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ジェネヴィーブとチェリシラの阻止

「お姉さま」

チェリシラは2本目の薬を飲んで、背中の痛みが弱くなったと感じていた。

暫くは、翼を出すのは無理だろう、と思いながらも出す必要はないと思い直す。


チェリシラの脈を測りながら、ジェネヴィーブが答える。

「どうしたの?」

「アレステア様って、私を大好きですよね?

なのに、簡単に王宮に行ったな、と思って」

ケガが痛々しい看護する、側についていたい、とか言わなかった、とチェリシラは思うのだ。


「そうよね。

犯人は簡単にボロはださないだろうし」 

言っている途中で、ジェネヴィーブはチェリシラを見た。

チェリシラも頷いている。

「アレステア様なら、チェリシラが火傷したら犯人には100倍にして報復しそうなのに、おとなしすぎたわよね?」

犯人を確定しているのに、証拠がなかったら?


犯人を確定してなくとも、目障りをこの際に排除しようとしていたら?

それをチェリシラに気づかれたくなかった?

あわててジェネヴィーブが立ち上がった。

「お姉様?」

「チェリシラ、貴女の婚約者は貴女に関して危険思想の持ち主よね?」

「そうだと思います」

ダークシュタイン姉妹の、アレステアに対する認識は酷いものである。

「ヘンリエッタ王女が危ない」


ジェネヴィーブがヘンリエッタの名前を出したことで、チェリシラも理解する。

ベッドから降りようとして、背中の痛みを感じる。

「お姉様、アレステア様に手紙書きます!」

「チェリシラ、頑張るのよ」

チェリシラは力強く頷いた。ここは、色仕掛しかない。

ジェネヴィーブとチェリシラにとって、アレステアの評価は高くない。


チェリシラからの手紙を受け取ったアレステアが、飛んで帰ってきて、離宮に火矢をいるのを保留にするのだが、中止にしなかった。

確たる証拠が出れば、すぐに行動に移すだろう。

ヘンリエッタ王女への制裁は止めるつもりはないようだ。


「ジェネヴィーブ孃、天使教というのを聞いた事がありますか?」

アレステアが、改まってジェネヴィーブに確認してくる。

ダークシュタイン領では見かけなかったが、知識程度には知っている。

天使教は、国教の宗派の一つである。国教で神の使いとされる天使を敬い、天使の彫刻や絵画を御神体として祀っている。

「最近、天使教の信徒が増えてます。

絶対にチェリを近寄らせないでください」

もし、チェリシラの翼がバレたら、国教会よりも面倒になるのは目に目えている。


アレステアは王宮にもどったが、ジェネヴィーブに言わなかった事がある。

ギラッシュ夫人と王子が、天使教に関与しているのだ。第4部隊を探っているうちに、分かったことだ。

第4部隊が、天使教とギラッシュ夫人を仲渡しているらしい。


これで辻褄が合う。

狙われたのは、チェリシラだけでなくジェネヴィーブもだ。

ギラッシュ夫人は、宗教という支持基盤で愛妾の子供にも王位継承権を迫るつもりだろう。

神の愛は皆に等しくあるべきだ、天使様も嘆いている、とでも言うつもりか。

ジェネヴィーブは非凡な才能を学院で認められ、王太子妃候補だ。

王太子グラントリーに優秀な妃がつけば、たとえ継承権を得たとしても王位はさらに遠くなる。


「ジェネヴィーブ孃はどうだった?」

グラントリーはアレステアにようすを聞くが、アレステアはため息をついた。

「グラントリー、見舞いにもいかない婚約者候補など見限られるぞ。

ダークシュタイン伯爵家は恋愛結婚だ。

ジェネヴィーブ孃に気に入られなければ、王太子妃にはなってもらえない。

分かっているのか?」

アレステアをちらりと見て、グラントリーは忙しいんだよ、と呟いた。

「花は贈ってる」


好意を持っているから婚約者だと言い張るのだろうが、王家の家庭環境では大事な女性の扱いは身に付かないのは仕方ない、とアレステアは思うが、ファーガソン公爵家の大事な女性の扱いも間違っている。



いつも誤字報告ありがとうございます。

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