表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
公爵令嬢のとんでもない勘違い  作者: 夏の柴犬
7/66

大魔導士発見?


 リーリアはその後も何人かに聞き込み調査を続けたが、どれもリーリアの知っている情報ばかりで、役に立ちそうなものはなかった。


 リーリアが次に話しかける人物を探していると、アレンが戻ってきた。


「ごめん、リーリア。ずいぶん待たせてしまって」


「いえ、構いませんわ」


「予定が長引いてしまったから、もうダンスの時間も過ぎてしまったね……すまない」


「いいえ、大丈夫ですわ」



「そうか……ところでリーリア。仮面のご子息とのダンスは、楽しかった?」


「え?……あの、ええと……」



 アレンはリーリアに一歩近づいて、リーリアの瞳を真正面から覗き込んで、言った。


「ああ、勘違いしないで。もちろん君が誰と踊ろうと君の自由だ。だけど、リーリアがあの男とあんまりにも楽しそうだったからね。つい、妬いてしまったんだよ」



 アレンは確かに微笑んでいるのに、どこか冷気を感じさせるような表情で。



 リーリアからすれば、他の異性とよろしくやっているのはむしろアレンの方なのだが、アレンの雰囲気に飲まれてしまったのか、なんだか今すぐ逃げなくてはいけないような、そんな危機感を感じた。


「その……ひ、久しぶりに体を動かしたものですから、楽しかったのですわ。それに、流れていた曲がわたくしの好きな曲でしたの!」


「そうだったんだね。君が楽しそうで、僕も嬉しいよ」


(あら……?いつものアレン様だわ。あの妙な威圧感は一体なんだったのかしら?きっと、あの失礼な方のせいで、普通の判断ができなくなっているのね。今日は勝負の日なんだから、しっかりしなければ。……それにしても、アレン様はミシェル嬢と談笑なさっていたはずだけど……わたくしの様子にも目を光らせていた、ということかしらね。まあいいわ)


「アレン様。ダンスの時間が終了したということは、これから魔力査定が行われるのでしょうか?」


「ああ。ほら、ちょうど準備が整ったようだよ」


 リーリアがアレンの指差した方向を見ると、ダンスフロアの中央に、大きなクリスタルが載せられている台座が運び込まれていた。そしてその周辺に、マントを身につけた、魔導士と見られる人物が数人立っている。


(わたくしの勘も、あながち間違いではなかったのですわ。やはり魔導士はマントを着ているのね)


 クリスタルの周りに立っているのは、五名ほどで、背中に魔導士のものと見られる紋章が刻まれた、金の刺繍が入った濃紺のマントを身にまとっている。


 そしてそのクリスタルから少し離れた場所には二人の人間がいた。

 

 立っているのが、青い長髪を1つに束ねている整った顔立ちの男性で、座っているのがフード付きのローブを身につけた、白髪の高齢の男性であった。

 

 その年配の男性が周囲に指示を出しているのを見て、リーリアは確信した。


(あの座っていらっしゃる方が大魔導士様なんだわ……!やはり、大魔導士様はご年配の方と相場が決まっているものね)


 そんな相場はないのだが、ずっと探していた大魔導士を見つけた喜びで、リーリアは少々冷静さを欠いていた。


 リーリアが心の中で舞い上がっていると、青い長髪の男性が話し始めた。


「紳士淑女の皆様方、本日は魔導会主催の魔力査定にご協力いただき、誠にありがとうございます。皆様は順番に、こちらのクリスタルに手をかざしていただき、少々魔力を流していただくだけで結構でございます。お一人ずつお名前をお呼びしますので、それまではどうか楽になさっていてください」


 話している男性の美しい容姿に、何人かのご令嬢が頬を染めて見惚れていたが、やがて人々はだんだんとフロアの周囲に散らばっていった。


「さて、僕たちも名前が呼ばれるまで端の方で休んでいようか」


「はい」




 会場に残っている全員が見守っている中で、1人目のご令嬢がクリスタルに向かって手をかざした。すると、クリスタルは白く輝きだし、そしてクリスタルの表面になにやら、エンブレムのようなものが浮かんできた。


「あれは、風の絵?風の属性……ということでしょうか?」


「ああ。そのようだね」


(なるほど。魔力をあの石に注ぎ込むだけで、簡単に属性の判別が出来てしまうのね)


 その後、何人かの魔力査定を見ていると、クリスタルの輝きの強さにも個人差があり、それはどうやら持っている魔力の強さと比例しているようだった。


「次は、アレン・レオナルド・ラトレイア様」


「僕の番か……行ってくるね、リーリア」







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ