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第8話「歴史」

 "クリーチャー"

 こう呼ばれる化物共は、20年前に世界各地に同時に現れた。

 強靭な肉体と強力な牙と鋭い爪を持ち、常軌を逸した運動能力を持つ。

 人間の言語は奴等には通じなく、コミニュケーションを取る事は不可能。

 通常の個体サイズは成人男性位だが、中には3Mを越える程の大物級(ギガント)と呼ばれる個体がいる。

 クリーチャーはギガントを頭として、群れを形成する。

 群れは、およそ15〜30位の数で行動をしているが、当初世界各地に現れた時は100程度の数の群れも複数観測されていた。

 クリーチャーが出現して、僅か3ヶ月で日本の主要都市は半壊に追い込まれた。それ以外の県では地図から消滅してしまった所もあった。

 当然日本政府も武力投入を行い抗戦を開始した。空軍、海軍、陸軍、警察と投入出来る人材は全て投入したがクリーチャーの進行を止める事は敵わなかった。

 そもそも通常サイズのクリーチャーの1体ですら、銃火器を持ち訓練を受けた人間が10人以上で戦いようやく倒せる程度だった。

 それが複数で、群れで襲って来るのだから当然と言えば当然の結果だ。

 ほとんどの戦場で人間側が全滅して、数体のクリーチャーが倒せる位の戦果しか上げられず、被害地域が日に日に拡大していった。

 ただ、中にはクリーチャーに対して同等の戦いを繰り広げる戦場もあった。

 そこにはクリーチャーすらもたった1人で倒す事が出来る、圧倒的な力を持った人達がいた。


 それは―――全ての物を切り裂く斬撃。

 それは―――あらゆる物を破壊する拳。

 それは―――どんな物も折り曲げるサブミッション。

 それは―――針の穴をも通し続ける正確無比な射撃。


 おおよそ、人間離れした力や技を持つ人達だけが、劣勢の戦場で戦える人材だった。

 彼らは力を持たない者達から、尊敬の念を込めて


『オーバーウェポン』


 と呼ばれた。クリーチャーに追い詰められ指揮系統も崩れていく戦場の中で、個の力だけで戦線維持を行なっていた。

 しかしオーバーウェポンがいる戦場だけが唯一抵抗が出来ているだけで劣勢なのは変わらなかった。

 ただそんな状況で、意外な人物達が戦場へと徐々に現れた。

 

 それは"ある意味"でクリーチャーと同じく人間としての理解を超えてた。


 それは―――魔力を使う魔法使い、魔術士。

 それは―――式神や呪術を使う陰陽師。

 それは―――神霊術や魔払いを使う神主、巫女、牧師。

 それは―――降霊術や念仏を使う坊主。

 それは―――自然の力を使う祈祷師。


 他にも様々な力を駆使して戦う者達がいたが、共通して言える事は御伽噺や創作作品に出てくる様な力を使って戦う事だった。彼等は、


『ロストネーム』


 と呼ばれ一騎当千の力を使い倒していく。

 各地でオーバーウェポンと、ロストネームが戦場で先陣となり戦った。

 戦闘が開始されてから半年が経過した頃から少しづつではあるが、各所の奮戦により群れを撃破し勝利が積み上げられていく。

 それより1年後には、国内の大きな群れは全滅まで追い込んだ。

 大きな群れが無くなった事での勢力も縮小し小さな群れが存在する程度にまでになったのだが、オーバーウェポンとロストネームは大半が戦死してしまう。

 人間側にも多大な被害を出したこの戦い以降は、クリーチャーは時折現れる小規模な群程度の数まで減り、今に至る。

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