表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夢語り肆

作者: 立花そな

夢でみたものを脚色してた話です


ここは絵本の中である。


心優しい女の子が王子様に出会って、恋に落ちる。ありふれた物語のはずだった。


私は主人公の女の子ではない。彼女のお世話係の一人である。


物語の世界の中にいるけど、傍観者である。


観測者である。


女の子は今、逃げているのだ。


王子様とは一緒に居たくないと、逃げているのだ。


この物語は終わらない。


ハッピーエンドにならなければならない。二人が結ばれなければならない。


女の子は逃げる。王子様は必死に追いかける。


ここは絵本の世界だから、限られた場所しかない。海の向こうは何もない。森の中は途中までしかない。狭い狭い世界の中。


それでも女の子は逃げた。朝も夜もない。疲労もない。女の子と王子様の距離は変わらないまま永遠に追いかけっこをしているのだ。


時間は進んでいるようで進まないのだ。ここは絵本の中の一部だから。


同じ光景を見ているのは飽きた。どうにかならないかと考えるけど、女の子を説得するしかない。それはもう試した。無理だった。


王子様は悪い人ではない。いい人かは分からない。何が嫌なんだろう。でも、まぁ、ちょっと見た目が怖かった。


ふと、本が目に入った。それは白紙の物語。呼ばれているような気がした。


走り回る女の子の腕を私は掴む。


「ここに行きましょ」


私は何も書いてないページが開かれた本を指差す。


「えっ?」


「ここで私と暮らしましょ」


「あなたとなら喜んで」


女の子と私は本の中に飛び込んだ。



王子様は一人取り残される。


彼女達の入った物語には入れない。だって、その物語はハッピーエンドで閉じられているから。

読んでいただきありがとうございました!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ