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マウンテン☆マウンテン
緑萌ゆる、山滴る。
5時間前の、ウサギのとおり道。
登る、登る、登る。
キミの右手に双眼鏡、左手にはパラソル。
3時間前の、タヌキのとおり道。
下る、下る、下る。
ボクの右手に水筒、頭には麦わら帽子。
1時間前の、蝉の休憩所をとおり越して。
登る、登る、登る、登る。
ボクの左手に黄色い花、キミのホッペは紅く火照る。
太陽は東から西へ。
汗ばんだ体を拭うように、風が吹きぬけた。
「アオ、海っ」
緑がボクらを誘って、広がるのは、蒼い空と碧い海。
融け合って、ひとつになる。
キミは飛び込んで、沈む。
ボクもキミを追って、沈む。
どこまでもどこまでも沈んでいく。
空気で、窒息する。
「このままでいるのも、いいね」
「このまま、ふたりでいたいね」
世界に、ボクとキミだけという、錯覚。
海が見たいと言ったのは、ボク。
山に行こうと言ったのは、キミ。
キミとボクに、空が落ちる。
海は遠く、山に溺れた。




