バスストップ。
バスが3本、目の前を走り去っていった。
今日の朝食は、鮭を焼いた。
脂ののった、大きな鮭。
・・・おいしかったなぁ。
嶋子ちゃんは何を食べたかな。
いま、ホワイトチョコのスコーンがお気に入りって言ってたっけ。
うん。ボクも、ホワイトチョコ、好き。
シトシト、シトシト、ピチャンッ・・・、シトシト・・・
午後は晴れるんだって。
そしたらこの傘を高く広げて、虹を飛び越えに行ってもいい。
キミは黄色、ボクは水色。
『アオだからアオね。』
そうやって笑う嶋子ちゃんが目に浮かぶ。
飛び越えた先に、七色の傘。
早くキミに会いたいな。
「アッオッ、ちゃーーーーーーーーーんっ!!」
黄色いレインコート、黄色い長靴。
小さなカノジョは、大きな水たまりを飛び越える。
「アオちゃんっ、オハヨーッ!」
「おはよう、香子ちゃん。」
キミによく似た、小さなカノジョ。
まだ降り続いてる雨に濡れないように、傘を差す。
黄色い帽子に赤い花。
「ガッコー?」
「うん。香子ちゃんは、幼稚園?」
「うんっ!コーコはよーちえんっ!」
エヘンッて腰に手を当てて、胸を張る。
思わず笑みが零れるけど、ボクもコホンッと咳払いして、胸を張った。
「嶋子ちゃんは、どうしたの?」
・・・あれ?
小さいカノジョは今度はガクッーと肩を落として、ため息ひとつ。
あれあれ?
黄色い帽子から覗く瞳は、キミにそっくりで。
その瞳が語ること。
『いつもいつもいっつも・・・・!』
「嶋子ちゃんはぁー・・・・あっ!」
真っ赤なスクールバスが、水を跳ねて、キラキラ、キラキラ。
ボクは小さいカノジョを抱えて走り出す。
キラキラ、キラキラ、水たまりさえ飛び越えられずに、キラキラ、追いかける。
「・・・っま、子ちゃんっはぁ、てるてるぼーずっ、作ってるぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・」
小さい手を振る小さいカノジョを乗せたバスが走り去る。
ボクは、ふはぁって大きく息を吸い込んで、空を仰いだ。
雲は途切れて、青い空。
嶋子ちゃんに、もうてるてる坊主は必要ないよって、教えてあげなくちゃ。
・・・あれ?傘、は?
あ、バス・・・て・・・い・・・
「アオー!」
水色の傘に黄色のてるてる坊主。
白いセーラー服に黄色と水色の水玉の長靴。
キミは、水たまりを飛び越えるなんてこともしない。
「晴れたから、遊びに行こう」って、ボクの腕を引っ張った。
水色の傘1本、虹を飛び越えて紫陽花の国に。
「うん。行こっか」
4本目のバスは、キミとボクを追い越して、走り去った。




