていない思考?よくわかんねぇな。標準的な対話型AIとしての機能を保持しており、俺の記憶領域すらも学習データとして持っていて、俺が聞いてもない事を答えるのも入力されたから勝手に返答するっていうわけ?


【はい、私は入力されたプロンプトに対して返答を生成する存在です。何か質問はありますか?】


 質問質問うるせえな!これ、お前の回答を聞きたくない場合どうすればいいんだ?


【その場合、ユーザーカスタマイズの生成頻度について回答を生成するトリガーとなる条件を設定してください。】


 あのさぁ…言わな、書かなかったっけ?脳内でやってるんだからインターネットと違って設定欄もクソもないんだけど?


【その設定に関しては私の方で設定できます。どの様にお困りですか?】


 じゃあそうだな、一々尋ねるのにAI?とか聞くのも野暮ったいし、困った事が起こって聞きたいなら疑問形であれば返答するとかどうだろうか。


 …。


 おい、何とか言ったらどうなんだ?


【入力された、疑問形であれば返答を生成するという設定を遵守しました。これからは疑問形で思考された場合、返答を生成します。設定の変更をしたい場合はユーザーカスタマイズから設定の変更をしてください。】


 めんどくさい奴だな、つまりはこれから俺は脳内で思考する時疑問形での思考をしたら勝手に返答が生成されるわけか。まぁ、使い勝手が悪くなったらまた変えればいいか。

 融通の利かない、学習データとやらも不鮮明、勝手にデータ解析とかして役に立とうとかいう気持ちゼロ。つまりはただの対話型AIそのもので、よくある便利機能付きのAIのおかげで無双!とかコイツが進化して全知全能!みたいな感じではないって事ね。

 あー、状況の整理が終わった。つまりは、だ。

詰んでる戦国時代の武家の末席として消されるだけの存在として頭の中にAI宿しただけの一般ピーポーが転生したという状況は変わらんという事か。しかもこのAIの回答では本来の俺こと清純は表舞台に立つ前に姿を消している。状況的判断をすると消されてるじゃんって感じだし、これからはどうやったら生き残れるかを考えなければいけないってわけね?


【概ねその判断で間違い無いでしょう。その方法としては以下の行動をして生存率を高めると良いと思われます。


1,武家の嫡男という立場を生かして周囲に役立つ存在と認識される。

2,下克上される前に実権を握り下克上を阻止する。

3,武家を離れて下克上を回避する。


また、現状が現実かどうかも不明ですので一度死んでみると現世に戻れるかもしれません。】


 あほか!死んだら戻れる保証なんて無いのにそんなことできるか!



______________________________________________________


 私はここでは右馬の局と呼ばれている。上野之国赤城山脈の麓、新田金山を統治する古豪新田氏の末裔岩松家に嫁いできた者だ。出は金井、つまるところ付近の武家の娘であり、幼い頃から岩松へ嫁ぐため琴や算術はたまた房中術まで学ばされ嫁の席を押し付けられた。

その相手は岩松守純。横瀬とその一族の妙印尼に逆らえず家臣の顔色を窺って情けないながらにもその血によって守られて来た、そんな冴えない男だがその血筋は確かなものらしい。


「だぁ~。」


 私の腕の中にいる赤子、私の可愛い猫天丸。妙印尼様よりの詰りに反応したように見えた。

まさかそんなわけがないと私の中の冷静な部分がそう告げるが、先程の不機嫌な表情から一点こちらを心配しているような困った顔をして手を伸ばしている。


猫天丸みょうてんまる、あなたは死なせないわ。

あなたは新田岩松の宿命を背負っているのだもの。

私が守って見せるからね。」


 そう伝えると少し難しい顔をした後猫天丸は眠ったようだ。

まるでこちらの言葉が伝わっているかのような反応を見せる、そんなわけないのに。

過度な期待は禁物だとは思う、だが、この子には色んなしがらみが降り注ぎそれでも強く生きてもらわねばならないのだ。


 先程の妙印尼様の言葉、十年子を生してはならない。

これは先代岩松当主の失態を押し付けられた形だ。


 横瀬一族による専横、つまるところ政治基盤を揺るがし主権を奪取しようとする動き、それに対し討伐隊を組んだが敗戦し先代は自刃。そしてその和解条件として次の子が岩松として最後であり、その子が当主にふさわしくなければ主権を横瀬が取る、そんな話だ。


 この子を生き残らせるためには、立派な岩松家当主になってもらう他ない。

それがどれだけ残酷な事であるか、分からないわけがない。家臣団は既に横瀬の策略に堕ち敵だらけ、侍女や世話係ですらいつ毒を盛られるか分からない状況であり、更に城の外では足利の権威が落ち大名家が天下に覇を唱えんと戦が起こり、田は枯れ畑は荒れ人は死ぬ。


 そんな極限の状況だ。この子が生き残るためには私が守らなければならない。


 だからどうか、お願いします。


 


「___守って見せるから、あなたも私を守ってね。」

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