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魂の天秤に命をかけろ。

巨大ロボットの出てくる異世界対戦物を書いてみたくなりましたので

思うままに筆を滑らせてみました。

僕は巨大ロボット(ゼンダー)に乗って爺ちゃんと戦っていた。

サポートパイロットとして。


対峙して、刹那の時が過ぎ、対戦相手から交信を求めて来た。

爺ちゃん、相手からだけど・・

爺ちゃんは黙って頷いた。

御老体、誠に失礼だが、戦場に出られたことはあるかな?

初老の騎士は僕らの世界にこの対戦を持ちかけて来た人だ。


何でも、世界を作りすぎた神様が生き残りをかけた戦いを託した。

誰もが思いつく話で、別に目新しくもない使い古されたお話しだ。

当然、僕らの世界の偉い人達は知っていたが、それぞれの国の思惑があり一致団結とはいかず、

一般人にはだんまりだった。

宗教界は自分達の信じている神が全否定される事にもなりうる為、無視していたのだろう。

そんな時この初老の騎士が世界中の一般人に語りかけて来た。

お互いの世界を守る為、魂の天秤に命をかけろ。

その実は、天秤が一方に大きく傾かなく、闘っている間はお互いの世界は滅びる事はない。

高次元の神に対する一種のペテンだ。

ささやかなる反抗とも言える。


国連主導で対戦に回り持ちで挑む事になったのだが、この高次元の神の掌に乗る事に

宗教上の理由で拒否する国や個人がほとんどだったので、自ずと日本が引き受ける回数が多かった。

日本では建前上、無作為に選ばれた人物がこの巨大ロボットに乗って戦う事になっていた。

かける魂のチップが少なければ、負けても天秤の傾きは小さく済む。

そのせいか、日本で選ばれるパイロットは下級国民で余命が少ない者か老人ばかりだった。

深刻な運命のかかった対戦はいつの間にか、エンターテイメント化していた。

動画サイトでスポンサーつきで実況中継される。

勝敗の賭けサイトもあると聞いていた。


嗚呼。

昔、戦地には行ったが、病に倒れ内地にかえされた。

そん時の仲間は皆、戦地で死んでしもうたわ。

ため息交じりに爺さんはそう答えると遠い目になった。


そうか、死に場所を求めておられるのだな。

失礼した。

騎士の後ろには自分と同じ年頃の女の子が見切れていた。

あれが相手のサポートパイロットか、僕と同じで肉親なんだろうな。

今迄の対戦時のトラブルの反省を踏まえて。

異世界との対戦からの逃亡防止の為に、時には愛する者と二人、時には最大一族郎党。

この巨大ロボットの中に搭乗する。


爺ちゃん、NOSを起動するよ。

爺ちゃんは無言で頷いた。

僕の考えはこうだ。

NOSを最初から使って、爺ちゃんの魂の消費を減らす。


巨大ロボットの中の倉庫の中にうず高く積まれた千羽鶴を穴に落としていく。

機体から赤いオーラが立ち上りやがて全体を包んだ。

何でも、アメリカの人が最初に気づいたという話だ。

穴にNOSを繋いで吹かすと原理は解らないが、出力が上がったそうだ。

それから、色々な物を落としてみて、人の想いの詰まった物が燃焼効果が高い結果が得られ、

何時からか、日本では全国から送られた千羽鶴をNOSとして使用する。

俺が子供の頃に通っていた幼稚園の園児達が画用紙にクレヨンで書いたと思われる

ぐるぐるの太陽を浴びて立つ巨大ロボットの絵にでっかく書かれたがんばれの文字。

ありがたい。

これは純真な心がこもってそうだ。


爺ちゃん、相手を正面に見て。

相手にロケット弾を浴びせる。

巨大ロボットの腕から放たれた弾は相手の盾に吸い込まれた。

ロケット弾の爆風でまきあがる土煙を薙ぎ払って、

放たれる突きが追加装甲版を一枚、また一枚とはがされていく。

突きの衝撃でバランスを崩されて思わず片膝をついた。

続く突きで吹き飛ばされ、地面に倒された。


相手の騎士は倒れた者に追撃をしない。

此方が立ち上がるまで待ってくれる。

勿論、此方が闘う意思を持ち続けてる限りにおいては。

今迄の戦いでそれが証明されている。


爺ちゃん、距離を取って。

背中にしょった対地ミサイルをお見舞いした。

相手はミサイルを次から次へと剣で叩き落としていく。

だが、時間は稼げた。


ほとんどの武装を使い切り、装甲もはぎとられた。

作戦通りといえば、そうなんだが。

その代わり機体の重量が減り身軽になった。

こちらの攻撃は捨て身のタックルから相手をひっくり返す。

それだけ。

そもそも爺さんは格闘技どころか、喧嘩もしない只の農家の爺さんだ。


世紀の凡戦を観戦している人々は爺さんの勝利等、とうの昔に諦めていていた。

SNSの煽りも酷いものだ。

何かの参考になればと書き込みを流し見していたが、そっと閉じた。


あんなにあった千羽鶴も激闘の末にほとんどが穴の中に消えた。

最後に、土蔵の中で見つけた死んだ祖母さんが爺さんの為に作った千人針を

穴に落とした。

祖母ちゃん、教えてくれたよな。

爺さんが戦地から無事に帰って来るように、街頭で通行中の女子衆に縫い取りの

お願いしたって。

結び目の一つ一つに女子衆の想いが詰まっているって。

頼むから爺ちゃんを守ってくれよ。

祖母ちゃんには、悪いけどそっちにはまだ行かせたくないんだよ。


茶色に煤けたボロボロの布が穴の中にゆっくりと落ちていく。

穴の中で千人針が青い炎に包まれてると、機体が青白いオーラに包まれた。

巨大ロボットが咆哮し、相手の剣をかいくぐりタックルが初めて成功した。

大根を引っこ抜くように、相手をひっくり返して、馬乗りになりひたすら殴る。

これを凌がれたら、もう後がない。

元々、勝てる勝負ではない。

お互いに死力を尽くして闘っている姿勢を高次元の神に見せる闘いなのだ。


そして爺さんの手が止まった。

コックピットの爺さんは肩で息をしていた。

爺さんが限界なのは判っていた。

能天気に頑張れと声をかけられなかった。

敵は立ち上がり、代わりに爺さんは倒れた。


御老体、お見事でした。

私は今迄に数多の敵と世界を自分の守る世界の為に屠ってまいりましたが、

闘い方はどうあれ、伝わってまいったその気迫に感嘆しましたぞ。

言わせてもらえば、貴方が一番の強敵でした。

立たれよ!


敵は最大の礼を払い、爺さんが立ち上がるのを待っていた。

爺さんはゆっくりと立ち上がった。

爺さん何で立つんだよ。

僕は嗚咽で声にならなかった。

例え、ここで爺さんが負けても僕たちの世界が滅びる事はないだろう。

天上に見える魂の天秤が爺さんの魂の重みだけ、ちょっとだけ滅びの方に

傾くだけだろう。


二体の巨大ロボットが夕日を浴びて対峙していた。

夕日が水平線に落ちた。

どちらも動かない。

そして、サイレンが鳴った。

僕はあっけにとられた。


思い起こして、相手との無線回線を入れた。

女の子の悲痛な叫びが耳に飛び込んできた。

死因は判らないが、騎士は死んでしまったらしい。


爺さんは勝ち名乗りを受け、二人で巨大ロボットを降りた。

SNSでは掌返しで、この大逆転勝利を称賛しているだろう。

用意に想像できた。


天上の天秤がゆっくりと今までにない程傾いた。

天秤は水平に戻った。

暫くの猶予の後、別の世界との闘いが始まる。

闘っている間はお互いの世界は滅びる事はない。

高次元の神に二言はない。


異世界対戦用巨大人型兵器

使用用途 :異世界対戦専用(他の目的では行動が制限される)

仮呼称  :ゼンダー

生産国  :異世界製

サイズ  :40~200メートル級(対戦相手に準ずる)

重量   :不明

燃料   :搭乗者の魂(寿命)

NOS    :日本地域では千羽鶴 等

乗員定員 :2名(最大一族郎党)

排気量  :不明

ミッション:AT

操作方法 :思念操作/モーションキャプチャー/ハンドル

稼働時間 :搭乗者の魂(寿命)の残量に比例する

移動速度 :搭乗者の魂(寿命)の消費量に比例する

ジャンプ力:搭乗者の魂(寿命)の消費量に比例する

基本武装 

魂光線砲 :出力は搭乗者の魂(寿命)の消費量に比例する

拘束光線砲:出力は搭乗者の魂(寿命)の消費量に比例する

追加武装(日本国仕様) 

130mmロケット弾30連装発射機4門*2

地対艦誘導弾門6連*6 

基本装甲 :不明

追加装甲(日本国仕様) 

     :複合装甲

     :圧延防弾鋼

メインパイロットの爺さんにはどうしても生き残って欲しかったので

対戦相手に死んでもらいました。

死因は

心臓麻痺でも、自殺でも


対戦相手は今迄に自分の世界を守る為に、対戦相手の世界を屠ってる訳で

その反省を基に魂の天秤を神様に提案して、一回勝負を回避して

なるべくお互いの守るべき世界を崩壊より延命させたいという思いを描きたかった。



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