表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/91

ジェネヴィーブとチェリシラの制裁

「だから~」

何がだからなのだ、王宮から戻ったヤーコブはジェネヴィーブとチェリシラに呼び出されて、アレステアとグラントリーに言われたことを白状させられた。

秘密にしろとは言われていないが、すすんで話していい内容でもない。

そこでジェネヴィーブが、自分が制裁すると言い出したのだ。


「だから~、殿下がするとお家断絶とかになりそうで怖いもの。

一ヵ月ぐらい下痢が続く薬とか、いいと思わない?」

しかも、何故かソファで二人に挟まれて座っている。

ヤーコブは肩を狭めて、二人との接触を避けようとするのに、ジェネヴィーブとチェリシラが寄って来る。

まるで女の子同士の会話のような関係になっている。

燃え上がる馬車に飛び込んだことで、ヤーコブの信頼度がアップしたのだろうが、かわいい顔をしていてもヤーコブは男性で複雑な心境である。


「問題は、使用人達を省いて、家族全員だけに食べさすのって難しいのよね。

いっそ、紛争地域で両国軍すべての食事に下剤を混ぜる方が簡単かも。

両国の兵士が下痢続きで戦闘不可なら、戦争が維持できなくっていいんじゃない?」

ジェネヴィーブの案に、チェリシラがうんうんと頷いているが、ヤーコブは頭を抱えた。


「一時的な下剤はありますが、一ヵ月続くとなると聞いたことがありません。

ジェネヴィーブ様、絶対に作成しないでください。

両国ではなく、片方にその薬が使われたら、戦争は圧倒的勝利になります。

どこの国も欲しがるでしょう」

ヤーコブは、ジェネヴィーブは賢いのに気がつかないのかと思う。

第一、火矢を射られて殺されかけたのに、下剤で報復しようとするなんて甘すぎる。


「じゃ~、幽霊に化けて屋敷に行っちゃおうか?

実際に屋敷に忍び込まなくとも、投影機を作れば・・」

ジェネヴィーブの言葉は、ヤーコブによって止められる。

「投影機?なんですか、それは?

絶対に軍用に転用されますから、覚悟して制作してください」


ジェネヴィーブだって、幽霊騒動ぐらいで、許したくない。言ってみただけだ。


「私だって死ぬかもと怖かった。だから、償いを受けさせたい。アレステア様も絶対に許さないで制裁するだろうけど、お姉様のジワジワ苦しめるのも魅力的よね」

チェリシラがまだ包帯の巻かれた手を押さえる。

「それは、僕だって」

ヤーコブは助けにきて、大火傷を負っているのだ。

結局三人で、制裁方法を話し合った。

公爵令嬢はこの事件と無関係かもしれない。けれど、チェリシラを無視しているクラスメイトと何か関係がある。




ゼノンは兄に事件と火傷のことの手紙を書いていた。

もちろん、ジェネヴィーブの薬の効能も書いている。きっと兄は彼女にさらに興味を惹かれるだろう。

その前の手紙には、脅威になるようなら排除すると返事がきたが、兄よりも早く、彼女を排除に動いた者がいるということだ。

彼女を見つけた時から、ジェネヴィーブは自分のものだ。

生かすも殺すも。

カタン、ペンを置いたゼノンは、窓の外の月を見上げた。

穏やかな光に願う。

できるなら・・・

その後は言葉にならなかった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ