もしも留香のメル友になっていたら…
クラスメイトの留香のメル友になる僕。クラスの女子独自のネットワークのカモにされる。現実でない事を祈るばかり。
突然、僕を呼ぶ女子の声が耳に入ってきた。
「ねぇ後藤田ってばぁ〜」
1人の女子がニコニコ笑顔で言い寄って来た。
僕は、うん?と首を傾げた。普段はこんな事なんて無かったのに、急にどうした?
僕は、疑問に思っていた。
その女子とは留香だった。
「ねぇ〜ってばぁ!後藤田、アドレス交換しようよ〜ってばぁ」
僕は耳を疑った。女子から賢人と一緒に嫌われていたのに、何故ゆえに留香が携帯電話を握りしめてニコニコ笑顔で目の前にいるのだ。
そして僕は、まさか近いうちに地球が滅びる前触れ?
それともこれから天変地異が起きる予兆とか―――――。
それとも寝ている夢の中だったりして…
などと自分の顔つねったりして想像していた。
でも目の前にはあの留香が現実に目の前にいる。
僕は――――――――――――――――――――。
「わかった」
と、留香とアドレス交換をした。
「わ~~いわ~~い!後藤田とアドレス交換したぞ!イヒヒヒー」
と騒いで立ち去って行った。
でも僕は疑問に思った。いつもは美織と留香がセットのはず。ハンバーガーを買うと付いてくるハッピーセットのように居る美織が居ない。何かあるのでは―――――。
家に帰って来た。
早速、2階の部屋へ行った。携帯電話を充電器に繋いだ。そしてリモコンでテレビのスイッチを入れてテレビ番組を見始めた。携帯電話のバイブレーションがブ~ン ブ~ン と鳴り始めた。
開いて見ると留香からのメールだった。
"今日アドレス交換してくれてありがとう"
という内容のメールが受信していた。僕は、
"こちらこそ交換してくれてありがとう。初めてクラスの女子とメール交換したよ"
と返信メールを送信した。
実は、僕が返信したメールは留香が美織の携帯電話に転送していた。女子独自のネットワークが裏にあるなんて僕は知る由もない。何せ初めてクラスの女子しかもあの留香とメールでやり取りしているんだから僕は有頂天になっていた。
そして、美織は数名の女子の携帯電話へと転送するのである。
また留香からメールが届いていた。
"三葉のことを、どう思っているの?"
何にも考えずに僕は、
"う~んと、怒ると怖い"
と、留香へ返信した。そして、留香がこのメールを美織へと転送して美織が三葉の携帯電話へ転送していた。
僕は、女子独自ネットワークの事は知らない。知っているのであれば、留香となんかアドレス交換していないだろう。
三葉は、クラスの女ボスのような存在。女子独自ネットワークの中心人物で、こちらもなかなかの美人。留香と同じ中学出身。敵にまわしたら―――――。
次の日。
三葉が何やら不機嫌そうな顔をして僕のところへやって来た。
「後藤田!るっかのメールにアタシの事を怒ると怖いって送ったらしいしゃー。あん?」
と、朝から早々に詰め寄られた。そして、僕の右頬をつねって
「ごめんなさいは?」
僕は、
「みちゅははん、ごめんなはい」
三葉は、右頬から手を離した。そして、フンと言って去って行った。
僕の右頬はめちゃめちゃ痛かった。まだ、ジンジンする。右手で右頬を押さえた。
そして、美織と留香が笑いながら僕のところへ来た。美織が
「後藤田!虫歯が痛なが?」
留香も笑いながら手を叩き
「うける~」
と、言って去って行った。どう理由なのかまだわからないので辺りを見回した。
なんで三葉が留香とのメール内容がわかるのか大体わかってきたのである。
三葉たち女子が僕をチラチラ見ながらクスクス笑っている。
もしかして、あの数名も美織と留香とグルなんだと確信した。
昼休みになった。
奥田と弁当を食べている。僕は
「なぁ奥田、なんで留香とのメール内容が三葉に漏れたんだ?」
奥田が腕を組み、
「あのような後藤田!留香に返信したメールは、留香から美織に転送されてな。それで、そこから、あやみ、鮎香、タブル美紀子と三葉に転送されている仕組みだろう」
「奥田の解説は言葉でなく心で理解できた」
奥田はまた腕を組みうんうんうんと、頷いた。
「僕は留香とのメールをやめるぞ!奥田ーッ!!」
と、叫んだ。
僕は起きた。見渡すと自分の部屋のベッドの上だった。
さっきまで夢を見ていたようだ。朝日が眩しい。
そういえばと思い出したように携帯電話のアドレス帳を開いた。
留香のアドレスは僕の携帯には無かった。
終わり
筆者は高校時代に留香からメル友になってよ。と言われたが、なんか裏があると直感で感じたので断わりました。元々僕はクラスの女子からは嫌われていました。
もしも断わらなかったらの世界線を書いてみました。