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十方暮  作者: kirin
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第三十五話 再会の言葉

 家の中に入った三郎と俊は まず全ての窓を開け空気を入れ替えをしました。

 

 古びた部屋は張替えた ばかりの畳の新しい香りが漂い何処か懐かしさを感じさせる穏やかな作りでした。


 俊は首をぐるりと回転させ天井から床まで部屋中を隈なく見回すと 何やら小さく笑みを浮かべ風呂場へと向かったのです。


俊「へ~ やっぱり風呂場の窓まで木製だよ 田舎の家みたいだね。」


 次に俊はトイレに行きました。


【ガチャッ!!】


(俊がトイレの戸を開けた)


俊「ウゲぇ~… マジ… 落とし便所だよ… 嫌だなあ。」


 なんと この家のトイレは水洗ではありませんでした。


 すると そんな俊の行動を見ていた三郎が何時もの様に 痛快に笑いながら言いました。


三郎「がはははは! 如何した俊 あまりにもレトロで驚いたか。 俺達がガキの頃は こういう家が普通だったんだぞ。」

 

 その後 三郎が家の中に荷物を運び入れ様と車に行くと 俊が呼び止める様に聞いて来たのです。


俊「ねえ三ちゃん! お袋は何時頃 来るの?」


 俊は自分の腕時計を見ながら そわそわした様子で三郎に尋ねました。


三郎「おお… 宮子は昼頃に麻子の車に乗って一緒に来るって言ってたな。」


 新居の近くに住んでいた宮子は前日に自分の家の荷物を纏め終え水道電気などのライフラインを全て清算してしまったので前日から麻子の家で世話になっていました。


 また宮子は車の運転免許も持っていなかった為 当日は麻子の車に乗って一緒に来る予定だったのです。


俊「そうか 麻子姉ちゃんと一緒に来るんだ…」


三郎「ああ 麻子も手伝うって言うんだ… 【女手は要らねえよ】って断ったんだけどな。

 お前と宮子の事がどうしても気になるみてえでな。 がははは 」 


 宮子に会うのが三年ぶりの俊は 期待と不安で落ち着かない様子でした。


 三郎はそんな俊に気を遣い車から荷物を運び出しながら 違う話題を話し掛けました。


三郎「所で俊よう お前 来年は免許取れる歳になるけど 取りに行くのか?」


 そうです 俊は来年の夏に二輪車の免許が取れる年令 十六歳になるのです。


俊「うん もちろんだよ! だって俺 免許取るの 小学校の頃から ずーっと楽しみにしてたんだもん!!」


 三郎の問い掛けに 俊は 晴れやかな表情で とても嬉しそうに答えました。


三郎「そうか… でも お父さんは反対はしてねえのか?」


 続けて車から荷物を運び聞き返す三郎。


俊「ああ… まだハッキリとは聞いて無いけど 親父も元々バイクや車が好きな人だから別に反対はしないと思うんだ。

 ただ… 先輩達の話を聞くと市内の高校の ほとんどが安全運動に取組んでるみたいだから もし高校に進学したら学校には内緒で取らないとダメだけどね… 」


 当時 神奈川県下の高等学校は ※【4ナイ運動】や【4プラス1ナイ運動】と言った 高校生の二輪車免許取得を規制する安全運動を進めていました。


――――――――――――――


【※余談ではありますが簡単に説明致します】


 <3ナイ運動>

 

 1免許を取ら 【ナイ】

 2バイクに乗ら【ナイ】

 3バイクを乗せても貰わ【ナイ】


 <4ナイ運動> 上の3ナイ運動に下の1つを付け加えた物です


 4バイクを見 【ナイ】


 これは神奈川だけだったそうですが… 【見ナイ…】と言う事態は物理的に無理です。


 恐らく【販売店やカタログなどを目にさせない様に心得ましょう】と言いたかったのでしょう…


 <4プラス1ナイ運動> 


 プラス1 親が子供の要望に負け 【ナイ】


 これも神奈川県の一部の地域だけでしたが実際には親に内緒で免許は取れてしまいますので あまり効果的ではありませんでした。


 【余談は以上です 失礼致しました】


――――――――――――――


三郎「そうか 学校で そんな運動をしてるのか… 堂々と取れないのが残念だな。」


 安全運動の事を初めて知った三郎は とても気の毒そうに言いました。


俊「うん… でも原付の免許だったら筆記試験一日だけだからバレない様に上手く取るよ。

 それに俺 免許取ったら絶対に ※原チャリに乗って三ちゃん家に遊びに来たいし!」


※原動機付自転車の事です


 そうです 免許を取れば 例え自宅から三十キロ以上も離れた三郎の所にだってバイクで簡単に遊びに行く事が出来るのです。


三郎「ほー そりゃ楽しみだ! でもよお その肝心な原チャリは如何すんだよ。 がははは 」


 三郎の言う通りでした。 例え免許が取れたとしてもバイクが無ければ遊びに行く事は出来ません。

 

俊「あっ 俺 高校に行ったらバイトしようと思ってるから… 自分で少しづつ金貯めて中古でも買うつもりだよ。

 それに もし高校ダメだったとしても直ぐに働く事になるしね。通勤とかで原チャリあれば結構便利でしょ だから多分直ぐに原チャリは買うと思う。」


 三郎は 一生懸命 自分なりに努力して考えてる俊の言葉を聞いて 何か少しでも助けてやりたくなり 痛快に笑いながら言い出しました。


三郎「がははは! なあ俊! お前の その心意気! 気に入ったぞ!!

 確か 実家に原付スクーターが一台あるんだ。 免許が取れたら お祝いとして お前にくれてやるわ!! がははは!! 」


 三郎は そう言って俊の頭をグリグリ撫でると 満面の笑みで また車の荷物を運び出しました。


俊「えッ本当!! それって三ちゃんの原チャリなの!? 」


 この言葉に大喜びした俊は 飛び跳ねる様にして三郎の後を追い掛けていきました。


三郎「いや俺のじゃねえけどな。 丁度 兄貴が処分に困ってた所なんだ 前に兄貴が嫁さん用に買った物だけどな 最初の頃に少し乗ったきりで今は誰も使って無いんだ。

 きっと俊が乗るって言ったら直ぐにでも持って行けって言うよ。

 まあ バッテリー上がっててホコリもかぶってるけど整備して掃除すれば、まだまだ綺麗だし十分に乗れるんじゃねえか。」


俊「ヤッター! 俺 絶対に免許の試験合格するよ!!」


三郎「おいおい… その前に高校受検が先だろうが。 がははは 」


 その後 二人は自動車やオートバイの話をしながら車の荷物を全て家の中に運び終えると 少し休憩をしようと近くの自動販売機まで行って飲み物を買って来ました。



―――――――――――――


そして時刻は


午前十一時三十分を過ぎた…


―――――――――――――



 十五分程 休憩した二人は宮子達が到着する迄 運び入れた物の整理をする事にしました。


三郎「俺の荷物は これで全部だ 後は宮子の家に行って荷物を持ってくるだけだな。

 奴らも もう少ししたら来るだろうから その間 運んだ荷物を少し整理しておくか。」


俊「そうだね じゃあ俺はダンボール箱の中身を順番に出して行くよ。」


三郎「おお 頼んだ。」



―――――――――――――

 その頃 宮子達は…

―――――――――――――


 二人は麻子の車で新居へ向っている途中でした。


宮子「もう直ぐ到着するね 着いたら直ぐ お昼にしようか。」


麻子「そうね 私 もう お腹減っちゃったよ。ははは

 あっ ねえ お姉ちゃん… また余計な心配かも知れないんだけど 俊と会うの本当に大丈夫?」


宮子「えっ!? うん… 実は少し不安で昨日あんまり寝れなかったんだ…

 二年前に電話した時 謝りたかったんだけど 俊は家に居なくて光としか話せなかったからね…」


麻子「でも 光には伝えて貰ったんでしょ。 お姉ちゃんの気持ちを…」


宮子「あ… うん… 光が その時言ってたんだよ…

 例え 今 俊がここに居たとしても電話には出てくれないんじゃないかって…

 光の話では その時の俊は大分 荒れてたみたいでね…

 まあ その原因を作った あたしとなんか話したくも無かったんだろうしね…」


麻子「あのね お姉ちゃん 実は私… 昨日お母さんの部屋で お姉ちゃんの話をしてる所に俊が入って来ちゃって 今回の事 少し聞かれちゃったのね…

 でも お兄ちゃんと一緒に暮らす事を もう既に お兄ちゃんから聞いてらしくて 全然ケロッとしてたんだよ…

 【ゴメンね】って謝ったら 【そんなガキじゃないから】って言って笑ってたんだ…

 逆に【麻子姉ちゃんは相変わらず心配性だ】って言われて何だか拍子が抜けしちゃったの…

 だから きっと俊も お姉ちゃんと同じ様に少し変わったんだと思うのよ。」


宮子「そうだったの… でも 何だか それ聞いて少し安心したよ ありがとう…」



―――――――――――――

それから数分で二人は


新居に到着したしました

―――――――――――――



 麻子は車から降りると そのまま玄関まで先に行きました。


【ガラ ガラ ガラ】


(麻子が玄関の引戸を開けた)


麻子「お兄ちゃーん! 遅くなってゴメーン!!」


 麻子が大声で三郎を呼ぶと その少し後ろで手に お昼ご飯用に作った重箱を抱えながら宮子がゆっくり歩いて来ました。


三郎「おーう! まだ散らかってるけど中に入ってこーい!」


 三郎が奥の部屋から返事をすると 二人はまだ片付いていない荷物とダンボール箱を避けながら部屋の中へ入って行きました。


 三郎の居る奥の部屋に麻子が入ると直ぐ後ろに居た宮子が手に持っていた重箱を部屋の真ん中にそっと置き風呂敷包みを開いて見せました。


宮子「これ… 朝に お弁当作ってきたんだ皆で食べよう…」


 宮子は三郎の後ろで 荷物を整理している俊を少し意識しながら様子を伺うように弱弱しく話しました。


三郎「おおー! こりゃ気が効くねえ~!! がははは 」


 三郎は とっさに宮子の気持ちを汲んで痛快に笑いながら とても大きな声で言いました。


 すると 三郎の影に隠れて聞いていた俊が その声に反応してスクッと立ち上がりました。


俊「おおー! 本当だ上手そう!! 姉ちゃんと お袋で作ったの!?」


 俊が元気良く そう宮子に言うと一瞬時間が止まった様に三人は一斉に静まり返りました。


宮子「…!」


麻子「…!」


三郎「…!」


 それは まるで今まで何事も無かった様に普通に…


 そして本当に自然に宮子に溶け込んだのです。


 そんな俊の行動に麻子は余程 嬉しかったのか涙目になりながら 慌てて答えました。


麻子「わっ 私は少し手伝っただけだよ… ほとんどお姉ちゃんが作ったんだよ…」


 麻子が そう答えると 俊は宮子の顔を見ながら笑って言いました。


俊「ねえ お袋 早く食べようよ! 俺 お腹ペコペコなんだよ。」


 そんな俊の言葉に 宮子の目からは涙が零れ落ちました…


宮子「はっぅ…」

  

 再会の言葉…


 二人の間に そんなものは要りませんでした…


 それは 短い様で長かった二人の蟠りが 一瞬にして消えてた瞬間でした…


 親子…


 絆…


 愛情… 


 そんな ありふれた言葉では埋められない…


 それは それは…


 何とも不思議な空間でした…

 

 そして 宮子は手に持っていた手拭いで目元を押さえ鼻声になりながら答えました。


宮子「そだね… じゃあ 今 お皿を用意するから 待ってて…」


 そう言うと足早に台所に行き 流しの脇に重ねてあった まだ 新聞紙に包まれたままの小皿を出して洗い始めました。


 そんな宮子を後ろから支える様に 今度は麻子が その洗った小皿を受取り拭き上げると 宮子の耳元でそっと言ったのです。


麻子「お姉ちゃん… 良かったね。」 


宮子「…」


 麻子も鼻声になりながら そう言うと 宮子は俯いたまま無言で頷き 涙を流していました。


 その後 湿っぽいのが苦手な三郎は 俊に一言 伝えて車の方に行ってしまいました。


三郎「あのっ俊… 俺… ちょっと お茶でも買ってくっから… ちょっと待っててくれ直ぐ戻るからよ… 」


 鼻声で俯きながら言う三郎の目も薄らと涙で揺れていました。


俊「えっ あっ… うん… 」


 俊は その様子に気付いたのか申し訳なさそうに答えました。


 三郎が外に出て暫く沈黙が続いた後 小皿を洗い終えた宮子はすっかり笑顔になり 俊の隣に座ると そっと高校受検の事を聞いて来ました。


宮子「俊… あんた高校は…」

 

 すると その話に麻子も興味を持っていたのか 二人の直ぐ側に来て一緒に話を聞いていました。


 俊は二人に和夫が自分に理容師をずっと提案してきた事や 志望校を変更せざる得ない状況になった事まで全ての経緯を話しました。


 全てを聞いた宮子は 例え志望校が如何であれ 俊が高校を受検するという気持ちに安心している様子でした。


宮子「なるほどね… じゃあ あんたは仕方なく工業高校の機械科に進む事になったのね。」


俊「ああ… 俺 三年の成績が悪いから 結局そこしか行けなくなっちゃってさ。へへへ 」


 俊は苦笑いをしながら宮子に答えました。


宮子「うん… まあでも あんたは 小さい時から車とか好きだったんだし 案外合ってるのかもね。 将来は自動車整備士って所かな。」


俊「え!? うん… まあ それは まだ解かんねえけど 先輩達の話では卒業生の中に全日空の航空整備士になった人もいるって言ってたから 就職先は結構抱負かもね。」

 

 すると俊の言葉で航空整備士を知っていた麻子が驚きながら話し出しました。


麻子「えっ 航空整備士って!? あの飛行場で旅客機を整備している人達でしょ! スゴーい!! 頑張んなさいよ俊!!」


俊「えーっ! 待ってよ 姉ちゃん… 俺 まだ高校受検もして無いんだよ… 気が早いよ。」


麻子「大丈夫よ 俊なら絶対合格するわよ! 絶対合格して 航空整備士なるのよ!! 頑張ってね!!」


俊「止めてよ~ 姉ちゃん… 俺 こう見えて結構プレッシャーに弱いんだからさ… ん? あッ… やべえ… 腹が…」


【ギュリュ…ギュリュ~…】


(俊の お腹が鳴った)


麻子「えっ!?」


俊「ははは 俺 緊張すると腹痛くなって 直ぐウンコしたくなるんだよね… 」


麻子「何よ ちょっと 俊!! 早くトイレ行って来なさいよ! もう…」


【ぷぅ――っ…】


(俊がオナラをした)


俊「あっ… 出ちゃった… ははは…」


麻子「キャー! やだー!!」


宮子「あはははは!」


 俊と麻子のやり取りを見て大笑いする宮子。


 そして ここにタイミング良く 三郎が帰ってきました。


【ガラ ガラ…】


(三郎が玄関の戸を開けた)


三郎「ただいま~ 買って来たどー! 何だ何だ 馬鹿笑いして。 がはははは 」


俊「あっ 三ちゃん! 今入って来ると臭いかもー!!」


三郎「ん?? おおー!? うおお―――!! コリャー臭せえ!!」


宮子「あーははははは!!」


 その後 宮子の用意した重箱を囲んで食事をした四人は暫く世間話を続けました。


 その様子は とても楽しそうに笑う仲の良い四人の兄弟の様にも映って見えました。


 賑やかな笑い声…


 痛快な笑い声…


 本当に皆が心の底から笑っていました…


 何年ぶりだったのでしょうか…


 こんな楽しい時間を過ごした事は…


 宮子は思いました…


 【こんな楽しい日が何時までも続けばいいのに】と…



―――――――――――――

 そして それから数時間…

―――――――――――――



麻子「それじゃ お兄ちゃん 今日は この辺で帰るわね また明日も手伝いに来るから。」


 荷物も ある程度片付きだした頃 麻子は夕食の準備がある為 帰る準備を始めました。


三郎「おお 世話掛けたな ありがとさん! 旦那さんに宜しくな 気を付けて帰るんだぞ。」


麻子「はーい じゃあね俊。 受検 頑張ってね!」


俊「ああ… 解ってるよ… じゃあね…」


 俊は麻子の言葉に苦笑いをしながら答えると 麻子の車が通りの角を曲がって見えなくなる迄 手を振って見送りました。


 その後三人になってしまった家の中は 何故か少し寂しく感じました。


 そして 程なく夕日も沈み始め 辺りはすっかり暗くなった頃 三郎が宮子に声を掛けました。


三郎「さて もう四時過ぎか… そろそろ俊を送ってやらないと遅くなるなあ… おう宮子 お前は どうする 一緒に行くか?」


宮子「えっ… うん… あたしは まだ片付けが あるから待ってるよ… ごめんね 苦労様だったね俊。」


 本当は宮子も三郎と一緒に俊を送りたかったのですが 和夫と一緒に住む子供達に気を遣わせたくなかったのか小さな声でそう言って断りました。


俊「いいよ… それに今日は お袋だって疲れてるだろうから もう休みなよ。」


宮子「うん ありがと…」


三郎「よし… じゃあ宮子 留守番 宜しくな。」


 宮子の言葉に なんとなく気持ちが解っていた三郎は小さな声でそう言って先に玄関を出て行きました。


宮子「はいよ。」


 俊との別れが辛かった宮子は玄関を見ない様に俯きながら返事をしていました。


俊「じゃあね お袋… また来る。」


 玄関を出る時 俊が笑って声を掛けると 宮子は後ろの姿のまま声を震わせて言いました。


宮子「俊… あたしは何もしてやれないけど 受検… 頑張ってね 応援してるから…」


 俯く宮子の顔から小さく涙が流れると 俊は それに気付かない振りをしてクルっと玄関の方に向きを変えながら言いました。


俊「うん… 受験が終わったら 光と一緒に また来るから!」


【ガラ ガラ ガラ…】


(俊が玄関を閉めた)


宮子「俊…」


 俊は宮子に後ろ髪を引かれながらも そう言って出て行きました…



 家に一人残された宮子…


 部屋の中は さっきまでの賑やかさが嘘の様に静まり返っていました…


 沈黙の中 宮子は思いました… 


 今日 自分は この日を境に 今までの間違っていた行動を償いたい…


 その代償として…


 いや 母親として…


 陰ながら息子達を支えて行こうと誓ったのでした…


 それは 宮子にとって あの日 子供達を失ってこそ初めて気が付いた…


 絶望と言う大きな心の穴に…


 僅かに小さく灯された 再出発と言う希望の光だったのかも知れません…



つづく

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