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異世界流しに遭った私の異世界生活  作者: プニぷに
第一章:新世界
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探索:sideルーイン

 ~神聖魔法王国:王座~


「それって本当!?」


「うん、森の中に一つ。ライデンの町で一つ。どっちも霙ちゃんの反応だよ」


 菫が感じた霙の魔力反応。ライデンはともかく、森の中から感じた場所は菫の記憶が正しければ人間の魔力反応が残るほど長時間居られる場所ではなかったはず。


 何かがある。菫はそう判断した。


「どうしよっか氷雨、もう一度準備を整えてライデンに行く? それとも近くの森から行く?」


 流人が現れたとはいえ約束を守れなかったのも事実。良くも悪くも神聖魔法王国は氷雨がいないと何も出来ないのだ。


「ライデンだって用意があったでしょうに……なのに、私達がまたすぐに行くって言ったらライデンの人達も大変でしょ」


 複雑そうな気持なのだろう。菫は、氷雨の途切れ途切れの……それでいて一生懸命に話す彼女の言葉をしっかりと噛みしめる。

 想えば、彼女はつい最近まで兵器のように扱われ、殆ど話すこともなかったはず。塞ぎ込んだ心を開かせ、もう一度『母と娘』として話せるというのは霙の魔道具のおかげ。


「そうだね……じゃあ明日にでも行きましょうか。国からもそんなに遠くないし、あの森からなら転移魔法ですぐに戻れるしね」


「うん。霙ちゃん、いるといいな」


 あったこともない人間をどうして知っているのか。どうして友人だと言い切れるのか。それに、あの時の氷雨のオパールのような瞳。

 気にならないはずがない。だけど、それでこの幸福が崩れるのなら、知らなくていい。母親として何もできなかったけれど、今は違う。


「ウチも会いたい。会って色んなことを話したいわ」


 娘に嘘。自分に嘘。そして、エリンや霙にも。

 自分でもどうしていいのか分からない。だけど、絶対に氷雨だけは守る。これだけは譲れない。



 ~翌日~


「ママ、ここら辺?」


「うん。そこから全体を『絶対防御』で囲ってくれる?」


「分かった」


 菫には霙と同じく『魔眼』がある。幻想地域を守る結界など、いい目印程度でしかない。

 そして、氷雨も絶対防御からよそ者を避けようとする何かがあることを感じる。


(この鳥籠(とりかご)みたいなののおかげで範囲が決めやすくていいな)


 最強少女はその手を開いて構える。

 直後、幻想地域は絶対防御に捕らわれ、その莫大な体積が宙に浮く。


「ねえ、ママ。これでいいの?」


「うん。空中まで持ち上げてくれてた方が他の魔獣とか、探知魔法の邪魔がないから霙ちゃんも見つけやすいのよ~。ホント、絶対防御が万能で助かるわ」


 見た目だけならば、丸い水槽の中に土や木や家などをを模したジオラマのように見えるかもしれない。

 だが、これは現実なのである。混乱するエルフや、攻撃や転移を試みる神々もすべて現実に生きている流人……異世界人なのである。


「どう? 霙はいた?」


「ううん。探知魔法で探してるけど、霙はいないみたい。中には異世界人しかいないみたいだけど、結構強力そうだから()()しましょ」


「そうだね……あ、霙の情報を聞かなくていいの?」


「おおぉ! 流石は氷雨、頭のいい子に育ってくれてママは嬉しいよ」


 そう言うと、菫は()()()

 自身の魔法で飛んでみせた。エリンの『物体操作』でもなく、羽があるわけでもなく、ただ自身の魔力量と魔法の技術でもって『固有魔法』を再現してみせたのだ。


「ねえ、貴方。魔力が高くて、ルケイの魔法が使える青い髪の貴方。『神無月 霙』という少女は知らないかしら?」


「知らん。それより、何故このような事をする? 我らが何か貴様らルケイ人に何かしたか?」


 菫は空に浮かんだ幻想地域まで飛び、蒼い髪の少年と話し始めた。


「いいえ、何もしてない。だけどね、ウチにはウチの理由がある」


 菫が魔法で小さな赤い花火を出す。

 それが合図となり、幻想地域は『絶対防御』によって急速に圧縮される。水槽の中は一瞬のうちに赤黒い液体で満たされた。


「氷雨、中から木とか土だけ出せたりする?」


「うん、できるけど」


「そっか、じゃあ頼むね。もしかしたら、まだ生きてる連中が木や土に化けてるかもしれないから気を付けて」


 落ちてくる大量の土砂と折れた木々。徐々に縮んでいく絶対防御。

 木や土は落とし、流人は残す、物理法則も質量保存の法則も最強少女には関係ないのだろうか? 大量の死体と体液で満たされた絶対防御はどこまでも小さくなり、やがてピンポン玉程度の黒い球体となった。


「あっ! 氷雨、そのままにしてて」


「え? 全員殺しちゃったけど……」


「いいよ、その中身が欲しいだけだから」


「じゃあ消滅させないようにするね……大きさも元に戻す?」


「そのまま解除すると一気に溢れちゃうよね?」


「うん」


「じゃあ元の大きさに戻してくれる?」


「は~い、ママ」


 しれっと絶対防御による無限の圧力で消滅させられるなどと言う発言があったような気がするが、どういう理屈があってそうなるのかは『魔眼』を持つ菫でも分からない。


「ありがとうね、氷雨」


「うん。でもこれ、何に使うの?」


「ん~、魔力回復アイテムにしたりぃ、魔道具にしたりかな」


「へ~。やっぱりママはすごいんだね!」


「でしょでしょ~、もっと褒めてもいいんだよ」


 すぐ目の前に多くの生命だったものがあるというのに、この親子は気にせずイチャイチャイチャイチャ。

 人の心が無いわけではないが、流人を大量虐殺したからといって二人の心に何かが灯るという訳でもない様子。


「それじゃあ、今度はライデンだね。今度こそ霙ちゃんの手掛かりが見つかるかな?」


「大丈夫。ウチと氷雨がいれば、できないことなんてないんだよ」


 そう言うと、菫は絶対防御に手を触れる。

 氷雨が限定的に絶対防御を解除し、中の液体や骨やら、中身の何もかもが菫の手のひらに吸い込まれていく。

 氷雨も氷雨でチート能力だが、菫も菫でチートな最強親子なのである。大量の死骸と血液たちをものの数分で菫は肉体に取り込んでみせた。


「ふぅ……ごちそうさま。帰ろっか、氷雨」


 神聖魔法王国の大賢者にして魔道具の始祖。さらには霙と同じ『魔眼』をもち、固有魔法:『不老不死』によって得た大量の知識と経験。そして娘はルケイ最強の能力者。

 仲間には有能なエリンに、万能にも近い応用性を秘めた三杉という二人の固有魔法使い。


(これでようやく……頑張ってね、霙ちゃん。ウチもここから援護する)


 根雪ですら思いつく三杉の『固有魔法』:『生命帰還』の応用性。それを大賢者である菫が気付かないはずがない。


 霙とは違う力。

 目に見えて分かる圧倒的力を使ってきた神聖魔法王国サイドの力やいかに。

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