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第38話 お守りを手渡す

 書見のほどよろしくお願いします。

 九月九日。今日は晴れ。

 弾矢の友達が居るため、今朝は十人での朝食になる。


 着ぐるみ姿のまま台所に立つニルトは、材料が足りないために仕方なく食材をアイテム空間から取り出し、吹き抜けの台に24枚のパンを並べ、バターとケチャップを塗り、トマトにチーズとサラミを乗せる。


 片手間でお湯を沸かし、十人分のコップを用意する。コーヒー粉と砂糖を入れ、お湯を少し注ぎ、冷たい牛乳と混ぜ合わせ、コーヒー牛乳を作る。


 サラダも用意する。魔力でコーティングした包丁を使い、玉ねぎとキャベツを切り分ける。レタスと合わせ、手早く皿に盛り付ける。


 温めておいたオーブンにピザトースト用のパンを乗せる。魔力を注ぎ、熱通しを良くする。

 十秒でトーストになる。手早くお皿に乗せ、テーブルに持っていく。


 全ての素材にリバーブで酸化を除去している。リーズン処理で臭みや灰汁を旨味に変えている。だから料理に抜かりはない。そう心内で花を咲かせるニルトが、軽やかに配膳を進めていく。


「先に食べていいからね。言ってくれたらお代わりは用意するよ」


「お前に家事を頼んでばかりですまない。昼は私が用意しよう」


「うんん。ボクが好きでやっていることだからね。できることはやらせてよ」


「ありがとう。さっそくいただくことにする」


 剣が手を合わせ、食事のあいさつを言う。

 すると全員が手を合わせ、それぞれに飲食を開始する。


 なんか皆の元気がないね。今日はどうしたんだろう。

 そう首を傾けるニルトが台所に立ち、ピザトーストを口にする。


 チーズの濃厚な風味とサラミの焦げた油の香が混ざり合い、トマトとケチャップの味がマッチして、とても完成度の高いピザトーストができている。


「おいしい」


 つぶやきに大満足のニルトが、環太郎の様子を気にして、「お代わりはあるからね」と、再び口にする。案の定、「すまんが頼むぜぇら」と、すぐに声が返ってくる。

 一枚を焼いて持っていく。環太郎の隣からピザトーストを皿に置き、その場で質問を口にする。


「元気がないね。なにか嫌なことでもあったの?」


「あー、それなんぜぇらが……」


 環太郎の視線の先に瞳を向けるニルトが、「お兄ちゃんに何かあったの?」と、つぶやく。

 するとその一言を聞いた弾矢が眉を寄せ、肩を震わせる。

 着ぐるみ姿のニルトを目にし、苦笑いを浮かべる。

 少し膨れ顔の小咲美が小さく唇を動かす。


「弾矢くんが悪いんだよ。気付かない振りをして寝ているのがいけないんだよ……」


「いや、すまん……」


 その一言が発端で場の空気が重くなる。

 女子たちから異様な雰囲気が漂ってくる。


「砂子が抜け駆けするからいけないのよ」


「そういう手麻里さんこそ、私の真似をしていましたよね?」


「あれは仕方がないのよ。だって覚えていないもの。どうして私が弾矢くんと抱き合わなきゃいけないのよ」


「だったら砂も覚えていません。トイレの帰りに間違えたような気がするのです。ですが、それが本当のことだったのかさえあやふやなんです」


「どっちでもいいんだよ。二人ともそういう態度がいけないと思うんだ」


「そういう小咲美さんだって悪いんですよ? 砂は見たんです。先に抜け駆けしたのは小咲美さんです」


「ち、違うよ。何もしていないんだよ」


「あ、小咲美! あんた何か隠しているわね! 白状しなさいよ!」


 どうやらお兄ちゃんを取り合って変なことになっているらしいね。なんとなくそうした状況を察したニルトが、エッチなことを妄想し、口を硬くする。


「とまあそんな感じなんぜぇら。ワイらも寝ていたから今朝のことは全く分からんぜぇろ」


「起きたら手麻里さんと砂子さんが弾矢さんの隣で言い争っていたんです。それを最初に発見した小咲美さんが怒って叫んだのが原因です。一時は何が起こったのか分からなかったんですが、まあ、いつものことですよ」


「うむ。青春じゃのう」


「それでどうしてお兄ちゃんたちも元気がなくなるのかな?」


 ブタの着ぐるみフードを被ったままのニルトに、コップを持つ剣が答えを口にする。


「分からんのか? 全員が弾矢を心配している。そういうことではないのだろうか?」


 その一言で女子三人の眉がかすかに動く。否定がしたいようでできない空気。そんな状況に朱火がため息を吐く。赤い瞳を下から見上げ、口を開く。


「で、お兄は誰が好きなのですか?」


 かっこいい兄で居て欲しいと願い、悩ましい状況は好ましくないと考える朱火。心内で小咲美ちゃんと言って欲しいと思い、横目で弾矢に合図を送る。


「俺は……」


 小咲美は幼馴染で親しみがある。筒美さんは女性として魅力的だ。手麻里は気安く話しが合うし、そんな誰もが友人だと思っている。恋とか愛とか好きだとか分からない。

 そうした考えにどう答えていいのか悩み、弾矢は下を向く。

 とにかくデリケートな話題なだけに、続く言葉が見つからない。


「うむ。私からは何もないな。だが知り合いの話を聞くに、行為の対策だけはしっかりするように。授業でも聞いていると思うが、我々は命がけだ。そういうことがしたくなるのも自然なこと」


「姉さん! さすがにそれはないぞ!」


「うん、うん。ん?」


「ちょっと、それどういう意味よ!」


「そうですね。砂も気になります」


「ない! オレはそんなに弱くない!」


 そうだね。勢いですることじゃないよね。


「弾矢さん。一応は校則で容認されていますよ」


「ええ? そうなの?」


 不純異性交遊って禁止じゃないの?


「ニルトさんは一年生だから知らないかもしれませんが、二年生になると聞くことになります。男女関係は事実上認められています」


「そうぜぇら。ワイらのクラスにもおるぜぇよ。付き合っとる奴らの話をよく聞くぜぇら」


「さすがに校内で行っていたら我々が注意をすることになります。毎週必ずそういう輩が現れるので、生徒会としても人間関係の把握に気を付けています」


「うむ。恋愛は心の安らぎとして認められているからな。私の知り合いが複数人と付き合っていたのは有名な話だ」


「違う! オレはそういうことが言いたいんじゃないんだ!」


 弾矢が怒ったように声を大きくする。続けて言葉を口にする。


「とにかく、この話は終わりだ! 責任が取れるようになるまでオレは誰とも大人の関係になるつもりはない!」


「ん、さすがはお兄です」


「確かにその方がいいのは理解できる。慎重に慎重を重ねた方がいいに決まっている」


 弾矢は遠本家の跡取りだ。優秀な血統を残さなければいけないという使命がある。そういう話から婚約は慎重にしなければならない。そう言いたい剣とは別に、ニルトは眉を寄せ、考えるように口を開く。


「だったら全員と結婚しちゃえばいいんじゃないの?」


「……「え?」」


「妹よ。言っている意味が分かっているのか?」


「うん」


 よくわかんないことが多いけど、できない訳じゃないってネットに書いてあったよね?

 婚姻の取り決めに特例がある。強いワーレフになると妻を何人も持っていいとされている。そういう法律を利用することで、問題を解決することができる。そう考えたニルトが、続けて意見を口にする。


「選択肢としてはありだよね? だって未来のことだし、どうなるか分からないんだよ。お兄ちゃんがその気なら、全員と付き合ってもいいんじゃないの?」


「確かにできなくはないわね」


「ですね。砂としても考えが足りなかったようです」


「あたしは反対だよ。弾矢くんの言う通りまだ早いと思うんだ。将来のことは冷静に考えないといけないんだよ」


「えっと、そうね。砂子がいけないのよ」


「手麻里さん。私のせいにしないでください。昨日のことは忘れていないんですよ?」


「あら、何のことかしら? 私、覚えていないのだけど?」


「嘘ですね。口元が笑っています」


「あら、そう? こんな感じかしら? うふふふ……」


「――とにかく、もう終わりだよ。この話は終わりなんだからね」


 お兄ちゃんがうらやましい。

 だってボクは女の子にもてたことがないんだもん。

 好きな人に嫌われたことだったらいっぱいあるけどね。

 でもでも、もしかしたらってこともあるし、今後のために勉強しないといけないよね?

 ニルトが下を向き、着ぐるみの生地を揺らして身をもじもじとさせる。

 そこに環太郎が、「すまんがお代わりを頼むぜぇら」と、助け舟を出す。「すぐに用意するね」と、誘いに乗り、急ぎ台所に向かう。


 それからしばらく経ち、場の空気が落ち着いてくる。

 テレビを付け、全員がニュースを見聞きする気配になる。銀行強盗の話題が続き、ソファーに座る剣が笑みを浮かべている。

 その傍らで食器を片付けるニルト。物質転移保管装置からアイテムを取り出したことを思い出し、そのことについての話題を口にする。


「ねえ、ねえ。MTSDのことは覚えているよね?」


「…………」


 だが全員テレビに釘付け。ニルトの声に反応が無い。


「あのね! 中の物を全部取り出すことができたんだ! あとで確認して欲しいんだけど!」


 踏み台を使って洗い物をするニルトが振り返る。着ぐるみを濡らした様子もなく踏み台から降りて、吹き抜けたキッチン台の前に立つ。


「ねえ、ねえ。聞いている? 修理が終わったんだよ? これからアイテム袋が使えるんだよ?」


 剣がソファーに座ったままテレビに目を向けている。

 他の八人も同じ様にテレビに夢中だ。誰も答えることなく音だけが流れてくる。

 内容は警視庁の記者会見。ニルトと時音のことが語られ、救援に貢献したことを称えている。あとで感謝状を贈りたいと大げさに公言している。

 バラエティ風の番組で笑いが絶えない。芸人風のコメンテーターが会話を盛り上げている。


「すごいことになっているわね」


「ニルトさんが可愛いですね」


「これはいいな。母さんと父さんにも見てもらうことにしよう」


 事態が大きく進展している。迷惑な妨害者から英雄に扱われている。関係がありそうだと、千城学園の敷地が映し出されている。

 ユニチューブの映像も利用されている。ニルトの可愛い姿が笑いを誘い、調査対象にリポーターが新銀座で聞き込みを行っている。


「もう! 聞いてよ! アイテム袋が使えるようになったんだよ!」


 ニルトがポフポフと足音を鳴らし、弾矢に近づいていく。誰も振り向いてくれないことに不満とほほを膨らませ、背中をポスポスと叩いて気を引く行為をする。それでも、「ああ、ちょっと待ってくれ」と、テレビに目が行く弾矢。怒ったニルトが、「むう……」と、顔を曇らせる。


「ねえねえ、ねえねえ」


 朱火もダメ。小咲美もダメ。仕方がなく厳永の隣に行くと、バンダナから覗く鋭い瞳をじろりと向けている。


「うん……」


 なぜか心が通じ合う二人。小さいニルトと背の高い厳永がうなずき合う。


「それはすごいのう」


「うん」


「よし。わしが観に行ってやろう」


「ほんと?」


「おう」


「えへへ」


 嬉しそうに笑うニルト。厳永が全員に伝え、備品倉庫に向かうことになる。


「ぬう……」


 厳永の瞳の先にアイテムが置かれている。その種類は百点を超える。魔石から飽和する魔素が空気と混ざり合い、光り輝く気配を漂わせている。


「すごいのう……」


 見たことが無いアイテムが沢山並んでいる。知っている物も多く、貴重な物が置かれている。


「見に来てくれたお礼だよ。これを上げるね」


「わしにくれるのか?」


「持っていた素材で作ってみたんだ。あまり価値がある物じゃないけど、使ってくれると嬉しいな」


「感謝する。大切に使わせてもらおう」


「うん」


 呪いが掛かった骨を浄化して作ったんだけど。異質合成、異質成形、特性付与エンチャントのアビリティーを使い、デメリットだけを除去して形を変えたんだ。ボクの趣味だから価値は無いよ。

 そうしたニルトの心内を察した厳永が、牙の形をしたネックレスを手にして首に通す。



 名称 リッチボーンネックレス

 品質 95

 レア度 S

 効果 攻撃力上昇大 抵抗力上昇中 力感向上小 速感向上小

    身代わりの祝福

 説明 魔術士が悪霊化して意思を持つ魔物リッチになる。その呪われた骨を浄化して形を変えたネックレスには、怨念の意思が無く、強い力だけが残されている。

 製作者の真心がこもっている。超越転生者オーバーミングルンに祝福され、性能が向上している。その希少性から白金貨一枚の価値がある。


「ん……」


 同じ物をアイテム空間から取り出し、目にするニルト。無言で考えを巡らせ、眉を落とし、難しい顔になる。

 変なことが書いてあるけど気にする必要はないよね。

 白金貨はプラチナだし、仮に一枚が10グラムだったとしても、十万円くらいにしかならないよね? 贈り物には丁度いいはずだよ。


「……そうだよ。これでいいんだよ……」


 厳永にも聞こえないようにつぶやき、フードで隠れた顔を上下に揺らす。

 そこに環太郎と流兎がやってくる。


「おお! 沢山あるぜぇな! 一体どうしたんぜぇろ?」


「素晴らしいですね」


 ニルトに近づき、近くにあるアイテムに意識を向ける。


「これは、夢想石ですか? いや、始めて見ましたよ。それに雷撃石に火柱石、風刃石に氷牙石もありますね」


「こっちは盾があるぜぇら。どれもごついぜぇよ……」


 流兎は攻撃用の魔石に興味があり、環太郎は盾の装備を気にしている。

 それもそのはずだ。中距離レンジでチームの補佐役を務めている流兎に、盾役で守りを任されている環太郎。どちらも戦術に影響する物に興味があるため、床に置かれたアイテムに目の色を変えている。屈んで瞳を大きくしている。

 その意図を知らないニルトが、青緑の瞳を瞬き、聞き込みをする。


「流兎さんと環太郎さんは何が欲しいの?」


「あ、いえ。そういう意味で言ったのではないのですが……」


「ワイもそうぜぇら。さすがにそこまで厚かましくないぜぇよ」


 そう言う二人だが、探索での戦い方を口にして、床に置かれたアイテムに興味を持つ語りをする。兄の普段の様子を耳にしたニルトが、全員の安全を考え、作った物を渡すことを思案する。アイテム空間から魔石を取り出し、流兎に手渡す振りをする。


「だったらこの火力石を使ってくれないかな? 流兎お兄さんが使っている魔石よりも強ければいいんだけど」


「いいのですか? これほどの物になるとそれなりに価値があると思いますよ?」


「お兄ちゃんの戦いを手伝って欲しいからね。使えそうなら使ってもらいたいよね」


「ありがとうございます。俺の武器に取り付けることにします」



 名称 火力石

 品質 999+

 レア度 A+

 効果 火属性大 雷属性小 土属性中 風属性大 光属性小

    威力極大

 説明 火の力を宿す魔石。下級に属し、魔力を与えた分だけ炎を生み出すことができる。製作者ニルトによって造られた人工の魔石。品質が高く、様々な属性が付与されている。威力が高く、上位魔石の性能を優に超える。



「うん……」


 渡す前に鑑定した文字から目をそらしたニルト。続けて環太郎に向け、装飾を取り出す仕草をする。


「環太郎お兄ちゃんにはこれをあげるね」


 なにも言わずに受け取る環太郎。リングに腕を通し、苦笑いを浮かべる。調子がいいので感謝を口にする。


「ありがとうぜぇな。大切にするぜぇら」


「普段から身に付けてよね。お守りみたいに絶対に忘れないでね」


「おう。そうするぜぇら」



 名称 クロッサスアースジェネラルアントの腕輪

 品質 105

 レア度 S

 効果 火属性中 雷属性中 水属性中 氷属性小

    土属性大 風属性中 光属性小 闇属性小

    抵抗力上昇大 身代わりの祝福

 説明 大陸崩しの異名を持つ魔物の外殻で作られたレジェンドクラスの腕輪になる。超越転生者オーバーミングルンの加護が付く希少性の高い一品になる。魔力を通すと青く輝き、美しく彩られる。その簡素で豪華な外装は貴金属としての価値がある。最低でもミスリル大硬貨の値段が付くことになる。



「うん」


 今更だけど、びっくりだね。思っていたよりもぶっ壊れ性能だったけど、気にしても仕方がないよね。

 何度もうなずき、誤魔化すように笑みを浮かべる。


「お? これはお婆様の愛刀ではないか!」


「こんなところにあったんだな……」


「へえー。弓がいろいろあるじゃない!」


「盾もあります。見たことがない剣もありますね」


「すごいよ。こんなに沢山の回復アイテム、いったいどうしたんだよ」


 無言の朱火と五人が集い、会話に花を咲かせている。すぐに来てくれなかったことに不満のニルトが、少し怒ったようにほほを膨らませる。


「よくやった、妹よ! これで荷物の持ち運びが楽になる!」


「母さんと父さんも喜んでくれるだろう。あとでオレからティックラインしておくよ」


「あ! あんたたち! それどうしたのよ!」


「いいぜぇろ? こいつはニル坊にもらったぜぇら」


「俺は火力石です」


「わしは首飾りをもらったわい」


「よかったじゃないの。でもニルトくん、本当にいいの?」


「うん。手麻里さんと砂子さんと小咲美ちゃんの分もあるよ」



 名称 クロッサスアースコマンダーアントバングル

 品質 87

 レア度 A+

 効果 抵抗力上昇中 疲労回復微 体力回復小

    解毒 ウォッシュ効果小 身代わりの祝福

 説明 大陸崩しの異名を持つ魔物の外殻で作られたレジェンドクラスの装飾になる。回復石と解毒石を触媒とし、治癒効果を高める魔力が込められている。製作者の加護によって危険から身を守る効能を得る。生産の練度が上がり、体を清める副次効果も得る。その情熱が希少性を生み、とても価値の高い一品になる。



「ありがとう。綺麗ねー」


「毎日付けてくれると嬉しいな」


「私もいただいてもいいのですか?」


「うん。お守りだからね。武運長久だよ」


「ありがとうございます」


「小咲美お姉ちゃんも付けてよね」


「うん、うん。大切にするね」


 これでいいね。仮に命が尽きる不幸に遭っても、一度は大丈夫なんだからね。

 あとはお兄ちゃんたちだね。

 今のうちに渡しておこう。

 着ぐるみ姿のニルトが剣に近づき、左手から取り出したアイテムを手渡す。


「お姉ちゃんはこれね。お兄ちゃんもこれ。朱火ちゃんも同じ物を付けてよね」



 名称 クロッサスアースマザーアントブレスレット

 品質 129

 レア度 S+

 効果 抵抗力上昇大 体力回復小 状態異常治癒

    疲労回復微 ウォッシュ効果小 身代わりの祝福++

 説明 大陸崩しの異名を持つ魔物の外殻で作られたレジェンドクラスの装飾になる。家族を想う気持ちが込められたわがままな仕様。その希少性は計り知れず。値段を付けることができない。



 たまたまできたんだけど、三回までは死なないよ。


「なんだか気分がいいですね」


「ああ。こいつはいいな」


 朱火と弾矢が腕に着けた様子を目にし、ニルトは嬉しくほほを緩ませる。


「すまんが妹よ。これはどういう物なのだ? ただのアクセサリーにしてはかなり力があるように見えるのだが、私の打刀エンドランスセイバーは、属性力を退ける力がある。相性が悪いと威力を弱めることにもなる。できれば特性を知りたいのだが?」


「そうなの?」


 一瞬どうしようかと悩む素振りをするニルトだが、後ろめたいことが無いので素直に応えを口にする。着ぐるみの手をフリフリとさせ、愛らしい声で大げさにならないように告げていく。


「魔力がある攻撃に耐性があるお守りだよ。お姉ちゃんの武器に影響はないはずだよ」


「ほう……」


「できればずっと身に着けていてよね」


「うむ」


「絶対だよ? ボクのお願いだからね」


 言い終えたことに満足するニルト。なんとなく受け取ってもらえそうな言い回しができたことに満足し、満面の笑みを咲かせる。


「ありがとう。さっそく身に着けよう」


 そう口にした剣が腕にブレスレットを装着する。体が軽くなる感覚が心地よく、青い瞳を柔らかく緩ませる。

 当然見聞きしていた全員が納得する。うなずくように分かったような仕草をする。


 これで命が守られるね。

 ボクって偉いんだ。

 笑顔になるニルト。全員に向けてもう一度念を押す。


「必ず使ってよね。探索の時も身に着けてよね。ボクのお願いだよ」


「あの、ニルトさん。俺もお守りをいただきたいのですが……」


「あ、そうだね。これを渡しておくね」


 そう言って、流兎にもブレスレットを手渡す。女性陣に渡した物とデザインが一緒になる。性能は悪いが、ウォッシュ効果と身代わりの祝福が施されている。


「えへへ」


 そうして解散になる。午後までニルトは勉強に専念する。

 改訂履歴



 ほのぼのです。ほのぼのをメインにする予定です。

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