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公爵令嬢のとんでもない勘違い  作者: 夏の柴犬
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浮気現場




 噂は本当だった。



 この国の王太子であり、リーリアの婚約者でもある、アレン・レオナルド・ラトレイア。


 その彼が、ミシェル・グレモリーという男爵令嬢と、微笑み合いながら楽しそうに中庭を歩いている。


 ミシェルがアレンの耳元で内緒話をするかのように顔を寄せ、それを聞いてアレンが目を丸くしたのを見たミシェルが、嬉しそうに笑う。


 どこからどう見ても、恋人同士にしか見えない距離で、二人は談笑している。ということはつまり、アレンはリーリアという婚約者がいながら、リーリアに黙って、他の令嬢と王宮で密会しているという事になる。



 これが、今、リーリアがバラの茂みの隙間から目にしている、疑いようのない事実なのであった。


 頭にくっついてしまった葉っぱをつまみながら、リーリアは憂鬱そうにそっとため息をついた。



(噂には聞いていたけれど、まさか本当だったなんて……しかも、あんなに仲良くなっているとは思わなかったわ。まずいことになったわね)




 自分の婚約者が他の令嬢と、浮気としか思えないことをしていたら、それを目撃したご令嬢は一体どうするだろうか。


 その場に出て行って、その男爵令嬢を問い詰めるか。それとも婚約者の男に、ひどいわと言って泣き崩れるか。はたまた堪えきれずに、屋敷に戻って誰にも知られず涙を流すのか。



 リーリアは屋敷に戻ることを選んだ。しかし、泣くためではない。




 噂の真偽を確認した今、彼女は強い決意に満たされていた。彼女はこぶしを握って、空を睨み付ける。




(……悲しんでいる暇はないわ。わたくしの使命は、家の名に傷をつけないこと。そして、可愛い妹のため、公爵家に安心と安泰の未来をもたらすことよ!)



 


 こうして始まった、リーリアの、婚約解消による一家没落を防ぐための戦い。


 しかし、この小さな決心こそが後にとんでもないことになるなんて、この時のリーリアは知る由もなかった。












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