表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界流しに遭った私の異世界生活  作者: プニぷに
第一章:新世界
27/75

最強少女:sideルーイン

 ママは不老不死の大賢者。

 パパは失敗して……でも、最高のパパ。


 大好きな二人。絶対に守る。これ以上、あの人を怒らせて、大事な人を失いたくない!




「ねぇママ。この前エリンに『固有魔法』のこと聞いてたけど、固有魔法ってあの人の呪いなの?」


「別に呪いって訳じゃないんだけどね、昔パパに言われたの『誰も望んでないのに力を与えられる人がいる。その人は望んでもいない大きな力の奴隷になる……それって呪いみたいだ』ってね」


「ママもそう思うの?」


「うん。ウチの固有魔法は『不老不死』だから、何度も何度も辛い目にもあったし、何度も何度もこの能力に助けられもした。でも、パパや氷雨がウチよりも先に死んじゃうのが何よりも悲しくて……やっぱり、パパが言ってた通り『呪い』みたいなものだなって、ゼロに言われたときに断ればよかったなって……」


「ママも話したことがあるんだ」


「えっ、氷雨(ひさめ)も? そういえばパパもあるって言ってたっけ?」


「それっていいこと?」


「貴方の最初のお友達次第かな?」


「霙ちゃん? どうして? あの子はパパと同じことしようとしてるんだよ? なのにどうして?」


「あのね、氷雨。霙ちゃんはパパと同じことをしようとしてるわけじゃないの。あの子は皆の為に闘おうとしてるの」


「じゃあ、ママも敵?」


「違う。ママはいつだって貴方の味方よ。でもね、この世界で守られているのはウチと氷雨だけ……他の人はどうしたって守れない。貴方の『絶対防御』をもってしてもね」


「でも……」


「不安になる気持ちは分かる。一緒に霙ちゃんと大喧嘩しましょ、それで負けたら仕方ない。あの子に全部まかせよ……ね?」


「うん」


「それじゃあ、お仕事しないとね」


 神聖魔法王国の最強の賢者:菫

 神聖魔法王国の最強能力者:水無月・ルーイン・氷雨


 二人の『最強』は霙討伐部隊の指揮官の為、神聖魔法王国の訓練所へと向かう。


 余談だが、菫は元々の苗字の『水無月』も『ルーイン』も名乗らないことにしている。固有魔法で不老不死となっている彼女の人生はいくつもの『永遠の誓い』と『永遠の別れ』で出来ている。誰かひとりのモノになる訳にもいかず、かといってそのすべてを名乗るのは無理というもの……彼女は彼女として生きていくことを心に決めているのだ。




「ごきげんよう、義勇兵の皆さん。霙討伐部隊の総監督であり、神聖魔法王国の新たなる女王となる水無月・ルーイン・氷雨です。今日も罪人:『神無月 霙』の調査と肉体と精神の強化に励んでくださいね」


「陛下! 前国王はどうなされたのですか?」


 一人の義勇兵からの素朴な質問。


 思えばここ最近、王国の騎士達はどこか皆怯えているように見える。国民たちは騎士を心配し、それ以上に前国王が見えないことを何よりも心配していた。


「前国王は……私の母上を牢に閉じ込めたので、同じようにしてやりました。ですので、これからの神聖魔法王国の国王は私です」


「「「……っ!!」」」


 そこに込められた『圧』

 そこには逃れられぬナニカがあった。


 最強の彼女を止められるものなどあるのだろうか?


「陛下! 私は、必ず彼女を見つけ出します! そして、今度こそ離しません! 一人で抱え込ませたりなど……絶対に!!」


 白髪に銀色の瞳の少女が新国王に向かって言ったそれは、神無月 霙の共犯者と言われてもおかしくはないものだったが、新国王はそっと微笑むだけで、彼女に何をするでもなく城の中へ戻っていった。


「行くよ! 絶対に霙ちゃんを見つけるんだから!」


「「おお!!」」


 エリン率いる義勇軍が霙の手掛かりを見つけるのはもう少し先のお話。



「絶対に止めるよ。ママとパパの大切な『賢者の書』を貴方みたいな他人に、これ以上触らせるもんですか!」


 焦りと迷い。

 彼女の葛藤を見守ることしか出来ない菫は、我が子の心配よりも『彼女』にこの子を止められるかの方が心配だった。


「頼んだよ、霙ちゃん」


 今はただ、祈る事しかできなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ