第2話「守護」
バンッツ!!
音が聞こえた。何だ?何の音だ?
恐る恐る目を開けると、目の前の化物の顔が後方に弾かれている。
それは普通の人間なら首が"折れている"角度で!
バンッツ!バンッツ!!
先程も聞こえた音が連続でまた聞こえる。
その音の後に俺の肩を掴んだ両の手が離れる。
拘束から解かれ、地面に落ち、そのままその場に尻餅をつく格好になる。
正面を見上げると、化物の両の掌からは緑色の液体が垂れている。
化物は大きな咆哮を上げ、歪な角度の首を緑色に染まった両の手で、強引に元に戻し俺の後方を睨みつける。
何が起きたのか分からないが、そのまま化物の目線を追うように振り向くと、両手で銃を構えた少年がいた。
化物はその少年に襲いかかろうと瞬時に動く!凄まじいスピードで自分の横を駆け抜ける!!
だが―――
バンッツ!バンッツ!バンッツ!
少年が放つ銃弾が化け物に当たり、緑色の液体を辺りに撒き散らす。
周囲に響く再びの咆哮―――いや、これは断末魔なんだろう。
化物は少年の手前で前のめりになって倒れる。
まだ、思考が追いつかない。何が起きたのかも理解出来ていない。ただ、俺は助かったのか?
「大丈夫ですか!?」
離れた場所から声をかけつつ、少年が俺の側に来る。
尻餅をついたままの状態の俺に合わせて、片膝をつき心配そうな表情をしている。
「あ、あっ、、あぁ。大、丈夫だと、、、思う。」
そのまま少年と向かい合いながら答える。
「良かった。じゃあ、ここは危険なんで急いで離れましょうか。」
そう言って少年は笑顔で手を差し伸べてくる。
その手を握ろうとした次の瞬間、辺りが暗くなった。
まるで大きなビルの日陰に入ったような感じで。
そして―――
ドガーアァァン!!!!!
地面が急に揺れ、凄い音が耳を貫く。
反射的に目を閉じて、音も揺れも収まった後に目を開くと少年がまた銃を構えている。
何故?その答えは絶望的に直ぐにわかった。
先程倒した筈の化け物が1体ではなく、今度は5体同時に現れたのだ!
「なっ、何で、、、」
「同胞がやられて駆けつけたみたいですね。離脱が少し遅かったかな。」
この状況を冷静に少年は俺に告げてくる。
「た、助けてくれ!おっ俺は、死にたくないんだ!!」
情け無い。情け無い。情けない。
だが、今頼れるのはこの少年しかいないのも事実だ。
恐らく高校生だろう。大の大人が高校生にすがりついて助けを求める。本当に情け無い。
しかし、少年は笑顔でこう言う。
「はい。大丈夫ですよ。皆様を守るのが僕の仕事ですから。」
俺を安心させる為なのか、笑顔で答えてくれる。
だが、その言葉を発した次の瞬間化け物達は一斉に飛びかかってくる!
しかし―――