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第4話「脅威」

「ごめんなさい。少しだけ我慢して下さい。」


 気遣う様に少年が俺に謝罪する。何故ここから急に離れる判断に至ったのかが俺には分からない。

 当然、化物はこちらに向かってくる。

 この場にいた全ての同胞がやられたのだ、先程の様に叫び声をあげながら追ってくる。

 追って来るのだが、体に何かが貼りついている。

 あれは人形?この場に全く合わない愛くるしい人形は3、4体程が化物に貼りついている。

 化物も気にも止めていないようだが、あれは一体何だ?その答えは次の瞬間に分かった。


「一斉起爆!吹き飛んじゃえー!」


 甲高い声が聞こえ、次に人形の目が一斉に光る。少年は担いでいた自分を下ろし、覆いかぶさる様な体勢に切り替わる。


 ガガガガガァン!!


 爆音が鳴り爆風がこの場に舞った。

 少年は先程の体勢で爆風に巻き上げられる砂塵から守ってくれている。

 一定時間が経ち、風が止んだ。

 化物は先程の場所にはもう居なかった。

 と言うより、化物がいた場所を中心にクレーターの様な更地が出来上がっていた。


「シキ先輩ー。大丈夫ですかー?」


 再び甲高い声が聞こえそちらの方に目を向けると、女子高生らしき少女が立っていた。


「ミナミ。要救助者もいる状況なんだから、もう少し考えてくれよ。」


 少年は俺を覆いかぶさっていた体勢から立ち上がり、少女に言った。

 少女はバツが悪そうに、右と左の人差し指を合わせて目線を少年から外している。


「まぁ、それでも助かったよ。次はもうちょいお手柔らかにな。」


 少年がフォローの台詞を言うと少女は、ぱあっと表情が明るくなり、


「はい!次はもう少し火力抑えます!」


 と返事をして嬉しそうに敬礼のポーズをしている。


「さて、色々と騒がしく巻き込んでしまい申し訳ありません。」


 少年が俺に向かって話しかける。


「体で痛い所はありませんか?怪我はしてませんか?応急処置位は出来ますよ。」


 体中に擦り傷の様な物は出来ているが、別段命に関わる様な物は無いのは分かる。痛みはあるが。


「だ、大丈夫だと思う。あ、ありがとう。」


 そう返事を返すと、少年は笑顔で話しかけてくる。


「良かったです。それではここから離れましょう。一応病院にはこの後行ってもらいますけどね。」


 そう説明するとデバイスを取り出し何処かと連絡を取り始める。

 周りが静かになり生き残った事を実感する。

 助かったんだ。あの状況から生きて帰れるんだ。涙が止めどなく溢れてきた。

 本当に死ぬと思った。生きて帰れるとは思わなかった。良かった、本当に良かった。

 そうだ、帰ったらお袋を旅行にでも連れて行こう。親孝行とか相手もだけど自分も生きていなければ出来ないしな。

 確か海外に行きたいって言ってたな。ちょっと長めの休みを取って連れて行こう。喜んでくれるかな。そんな事を考えていたら、遠くの方から声が聞こえた。


「ーーーーーーキーー!ーーーシーーーーーーキーーー!」


 先程とは違う少女がこちらに向かって走って来る。恐らく、自分を助けてくれた少年の名前を呼びながら。


「ヒメか?どうしたんだ?」


 何処かと連絡をしていたのが丁度終わったみたいで、少女の方をシキと呼ばれた少年が振り向く。

 少女が凄まじい勢いでこちらに走って向かってくる。

 ん?でも何だ?少女の後方のビルとか建物がバタバタと倒れて行く。

 砂塵を撒き散らしガーンとかドーンと音も聞こえる。

 あの子が倒しながらこちらに向かって来てるのか?そんな馬鹿な。

 でも倒れる建物の後ろに何かが見える。黒くて大きい何かが。目を細めて良く見ると体が硬直した。

 さっきの化物がいる!

 だが、何なんだ!サイズがさっきの化物と違いすぎる!

 さっきの化物は成人男性位だったと思うが今、女の子を追いかけてる奴は3M位か?

 バスケットゴール位の高さがあり、体つきも一回り大きく見える!

 おいおい、何だ?助かったんじゃないのか?

 おいおい、何が起きてるんだ?

 おいおい、結局死ぬのか?!嫌だ嫌だ嫌だ!!!

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