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第6話「帰還」

「シキーありがとう!」


 先程の刀を振るった少女が少年に近づきお礼を述べる。少年はやれやれと言った表情で言葉を返す。


「ヒメ。何で大物級をここまで連れて来た?ちゃんと相手出来るだろ?」


 この少女も先程の少女の様に、バツの悪そうな顔で答える。


「あのね、ギガント用に刀を変えようとしたら、、、」


「したら?」


「カタベさんの指示ポイントと真逆に行っちゃったみたいで、、、。」


 何を言っているのか分からないが、少女は事の顛末を少年に説明している様だ。


「ヒメ。何回目だ?」


「今月は2回目かなぁ?」


 少年は掌を顔に当てて俯く。少女は変わらず苦笑いの状態だ。


「俺もカバー出来ないぞ。ちゃんと課長に言い訳考えときな。」


「そんなぁ〜私なりに頑張ってるのにー。」


 表情が違う2人が、はぁ〜と同時に溜息をする。


「とりあえず状況はクリアだ。帰るぞ。」


「はーい。」


 これで本当に終わったのか?

 なんだか訳が分からないまま、先程のあの巨大な化物すら少年は倒してしまった。

 その少年は、少女と話し終わった様で俺が居る場所まで戻って来た。


「申し訳ありませんでした。何度も危険な目に合わせてしまいました。」


 謝罪を述べた後に深々と、俺に少年は頭を下げる。


「いや!助けてもらったんだ!頭を上げてくれ!」


 そう言うと少年は頭を上げて笑顔を見せてくれる。

 そして俺は思った事をそのまま聞いてみる。


「君達は何なんだ?何で、あの化物を倒せるんだ?」


 少年は答える。


「自分は、株式会社ボーダーラインの者です。そしてクリーチャー対策部第4課所属です。まだ、インターンですが。」


 株式会社?ボーダーライン?あぁ!あの会社か!!


藤原四切ふじわらしきです。さぁ、病院までは安全にお送りしますよ。」


 俺はそのまま、先程の仲間と思われる人達が乗り込んでいる一際大きなキャンピングカーみたいな車に乗せられる。

 俺は助かった。本当に感謝してもしたりない。

 それにしても、何故こんなにも人間は襲われなければいけないのだ。

 怒りはこみ上げるが、先程までの恐怖で体が竦む。

 20年前から状況は変わらない。人間はクリーチャーに襲われる。

 ただただ、命を奪われ続けるだけだ。

 俺は安全な場所から荒れた街を窓から遠くなるまで、ただ苦々しく見つづけていた。

 俺は生の実感よりも、恐怖の方が上回る今日を忘れはしないだろう。


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